登場人物
● 相談者:萌さん。成美の友人で新婚さん。
● 芽衣 :今回の物語のキーとなる人と私を、出会わせた
私(パンダ)の高校時代からの友人。
● ジェシカ:ホームパーティーの主催者で、芽衣の仕事
のパートナーになる予定。
●小林成美:ホームパーティーで私に話しかけてきたキラキラ
女子。5歳の息子さん(ハルキくん)がいる。
● 小林瑛太:成美の夫で、ジェシカのビジネスパートナー
● 星野さん : 成美のママ友達
瑛太さんと成美との会話を
聞いてしまったばかりに
私はもう少し成美と
込み入った話がしたい、
そう思っていた矢先に
萌さんが声をかけてきた。
あ、そういえばそもそも
私に相談したかった相手は
萌さんだった。
っていうか萌さんは、
成美の不倫の話を瑛太さんに
なんとか伝えたいんだった。
そんなことをぼんやり思いながらも
私と成美は
萌さんに言われるがまま
メインテーブルの方に向かう。
萌さん
「二人とも、あっちで
何話してたの?」
私たちに
デザートを分けてくれながら
萌さんが言う。
メインテーブルには、
瑛太さんも芽衣も、
ジェシカさんもいる。
私
「あぁ、成美さんに
料理のレシピを
教えてもらってました!
なんか成美さん
お料理すっごく詳しいので!」
咄嗟の嘘をついたが
その時成美と目があって、
彼女がふっと笑ったが
その下がった目尻が(ありがとう)
に見えて、それがなんとも
今日一番自然な表情に見えた。
芽衣
「確かに、成美さんのインスタ
どの料理もすっごく
美味しそうですよね!」
成美
「そんなそんなっ、
ジェシカさんの
こんなすごい手料理の前で
そう言われると恥ずかしいですよー」
ジェシカ
「私もさっき見せてもらったけど
あんなにビューティフルな和食!
私、日本料理はマダマダだから
今度教えて欲しいわ!!
瑛太はいつも
あんなに美味しい料理が食べれて
シアワセモノよね!」
瑛太さん
「いやぁ、本当に
幸せなんです。すいません。」
私
「・・・・」
さっきの成美とのやり取りや
自宅での発言からは
本当に想像出来ないほど
ナチュラルに成美を褒める。
しかしもう私は
この男をすでに斜めから見ているので
うっすら怖ささえ感じる。
萌さん
「成美は昔っから、
手作りでケーキ作ったり
デザート作ったりして
料理得意だったもんね。
この感じで料理出来るなんて
本当ずるいよー」
ジェシカ
「本当に、カンペキな
オクサマよね!」
私の咄嗟の嘘がきっかけで
皆が成美に得意なレシピを聞いたり
インスタの写真を
見せてもらったりと
なんともゆるい時間が過ぎてゆく。
萌さん
「瑛太さんは、成美の手料理で
何が一番好きなんですか?」
この会話、
まだ広げるんかいな。
この流れが自分のせいであることに
私の心が
勝手に身悶えしていると
瑛太さん
「どれか1つに絞れと言われたら
とても難しいですねぇ。
僕から要望を出したことは
特にないですけど
手の込んだ料理を
いつも作っていてくれるので
感謝ですよ。」
この男がまた
私の違和感を増やしてゆくので
成美の表情が気になって
私はチラチラ
彼女の表情を追いかけてしまう。
ジェシカ
「WOW!」
萌さん
「へぇー、いいなぁ。
うちの旦那もこんなふうに
外で私のこと
褒めてくれてるかなー
私は仕事忙しいから、
いっつも手抜きになっちゃうな。」
芽衣
「手抜きでいいじゃないですか。
仕事も家事もだなんて
全部やるのは無理無理!」
私
「いや、本当にそう。
萌さんのところのご主人は
家事とかちゃんと
手伝ってくれます?」
萌さん
「まぁ、ある程度は
分担してますかね。
なんならご飯は旦那の方が
美味しかったりするんで(笑)」
私
「へぇー、
それも素敵じゃないですか。
………。」
よし。
ここはもう少し
瑛太さんに
質問責めしてみるか。
すでにこの中に
嘘つき人間がいることを
私はまだ知らない。
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