UTAU音源が行方不明・編集した原音設定や周波数表がどっかいく・プラグイン等がおかしいとき | チラシの裏 ~UTAU調声メモ~

チラシの裏 ~UTAU調声メモ~

UTAUの調声の話を中心に、初心者向けの使い方からうまく歌わせるコツ・ニッチなネタまで、独断と偏見で書いています。

初稿:2016年3月
(2019年10月 タイトル変更)
(2020年8月 「Virtual Storeの回避方法について真面目に考えた件」を基盤に大幅改定)



Virtual Store問題について。

音源をインストールしたはずなのにvoiceフォルダにない?
原音wavや原音設定、周波数表などを編集したはずなのに反映されない?
oto.iniが消える?
音源データを消したはずなのに消えていない?
プラグインの設定を編集したはずなのに反映されない?エラーを吐く?
管理者権限がなんとかって言われる?


これらは「Virtual Store」が原因かもしれません。

ざっくりいうと、UTAUはけっこう古いソフトなので何も考えずに新しいPCに入れるとバグが起こります。
その結果、データが分裂して散らばってしまいます。


もくじ
1:要するに何?
2:この現象が起きないようにするには
 ↑再インストールなしでの解決方法あります
3:原因と解説
4:分裂したデータの救出方法(事後対処)




その1:要するに何?

・しっかりデータ管理しないと、知らないうちに音源やプラグインなどのデータがいろんな場所に散らばる

・散らばった結果、1つの音源が2箇所に分裂することがある
→分裂したデータは、元データと統合して一箇所にまとめる

・散らばるだけでなくデータの書き換えができなくなることも
→プラグインやソフトが動くために必要なファイルをうまく更新できなくなりエラーなどが起きる

・こうならないためには
「バグらない場所にUTAUをインストールする」
「音源やプラグインなどのデータ置き場は一箇所に絞り、自分で把握しておく」

ことが重要



その2:この現象が起きないようにするには

①インストールする場所を工夫する

これからUTAUを始める、または新PCにUTAUをインストールする人は、
「UTAUをインストールするまえに!」0から始めるUTAU調声①を参考に、
デフォルトの「C:\Program Files(x86)\UTAU」ではない場所にインストールする。

この場合、インストールした場所のvoiceフォルダ・pluginsフォルダを使うことになる。


※すでにインストールしている場合、アンインストールして再インストールしても良いが、
その場合は手動でデータを消さず、ソフトウェア一覧から削除すること。



②すでにインストールした人は、その場所を「バグらないフォルダ」に設定する

※管理者権限のあるユーザーでサインインすること
(家族共用のPCを使っている場合など、Windowsに複数のユーザーがある場合は、一番えらいユーザーでサインインする)


・「C:\Program Files(x86)\UTAU」フォルダのプロパティを開く


・「セキュリティ」タブを選んで「編集」を押す


・「Users」を選んで「フルコントロール」にチェック


・OKを押す

これで、「C:\Program Files(x86)\UTAU\voice/plugins」が安全に使えるようになる。
次にPCを買い換えるときはインストール場所に気をつけてくださいネ


③バグらない場所にデータを置く
(UTAU.exeはそのままで、音源やプラグインを別の場所に置く)

最近のUTAU(ver 0.4以降)は
「C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\UTAU」
の中にvoiceとpluginsを置くことを推奨しており、
音源やプラグインをD&D(zipを画面に放り込んでインストール)するとこの場所に入る。

しかしここ、隠しフォルダの中にあり探すのがけっこう難しい。
なので使っている人はあまりいない様子。


④voiceフォルダの場所を自分で指定することも可能
本体設定にて、voiceフォルダを指定することができる。
(ツール→オプションで開く設定画面の、パス→原音のルートフォルダを変更する)

しかしプラグインではこの方法は使えない。




その3:原因と解説

・前提

音源が入っているのはvoiceフォルダ
プラグインを入れるのはpluginsフォルダ

「C:\Program Files(x86)\UTAU」というのは、
「C:」というHDDの中の「Program Files(x86)」というフォルダの中の「UTAU」というフォルダ、みたいな意味。
\はファイルの住所を区切る記号。

