オーーゥ、フジヤーーマ!その1
もう今は亡き夏休みのことなのだがチェホンマンより大きいことで有名な富士山に登ってきた。
5合目までは車で行けるがそこからは徒歩で登る。
舞空術で頂上まで行こうとするとカリン様に怒られるというカリン塔システムが備わっているから徒歩でないと行けないのだ。
5合目で着替えをし、さあ登るというときに一緒に行った友人が懐中電灯を持ってきていないことが発覚。
御来光を見るために深夜に登るため必須アイテムだ。石田純一でいえば革靴ぐらい必須だ。
あいにくの雨模様の中登るのだが、彼は100均で買った雨具で、スニーカーという軽装で来ていた。
野口健ばりにコーヒーのわかる僕からしたらもう山をなめているとしか思えない。
ちゃんとした装備を買い揃えるところから登山は始まるのだ。
それでなくては登山とは僕は認めない。
そんな僕はしっかりとした雨具を同居人から借りてきた。
借りてんのかよ。
5合目で結局懐中電灯を買ったのだが、そのときに彼は酸素を買っていた。
酸素欲しい欲しいと言っていた。酸素より雨具買えと。
彼はもう酸素欲しがり屋さんだ。きっと今CO2が増加してるのは彼が酸素をCO2に変えまくってるのだ。
俺がアル・ゴアだったら彼を指差して「不都合な真実みーっけ!」と高らかに宣言するところだ。
結局酸素を購入し、やっとスタートした。
5合目を出ると、いきなりゆるい下り坂だった。しかもけっこう長い。
これもしかして下山してんじゃねえかという疑惑が浮上。
俺が中尾彬だったら「おいおい下ってるねえ。粋だねえ。」と余裕かまして言えるだろうがあいにく僕らの中に中尾彬はいなかった。
そこでじゃんけんで負けた僕が近くの人に聞くという屈辱を受けた。
ちなみに道はあってた。
僕が聞いてるとき一緒に行った2人は他人のふりして離れていやがった。ちくしょう。
7合目あたりまで来るとけっこう疲れてきた。
空気も薄いのですぐ息が切れる。
そんなとき中尾彬だったら「おいおい切れるねえ。息がねえ。」と余裕をかまして言えるだろうがあいにく僕らのストールはネジネジじゃなかった。
そこで登場、酸素だ。
酸素を買った彼は得意げに酸素をとりだした。
もう彼は酸素教の信者なのだ。酸素は万能なのだ。
「プスープスー。」
彼が酸素を吸う。
そして言った。
「よくわかんね。」
酸素教は脆くも崩壊した。
そんな彼の100均カッパはすでに股が裂けてビリビリご開帳だった。
あいにく酸素ではカッパは直らないことがわかった。
その後歩いて8合目に来ると、ところどころに山小屋があった。
どこの山小屋も8合目と書いているのでずっと8合目だった。
エターナル8合目だ。きっと富士山はほとんどが8合目なんだと思う。
そしてようやく僕らが仮眠をとる山小屋に。
そのときはもう雲の上に来ていた。
雲の上に来たのはラピュタに行って以来だ。
そうあれは空から女の子が降ってきたときのこと。
親方ー!親方ー!空から女の子が降ってきたー!
・・・あ、でもあんまこの子かわいくないなぁ。チェンジで。
みたいな。
ふはははは、俺がゴミのようだ!
とにかくその山小屋で仮眠をとった。
普段王宮に住んでいる僕からしたら狭く、汚く、こんなところで寝れるか!!と僕は憤慨し3分で眠りに落ちた。
ふふふたまには庶民の暮らしもええのう。
さて、仮眠をとって元気100倍!行ってくるよバタコさん的なかんじで深夜2時に山小屋を出たのだが、霧がすごくて顔がぬれて力がでないよぉだった。
ジャムおじさん新しい顔を!と叫んだのだが山小屋にジャムおじさんはいなかった。
このままだと頂上についても御来光が見えないじゃないか。
きっと一緒に行った2人の普段の行いが悪いせいだ。ちくしょう。
夜道、かつ霧で視界が悪い状態での登山は予想以上に疲れた。
少し歩くたびに休憩をとって栄養を補給した。
こんなときのためにチョコレートやウィダーインを持ってきたのだ。
山で疲れたときに食べるチョコレートは本当においしい。力がみなぎるかんじがする。
そして単なるミネラルウォーターもうまい。
ああ、登山の楽しさはこういうところにもあるんだ。
疲れたときに気づく本当のおいしさだ。
そのとき僕の隣では酸素教の人が酸素吸ってました。
つづく