登場人物

● 芽衣:今回の物語のキーとなる人と私を、出会わせた私(パンダ)の高校時代からの友人。ジェシカとは仕事のパートナー。

 

●小林成美:5歳の息子さん(ハルキくん)がいる。夫のモラハラに一人悩み、苦しんでいたが、ジェシカさんのホームパーティーで、皆が知ることになる。

 

● 小林瑛太:成美さんの夫で、ジェシカのビジネスパートナー。モラハラ男でマザコン、不倫男だった。

 

●太田花子:ジェシカと瑛太と同じ会社で働く、派遣社員の女性。瑛太との不倫を、ホームパーティーで暴露されたが、それでも瑛太への気持ちが断ち切れない。

 

● 萌: 成美さんの友達だが、瑛太と不倫をしていた。ホームパーティーで、徐々に萌のことがわかってくる。

 

● ジェシカ:瑛太の上司で、芽衣の仕事のパートナー。結婚していて、日本人のご主人と暮らす自宅では、ホームパーティーを開くのが好き。

 

 

 

瑛太に会うかもしれない

太田花子を追いかけて

芽衣がいなくなった後

 

私の席に、萌がやってきた。

 

 

 

 

「マメで

 女を自分の目の見える範囲に

 おいておきたい男って

 

 要注意ですよねー。

 

 うちの父親みたーい。」

 

 

 

 

「…父親みたい?」

 

 

 

 

目の笑わぬ笑顔でそう言う萌に、

私はつい聞き返した。

 

 

 

 

 

「そうなんです。

 

 うちの父親って

 典型的なモラハラ男で、

 不倫もしてたんですよー。

 

 

 時々私や兄さんに暴力とかもあって

 最低でしたけど

 

 でも私が一番恨んでるのは

 

 

 母親ですね。

 

 

 

 

 

 

「…えっ

 

 

 母親…??

 

 

 どうしてですか?

 お父さんがモラハラってことは

 お母さんは被害者ですよね。」

 

 

 

 

 

すると萌は、

隣に座る私の顔は見ず、

 

 

 

正面を向いて言った。

 

 

 

 

 

 

 

「でも、

 

 

大人じゃないですか!」

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

突然、

萌の語気が強くなった。

 

 

 

 

 

 

「だから私、、、

 

 

 そりゃあ

 瑛太が悪いってわかってますけど

 あいつが最低ですけど

 

 

 成美を見てたら

 腹が立つんですよ!

 

 母親見てるみたいで。

 

 

 

 ハルキくんのこと、

 どうするんだよ!って

 思いませんか?

 

 なんであんな

 最低なやつってわかってて

 あんたが逃げないんだって。

 

 

 子供は一人で

 どうしようもないんですよ!

 

 母親が連れ出してくれないと

 逃げられないんですよ!

 

 他の大人になんか

 相談出来ないんですよ!」

 

 

 

 

 

「……そうですね…

 

 

 他の大人に、、

 

 子供は、相談出来ない、、

 ですよね。」

 

 

 

 

 

「そりゃあそうですよ。

 

 そんなことしたら

 母親がまた父に

 嫌がらせされるじゃないですか!」

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

そうか。

 

 

 

 

 

 

母親を恨んでいる。

 

 

 

そう言いながら、

 

 

小さい萌はきっと

母親を守ってきたのかもしれない。

 

 

 

 

 

今日、

成美さんに言っていた言葉は

 

 

本当は

 

 

 

母親に向けて言いたかった

言葉なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

「パンダさんは成美のこと、

 なんとかしてあげたいって

 思ってるのかもしれませんけど

 

 

 腫れ物に触るような

 そんな近づき方じゃあ

 

 

 あの二人が別れるのは

 

 無理ですからね。」

 

 

 

 

 

「私、そんな風に見えますか。」

 

 

 

 

胸が、チクッとする。

 

 

 

 

 

「まぁ少なくとも、

 遠慮はしてますよね。

 

 

 でも、洗脳されてるとか、

 

 お金が必要だからとか

 

 そんなの子供は

 知ったこっちゃないんですよ。

 

 

 私は、

 

 父親に叩かれたら痛かったし

 理不尽に怒られたらムカついたし

 

 不倫とかして最低なのに

 

 傷つけられてるはずの

 母親が謝ってるのを見るのも

 可哀想とかじゃなくて、

 

 もう怖いんですよ!惨めなんですよ!

 

 

 なんで早くあいつから

 逃げてくれなかったのかって

 

 今でも思ってます。

 

 

 まぁ大人になって私と兄が

 離婚させましたけど。」

 

 

 

 

 

 

「……だから、、

 

 

 だから萌さんは出会った当初私に

 成美さんが

 不倫してると言いにきて

 

 まずは手段はなんでもいいから

 

 力ずくで瑛太さんと

 引き離したかったんですか?

 

 

 ハルキくんのために。」

 

 

 

 

すると萌は、立ち上がる。

 

 

 

 

 

「さぁ、どうだったか

 忘れちゃいました。

 

 私、いいやつじゃないんで。

 

 

 あー、なんでこんな話し

 しちゃったんだかー。」

 

 

 

 

 

出会った時から萌は

 

何を考えているのか

全然わからなくて

 

ただのおかしい人だとすら

思ってしまっていたが

 

 

人には皆、

抱えているものがあり

 

萌もそうで、

 

 

 

やっぱり胸が、痛くなった。

 

 

 

 

 

 

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