うつ病になるのはどうして?~セロトニン~
〇メンタルヘルス無料相談を行っています。
NPO法人日本成人病予防協会の資料「ほすぴ」から
健康管理士一般指導員という資格がありますが、
健康のための情報を提供するためにもらっている資料です。
うつ病になるのはどうして?~セロトニン~
●セロトニンとは
セロトニンには、不安感を和らげる精神を安定させる作用があります。そのため、
セロトニンが不足するとイライラして落ち着かなくなり、衝動的、攻撃的になると考え
られています。また、睡眠、覚醒、食欲にも関係していると言われています。セロトニンの
正常な放出を邪魔をするものが「ストレス」です。ストレッサーの刺激を受けストレス
状態に陥ると、視床下部に刺激が伝わります。その影響を受けて、セロトニン神経系の
情報伝達が落ちセロトニンの量は減少します。
●うつ病
セロトニンが不足すると発症するのがうつ病です。通常、セロトニンが放出されると、
受け手側(樹状突起)のシプナスの受容体に結合し、受容体に届かなかったセロトニン
は、送り手側(軸索)のシプナスに存在するセロトニントランスポーター(放出された
セロトニンを再取り込みする場所)により回収され、再利用されます。このように、
情報伝達が十分に行われるよう常に一定のセロトニン濃度を保っています。しかし、
うつ病の状態では、セロトニンの放出量が低下してしまうため、十分な情報伝達を
行うことができなくなります。
●セロトニンの再取り込みを阻害する「SSRI」
うつ病の薬物療法では、従来の抗うつ薬に加えて、1990年代より「選択的セロトニン
再取り込み阻害薬(SSRI)」が広く使われるようになりました。SSRIは、神経伝達物質
であるセロトニンの再取り込みを防ぎ、シプナス間隙のセロトニン濃度を上げることで、
うつ病を治療します。従来の抗うつ薬よりも副作用が少ないのが特徴です。
主な副作用としては、吐き気、眠気、下痢などです。
●セロトニン・ノルアドレナリンの再取り込みを阻害する「SNRI」
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)により、セロトニン濃度だけを高めても、
今人るやる気が出ないという人がいたため、次に開発されたのが、「セロトニン・ノル
アドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI」)です。2000年に許可されています。
セロトニンとノルアドレナリンの再吸収を阻害し、両方の濃度を高めることができる薬です。
抑うつ感が軽くなるだけでなく、やる気も出やすくなると考えられています。
●セロトニン・ノルアドレナリンの分泌を促す「NaSSA」
2009年に認可されたのが、「ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬
(NaSSA)」です、セロトニンとノルアドレナリンの分泌を促す作用を持った薬です。
これにより、セロトニンとノルアドレナリンの濃度を増やすことができます。
SSRAやSNRIのように再取り込みを阻害するのではなく、分泌自体を増やすことに
アプローチした薬です。副作用としては、眠気や食欲増加などが挙げられています。
<睡眠障害>
セロトニンが低下すると睡眠障害が起こりやすくなります。これは、セロトニンが睡眠を
促すメラトニンと関係しているためです。
私たちの体は、朝起きて太陽の光を浴びることで、脳の視床下部に存在する視交叉上核
(体内時計をコントロールする場所)に光の刺激が届き、体内時計がリセットされるように
なっています。その結果、セロトニンンお分泌が高まり、気持ちが整い「今日一日頑張ろう」
と思えるのです。
そして、日中に作られたセロトニンを元に、夜になると松果体からメラトニンが分泌されます。
メラトニンが体内で増えることで、体温が下がり眠たくなります。つまり、セロトニンが不足すれば、
メラトニンも十分に作られなくなり、睡眠障害が起こるというわけです。
さらに、セロトニンの原料となるのが必須アミノ酸のトリプトファンです。必須アミノ酸は、体内で
合成することができないため食事から摂取する必要があります。日頃からタンパク質を多く含む
食品(肉、魚、大豆、乳製品など)をしっかりと摂取することを心がけましょう。
●セロトニンの体内分布と働き
体内にあるセロトニンの約90%は、腸などの消化管にあり消化管の蠕動運動を調整しています。
残りの約10%のうち、約8%は血液中の血小板にあり、止血作用を有します。つまり、脳内で神経
伝達物質として働いているセロトニンは、全体の約2%しかありません。しかし、神経伝達物質として
セロトニンが心の変化に大きな影響を与えるため、無視することのできない存在なのです。
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