登場人物
●小林成美:5歳の息子さん(ハルキくん)がいる。夫のモラハラに一人悩み、苦しんでいたが、ジェシカさんのホームパーティーで、皆が知ることになる。
● 小林瑛太:成美さんの夫で、ジェシカのビジネスパートナー。モラハラ男でマザコン、不倫男だった。
●太田花子:ジェシカと瑛太と同じ会社で働く、派遣社員の女性。瑛太との不倫を、ホームパーティーで暴露されたが、それでも瑛太への気持ちが断ち切れない。
● 北川:瑛太のもう一人の不倫相手。20代後半。瑛太の会社のCEOの息子の彼女だというが・・
● ジェシカ:瑛太の上司で、芽衣の仕事のパートナー。結婚していて、日本人のご主人と暮らす自宅では、ホームパーティーを開くのが好き。
●ジャック:瑛太が勤める会社(外資系)のCEOの側近で、息子(マーク)とも仲がいい。
CEOは北川に、
息子のモラハラDVが本当なら
それは申し訳ない、責任をとって
なんとかすると頭を下げた。
そして、今回の騒動に対して
どうするつもりなのかと問うて
椅子から立ち上がり、
瑛太の元に、ゆっくりと近づいた。
そして
CEO
「男女や家庭の問題は
会社には関係ないと言う人も
きっといるだろう。
でも、私はそうは
思っていない。」
瑛太
「………あの、、
もちろんです、、その」
CEO
「君は女性を、
侮辱しているのか?」
CEOの言葉は直球の重い球として
全てがズバッと刺さってくる。
瑛太
「いやあのっ、そんな!
そんなことはございません!」
CEO
「じゃあ
この有り様はなんだ!!」
3人の肩がビクッと上に持ち上がり
CEOはそんなのお構いなしで
太田花子や北川の方に目線を向ける。
CEO
「君たちもわからないのか?
本当に女性を大事にする男は、
こんなふうに周りを
傷つけたりしないんだよ!
こんな状況になっても
君たちはまだ目が覚めないのか?」
太田花子が唇をきゅっと結んで
涙をぼたぼたと落とし始めた。
CEO
「知らないなら、
覚えておいた方がいい。
人はな、
人を傷つけるような人間と
一緒にい続けたら、
そのうち思考が麻痺して
(知らず知らずのうちに自分自身が
また別の誰かを傷つけてしまう
そんな人間になる)ことだってあるんだぞ。
周りを巻き込むような
傷つき方をするんだよ。
強い人間は、また別だがね。
君たち、このままじゃあ本当に、
大事なものを失くすぞ。」
太田花子・北川
「……」
CEO
「まぁ、もういい。瑛太くん、
君はこの先、あまり人のことを
軽く見ないほうがいい。」
その目つきは、あまりにも鋭い。
CEO
「とにかくわたしはもう
時間がないから行くよ。」
CEOはそう言って、
ジャックさんに目配せをすると
扉の方に歩き出す。
ジャックさん
「あっ、はい、お忙しいところ
ありがとうございました。」
ジェシカさん、マネージャー
「ありがとうございました。」
上司たちの挨拶の声に
呆然としていた三バカが
ハッとした顔で立ち上がる。
太田花子
「あのっ、大変っ
申し訳ございませんでした。」
北川
「……」
瑛太
「あの、CEO 、、これから
わたくしは一体・・」
CEO
「ハッキリ言わないと
わからないのか?
もう君の顔は見たくない。
女性をバカにしたり
下に見ている人間は
私の会社には
いらないからな。」
CEOが早足になったので、
ジャックさんが急いで
かけてあったジャケットを持って
その後を着いてゆく。
そして
入り口で、ピタッと立ち止まり
CEO
「あぁそれで、言い忘れていたが
監視カメラの映像は
見させてもらった。
私の大切な会社と、
真面目に頑張っている社員たちを
バカにするのも
いい加減にしてくれ。」
バタン。
重厚感のある扉の音が
部屋中に響いて
しばらく誰も話し始めなかった。
10分とわずかの、出来事だった。
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