登場人物

● 芽衣:今回の物語のキーとなる人と私を、出会わせた私(パンダ)の高校時代からの友人。現在ジェシカと2人で、瑛太に探りを入れている。

 

●小林成美:ホームパーティーで私に話しかけてきたキラキラ女子。5歳の息子さん(ハルキくん)がいる。しかし、その後私に相談のメールがきて、夫のモラハラを打ち明ける。

 

● 小林瑛太:成美さんの夫で、ジェシカのビジネスパートナー。モラハラ男でマザコン、不倫男だった。

 

●太田花子:ジェシカと瑛太と同じ会社で働く、派遣社員の女性。瑛太との不倫を、本当はペラペラ人に話したい。

 

● 萌: 成美さんの友達。成美さんが不倫をしていると、私に伝えてきたが、その真相はまだわからない。

 

● ジェシカ:瑛太と同じ会社で働いていて、瑛太の上司にあたる。今後しばらくの間、芽衣の仕事のパートナーになる予定。結婚していて、日本人のご主人と仲良く二人暮らし。

 

 

 

「今思いついたんですけど

 

(私実は、瑛太さんと

 付き合ってたんですけど)

 って言ってみたらどうですか。」

 

 

 

言いながら自分でも、

悪魔の囁きだな、とは思う。

 

 

けれど太田花子が

逃げ惑っているのなら

振り向かせるにはこれくらい

フックになるような言葉が

必要なのだと思う。

 

 

 

「じゃあパンダさん

 行ってきまーす。

 

 じゃあまた後で。

 

 

 

 

萌が去って、私はまた

一旦ポツン。

 

 

 

…ひとまずもう一度

パスタでも

くるくるしようかしら。

 

 

 

その時

 

 

 

 

「パンダさん。」

 

 

 

 

あれま。

 

 

 

 

私の方に

1人で近づいてきたのは

 

 

 

瑛太だった。

 

 

 

 

うそーん。

 

 

 

えー、なにこれなにこれー

 

いやだいやだー、

 

今じゃない今じゃないー

 

 

 

とか思ったりしたけれど

 

 

 

 

 

「どうしました?」

 

 

と、昭和の瞳で笑ってみる。

 

 

 

 

作り笑い選手権では

世界でもワーストの方だと思う私が

笑ってみる。

 

 

 

 

 

瑛太

「いや、なんかパンダさんって

 最近うちの妻と

 仲がいいみたいで。

 

 すいません。いつも。」

 

 

 

ん?

探りを入れにきたのか?

 

 

 

 

 

「いやいやこちらこそ

 成美さんお料理が上手だから

 色々と勉強させてもらって!」

 

 

 

 

瑛太

「そう、ですかねぇ。」

 

 

 

 

「そりゃあすごいですよ!

 

 だって!

 あんなにたくさんのレパートリー

 考えるだけでも大変というか、

 そもそも思いつかないのに

 毎日作ってますもんね!」

 

 

 

 

瑛太

「それは、パンダさんみたいに

 毎日バリバリ働いている方と

 成美みたいな主婦とでは

 

 家での過ごし方の、

 時間の配分が違いますからね。」

 

 

 

 

 

なんで私がバリバリ働いてるとか

そういう話になるんだよ。

 

 

 

成美さんがそんな風に

表現してくれたのか?

 

 

 

 

 

では、

 

 

 

 

 

 

「そっかー、そうですよねー。

 

 じゃあもし成美さんが

 子育てがある程度落ち着いてきて

 外でフルタイムで働き始めたら

 

 さすがに夕飯の品数は

 減っても仕方ないですよねー。」

 

 

 

 

瑛太

「まぁそうですねー

 

 それは仕方ないですけど、

 そもそも成美が

 フルタイムで仕事なんて

 向いてないですよー。

 

 成美は仕事をするとしても

 家にいながら

 働きたいタイプですよ。」

 

 

 

 

柔らかい口調で

笑顔では話しているが

 

 

 

不快。

 

 

 

 

 

 

「…成美さんがそんなこと

 言ってたんですか??」

 

 

 

 

瑛太

「いやぁ、夫婦なんで

 わかりますよ。

 

 世の中の主婦って結局

 子供と一緒にいたいとか

 べったり過ごせるのは

 今だけとか言って

 

 実際は仕事での責任感とか

 通勤時間から逃げ出したいとか

 楽したいだけじゃないですか。」

 

 

 

 

 

いや、成美さんは

お前から逃げ出したい。

 

 

 

 

そういえば

太田花子の物言いというか

考えの偏り方は

こいつの思想から来てたのか。

 

 

 

 

…っていうかこの男は

私に近づいて

一体なにを言いたいんだ?

 

 

まさかこんなパーチクリンな話を

メインにしたかった

わけじゃないだろう。

 

 

 

 

 

「でも、、瑛太さんって

 奥さんにするには

 

 家事や育児をしっかりしてくれて

 家を守ってくれる人が

 いいんですよね。

 

 私みたいに

 

(これからもずっと

 仕事し続けたいでーす)

 

 みたいな女性と

 結婚することは出来ましたか?」

 

 

 

 

すると

 

 

 

 

瑛太

「別にそこは専業主婦でも

 仕事をしている方でも

 

 自己主張が強くない女性なら

 いいんじゃないですかね。

 

 

 パンダさんは、

 なかなか強そうですからね。

 はっはっは。」

 

 

 

 

「あー、そうですねぇ。

 

 ワッハッハ〜」

 

 

 

 

 

 

って、だからあなた

なにしに来たん。

 

 

 

超絶不快。

 

 

 

と同時に、

 

なんかもう


 

 

 

 

「そういえば瑛太さんって

 

 成美さんのお友達の

 萌さんとも

 とっても仲がいいですよねっ。

(ニコニコニコニコ。)」

 

 

 

 

 

ひとまず最初は遠慮して

借りてきたパンダ状態の私でしたが

(あっ、猫か。)

 

 

あなたの方からせっかく

話しかけに来てくれたので

 

 

 

私からも

 

お話ししましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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