いよいよ街はクリスマス色に染まって参りました。秋というには寒すぎるくらいに、一層冷えてきた気が致します。
この知らせを受け、私のSNSにこんなメッセージを頂きました。
私は、私をまだ認められない
この知らせを受け、私のSNSにこんなメッセージを頂きました。
"もう涙が止まりません。人生でこんなに悲しいことってあるんですね。もしよろしければ、退団者側の気持ちを教えてほしいです。"
今日はその質問のお返事を、私自身の経験から、書きたいと思います。
勿論、宝塚を退団する時には、それぞれの理由がありますから、私の気持ちがすべての退団者と同じとは限りません。
私は、小学3年生の時に宝塚と出会い、それからの人生は、宝塚に入ることだけを夢見て生きていました。
知識もなかったので、入ったらいつか退団する、という概念もありませんでした。
どれぐらいいるの?と聞かれたら、死ぬまで!と答えていました。
厳密に言えば、宝塚には定年退職というのがあるので、死ぬまで在団するのは不可能な話なのですが。(例外はあります)
逆に、あまり知られていないですが、60歳までは在団出来る、ということです。
ですがほとんどの人がそれまでに退団します。
何故、宝塚に入るために必死でお稽古して、やっと掴んだ幸せを、自ら退団という形で手放すのか。
そう思われる方は沢山いると思います。
それがご贔屓ならなおさら、どうして!?と思われると思います。
退団して2年経っても、やはり経歴を知った人には開口一番、どうしてやめちゃったの?と聞かれるもので、
それにも慣れてしまって
「タイミングですね、いまだと思う時が来たからです。」
というテンプレートを話します。(笑)
先にも述べたように、退団の理由はそれぞれです。
真衣ひなのの場合は、入団して4年目の時に一度、やめようかなと考えた事がありました。
この話は、今回の話とややズレてしまう気がするので、需要があれば、また書くかもしれませんが今はやめておきます。
4年目の時に思いとどまれたのは、
ある方の言葉があったからなのですが、
その言葉を受けて、
私は、私をまだ認められない
そう思ったのです。
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そして8年目の時に退団した私ですが、
きっかけは、突然に、
まるで思いついたように決意しました。
すぐに母に連絡しました。
次でやめるわ。と。
母から返ってきたのは、
え!?どうしたの!?ではなく、
そっか、わかったよ。でした。
短いやりとりでした。
なんとなく感じ取っていたのだと思います。
その時の私の心情は、
もういいや
という投げやりな気持ちではなく、
もういいよ
でした。
それは、
もがいてもがいてもがいて、もがきながらやってきた今までの自分を、
いいよ、外で自由にやってみたら?
と解き放つ勇気でした。
わたしには、
ある時から、
長い列のできたバス停に並んでいる感覚がいつもありました。
来年は、一人分前に進んで、再来年は、二人分進むのだろうか。
じっと並んで、進んだら喜んで。
そんなのって、、私らしくない。
それでも数年後には、あたたかさに浸りきって、そんなこと気にも留めずに楽しく過ごせるような気もして。
‥それがひどく怖かった。
でも退団を決めた時には
そうか、ちがう乗り物に乗ってみよう!!
そんな気持ちが芽生えていました。
だから退団発表したときは、
驚いたり残念がる周りとは裏腹に、
わたしの心はとても清々しかったのです。
自分のことが前より好きになれたような気さえしました。
下級生に、やめるの、やめましょうよ!
と言ってもらったとき、
そういえばわたしも、大好きな同期や上級生が退団する時、泣きじゃくって、さみしい、やめないで〜としがみついていたなぁと思い出しました。
言われると言葉に困るのだけど、ものすごく嬉しいものなんだなぁと思いました。
応援して下さる方々にも、どうして!?もっといてほしかった!これから更にたのしみにしていたのに!と言って頂きました。
有難いなぁと思うとともに、
やはり寂しさを感じる事もありました。
しかし同時に
やっぱり今だった。
そう確信しました。
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退団して今年で2年が経ちました。
退団者が発表されると、
その人のことを宝塚の舞台で観れなくなる、観劇の楽しみが一つ減ってしまう、という寂しさはあります。
きっと同期が全員退団してしまったら、観劇意欲はぐんと下がると思いますから。
とはいえ、
寂しいという感情は、ファンの方のほうが強いと思います。
退団を経験した者は、退団を決めた時のあの感覚が、記憶にあるから。
発表してから宝塚最後の日までの時間が、どれだけ幸せな時間かということを、知っているから。
あぁ、みんな幸せな時間を思う存分楽しんで〜!!!
という気持ちになります。
でも、
ファンの方は、
無理に祝福しなきゃと思わずに
さみしい!
もっといてほしかった!
それが素直な言葉なら、その言葉を伝えても良いと思います。
ファンになったばかりで、今から応援しようと思ってたのに、という方も、そのままお手紙にその気持ちを綴られたら良いと思います。
ものすごく嬉しかったですよ、私は。
その代わりに、大千秋楽には、ご贔屓に大きな拍手を送ってあげてください。
他でもない、
大好きな大好きな宝塚を、退くことを決断するのですから、それに勝る思いがあるはずです。
だからOGとしては、何かお手伝いできることがあればしたいし、幸せな大千秋楽になりますように!と切に願うばかりです。
これで、答えになったでしょうか。
大阪出張から移動中だったのですが、考えながら書いていたら、到着しました
今夜はこのあたりで。
明日は同期愛希れいかの退団の日です。
私も大きな拍手を送りたいと思います。
読んで頂きありがとうございました
cherich now... ひなの