夫が倒れた日-2 | 私も一緒に連れて行って

私も一緒に連れて行って

夫と死別。ふたり家族でした

これは脳梗塞だ。

瞬時に頭をよぎった。

脳梗塞・・・

「だめだよ。パパ。それ脳梗塞だ・・・どうしよう。救急車呼ばなきゃ」

冷静にいたつもりでもそうではなく119番に電話しながら上にある駐車場へ。

119番で色々聞かれたが当時のことを全く覚えていない。

夫は目がうつろになっている。

「どうしようどうしよう。パパ死んだらどうしよう」と抱きついて泣いてしまった。

夫 「ももちゃん残して死なないから」
   「ももちゃん大好きー」

私は夫に名前は?誕生日は?と聞くと正常に答えてくれた。

救急車が10分後?もっと早かったか・・・

けたたましいサイレンと共にロータリーに到着した。

なのになかなか駐車場まで来てくれない。

電話口の人には立体駐車場にいると伝えたのに

部屋に上がろうとしていた。

待っても来ないので呼びに行きようやく来てくれた。

救急隊員が夫に色々聞くがそれにもちゃんと正常な答えをしていた。

ここにストレッチャーを持ってくるのかなと思っていたら

座るタイプのハンモックみたいなもので運ばれ搬送。

救急車の中で私に必死に腕のここを押してと言うので一生懸命押していた。

たまに手を握るとギュッと握ってくれた。

夫の頭の中は事故が起きているのに夫の知識は健在で

退院の人と症状の専門的な事を話していたので少しだけ安心した。


搬送後、医師からの説明を受け同意書の作成をした。

血管内治療、アルテプラーゼ静注療法。

(アルテプラーゼとは血管溶解薬で脳梗塞急性期に詰まった血管を再開通させる薬)

この治療が終わってからICUに呼ばれた。

夫の口はまだ回らないがちゃんと話をしていた。

洋服も出掛ける時のあのままだった。

私に腕や首を押してくれとか膀胱を押してくれとか色々言われ

言われるままに押していた。

そうこうしていたら夫は眠ってしまったようだった。

私は色々疲れたのだろう・・・と思っていたら全く違う最悪の展開になっていた。