徳島出身のオペラ歌手、楠野麻衣です。
時には昔の話を…。
6年前、初めて舞台音楽研究会の「こうもり」でオペレッタの現場に入ったのは、26歳。
今回の公演のブリントくん達くらいの時でした。
演出家さんから
「“イーダでございます”って言いながらくるっと回って!」と言われても
「え?まわる?!どっちに?手は?どうしたら良いの?!」と…。
ひたすらに戸惑うばかりだった。
舞台の用語も知らなくて、
小屋入りしてからは
「“場当たり”って何ですか?!」
って思いながら誰にも聞けなかった。
あんな頃の私を使って下さった小澤さんと沢崎恵美さんには感謝です。
お客様を持っていない頃にノルマの公演に出るのは辛かったけれど、見る人のいない公演はやってもしょうが無い。
良き公演であればあるほど、その良さを外に伝えて、観に来てくれる人を増やす努力があるべきだ。
チケットを売ることも歌手の仕事のうちなのだと教えて貰った場所でもあります。
セルフプロモーションについて勉強することは、自分がどういう歌手になっていきたいかを考える良い機会になったし、
そのお陰で、今を応援して下さる、たくさんの素敵なお客様と知り合うことが出来て幸せです。
この現場には、外には無いアットホームなあたたかさがあって。
ちょっとした緩さに「ん?」と思うこともあったりするけど。笑
歌手として、色んな面で育てて貰った場所だなぁと思っています。
(2016年「サンドリヨン」妖精役。
この時シンデレラ役だった赤根さんは、今回のオルロフスキー侯爵様。私の右隣はイーダ役の井野村麻衣ちゃん。)
そして大好きな「こうもり」。
憧れ続けた愛しきアデーレ。
田舎から出て来て、
女優になりたくて。
でも、なかなか思うようにはいかないから、
お屋敷でお勤めしながらも
「いつかは必ず!」
と野心は捨てない女の子。
アデーレ役を夢見て、
オーディションを受けては落ちて…
と、繰り返してきた自分と同じです。
単なるコケティッシュさに終始させない今回のアデーレが私は大好き。
大好きなのと、上手くやれるのとはまた別の問題なのだけれど、
残されたあと一週間、積んでいきたい。
チケットはまだ私の手元にあります。
(15日は残りわずか!)
お時間許す方、ぜひ観に来ていただけませんか?
育成部を修了してから6年、
イタリア留学を終えて最初のオペレッタ。
あの頃、ダブルキャストでイーダを演じた井野村麻衣ちゃんも、あの頃にはなかった色のあるイーダです。