Program FilesとProgram Files(x86)は、ここではほぼ同じものと思ってok
(昔のPCではなんでもProgram Filesに入る。
 最近のPCでは、新しい64bit仕様のソフトはProgram Filesに、古い32bit仕様のソフトはProgram Files(x86)に入る)



・Virtual Storeとは

編集したデータをどっかへやっちゃうのはWindowsのVirtual Storeという機能のせいで、
順を追って説明すると、

WindowsのPCのソフトウェアが入ってる場所(Program Files)は大事な場所だから簡単に手を出せないようにしてある
(書き換えるには「管理者権限」が必要)

UTAUの本体(ソフトウェア)もそこに入ってる

UTAUの本体が入ってる場所と同じところに音源、原音設定、周波数表などのデータも入ってる
(エンジンやプラグインなどもこの近くにある)
それらのデータを書き換えるにも「管理者権限」が必要

管理者権限のない人がデータを書き換えようとすると、Windowsが勝手に
「よくわからん人が書き換えたデータで上書きするのはまずいぜ!原本はそのまま置いといて新しいデータは別の場所に置いとこ」ってなる

・変更したはずのデータが書き換えられてないように見える
・消したはずのデータが消えてない
・入れたはずのデータが入ってないように見える(実は別の場所にある)
・プラグインやエンジン、ソフト等がデータを保存しようとして失敗しエラーなどが起きる

というわけです。まったくWindowsはおせっかい野郎ですね!
Virtual Storeが機能の名前なのか保存場所の名前なのかはよくわからんです。



・voice/pluginsフォルダの置き場所問題

最近のバージョンのUTAUではこれを回避するために、音源とプラグインをProgramFilesの外に保存するようになっている。
(C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\UTAU\voice/plugins)

↑音源やプラグインをドラッグ&ドロップでインストール(zipをUTAU画面に投げ入れる)すると勝手にここに入る

きちんと管理しないと、
①最初に音源を入れていたのは、UTAU本体と同じ場所(UTAU\voice)
VirtualStoreによって音源の一部が勝手に別の場所に保存される(AppData\Local\VirtualStore)
③ドラッグ&ドロップでインストールした音源・プラグインはUTAUが用意した新しい場所(AppData\Roaming\UTAU)にある


みたいな、大分裂フェスティバルが起こる。

しかも1つの音源が「UTAU本体と同じ場所(もとの場所)」と「Virtual Storeの場所」の2箇所に分裂してるパターンもあるので、
同じデータが複数箇所にあったら日付の新しいものを残して統合しましょう(後述)

音源制作とかでvoiceフォルダをよく触る人とかは特に、保存場所を1つに絞って把握しておいたほうがいいです。




その4:分裂したデータの救出方法

①まずは安全な場所を確保する
上述の「この現象が起きないようにするには」を参考に、
どこのvoiceフォルダを使うかを最初に決めておくこと。


②データを探しに行く
探す場所は、

・C:\Program Files(x86)\UTAU のvoice/plugins

・C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\UTAU のvoice/plugins
(隠しフォルダを表示する設定にすること)

・C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\VirtualStore\Program Files\UTAU のvoice/plugins(あれば)


UTAU起動中に、今使っている音源の場所を知りたいときは、
・音源の場所をopenするプラグインを作りました。プラグイン置き場にあります。
・ツール→原音の設定(原音設定画面が開く)→ファイル→フォルダを開く で音源保存場所が開く

・プラグインなら、プラグインを選ぶ画面で一番下の「プラグインフォルダを開く」


③残すデータを選んで移動する
最初に決めた場所にデータを移動します。
このとき、日付が新しいものを残すこと
また、消したはずのデータが別の場所に残っていることもあるので、残したいデータかどうかも精査すること。



以上が、私なりの「Virtual Store問題の初心者向け対応2020」です。
他にもやりようはあるっぽいですが、色々検討した結果これに落ち着きました。
色々検討した中身はVirtual Storeの回避方法について真面目に考えた件にまとめていますので、気になる方はどうぞ。