その店は、飲み物は珈琲しか無かった。





そう、確かに入り口には、

"珈琲店" とあった。



(もしかするとソフトドリンク等見落としていたかもしれないが、紅茶の類は無かった)



カプチーノやエスプレッソなど

珈琲といえど種類は様々あったが


ミルクを入れなくてはコーヒーベースのものは飲めない私は、カフェオレ一択だった。




「アイスカフェオレで。」




私は言った。




すると店主が



「こちらおすすめです」



とメニューを指した。




そこに載っていた写真は、

どう見てもアイスコーヒーだったので、




「私ブラックは飲めなくて」




そう言うと、




「じゃあおすすめです!」と店主は言った。






「えっと‥?」





ブラックの意味を、なんらかの言葉と取り違えられたかと思ったが




「ミルク入って無いので美味しいですよ」



と続けるので



「私はコーヒーは、ミルク無しでは飲めないんです」



と言った。



「でもレモンが入ってますので」



と、またも引き下がることのない店主が、

無理なら交換します。

とまで言って下さったので



それを頂くことにした。





店を見渡すと、



店主の趣味が伺える。



部屋の真ん中に何年の物か分からないバイクが鎮座し、



テーブルには、

子どものおもちゃとは価値が随分違いそうなミニカーやプラモデルが飾られている。










ほどなくして、


目の前でシェイカーが振られた。




店主は得意げな顔をしていた。







そして、




カフェシェケラート




という聞いたことのない飲み物が登場した。




グラスから泡が溢れている。





やはりどう見ても苦そうだ。





一口飲んでみると、


コーヒーの向こうに懐かしい味がする。





なんだろうかと思いながらもう一口。





あ、レモネードだ。





アイスコーヒーにレモネードを加えたような、味がした。





勿論珈琲なので苦さはあるけれども

甘くて、夏らしい爽やかな味だった。





飲んだ事のない方には

ぜひ飲んでみてほしい。





イタリアのコーヒーと言えばエスプレッソ。



イタリアでは、カフェやミルクを冷たくして飲む習慣が無く、

カフェラテとだけ注文すると、アイスかホットか聞かれずに、ホットが出て来るそうだ。




そんなイタリアにはアイスコーヒーが無い。




アイスコーヒーに代わる飲み物が


この、カフェシェケラートなのだとか。





少しイタリアに来た気分で

楽しいカフェタイムとなった。


すこし強引な優しい店主に感謝だ。







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