こんにちは、マイです。
昔の私は、
嫌な人と離れたあとも、
その人との会話を終わらせることができませんでした。
職場を出る。
電車に乗る。
家に帰って、一人になる。
もう相手は目の前にいません。
それなのに頭の中では、
さっきの会話が何度も繰り返されていました。
「あの時、こう言えばよかった」
「どうして私は黙っていたんだろう」
「明日また何か言われたら、どうしよう」
現実の会話は、
もう終わっていました。
でも私の中では、
まだ終わっていなかったんです。
帰り道で、何度も会話をやり直していました。
強い言い方をされた日は、
帰り道に必ず反省会が始まりました。
相手が言った言葉を思い出す。
その時の表情を思い出す。
自分が何と答えたのかを確認する。
そして、
頭の中で別の返事を考えました。
「私は事前に確認していました」
「その件は、私だけの責任ではありません」
「そんな言い方をされると困ります」
頭の中の私は、
落ち着いて話すことができました。
相手の言葉にも、
きちんと返すことができました。
でも実際の私は、
何も言えずに謝っただけでした。
その違いが悔しくて、
私は何度も会話をやり直していました。
考え続ければ、次は失敗しないと思っていました。
私は、
同じことを繰り返さないために考えているつもりでした。
次に同じことを言われたら、
今度こそ自分の意見を伝えよう。
相手が怒ったら、
この言葉を返そう。
誤解されたら、
順番に説明しよう。
そうやって準備しておけば、
次は傷つかずに済むと思っていたんです。
でも、
どれだけ頭の中で練習しても、
不安が消えることはありませんでした。
むしろ考えるほど、
相手の怖い表情が鮮明になりました。
言われた言葉が、
何度も心に刺さりました。
次に会う時のことまで想像して、
まだ何も起きていないのに疲れていました。
終わった会話から、答えを探し続けていました。
私は会話の中に、
はっきりした答えを探していました。
相手は、なぜあんな言い方をしたのか。
本当は私のことをどう思っているのか。
私は嫌われたのか。
どちらが悪かったのか。
その答えが分かれば、
気持ちが落ち着くと思っていたんです。
でも、
相手が何を考えていたのかは、
私が一人で考えても分かりません。
相手はただ疲れていたのかもしれない。
私に不満があったのかもしれない。
別の出来事に苛立っていたのかもしれない。
考えれば考えるほど、
新しい可能性が増えていきました。
答えを見つけるために考えていたのに、
不安の材料ばかり増やしていたんです。
相手がいない場所でも、私は責められていました。
実際に相手から言われたのは、
一つか二つの言葉だけでした。
でも頭の中で会話を続けているうちに、
責める言葉が増えていきました。
「気が利かない」
「頼りにならない」
「また失敗する」
「だから嫌われるんだ」
相手が本当にそう思っていたのかは、
分かりません。
それでも私は、
相手の声を借りて、
自分で自分を責めていました。
相手はもう家に帰り、
別のことをしていたかもしれません。
でも私は、
自分の部屋の中で、
何度もその人に責められていました。
本当は相手との会話ではなく、
自分を責める時間になっていたんです。
気持ちを整理しているつもりで、傷を開き続けていました。
私は、
出来事を振り返ることは必要だと思っていました。
自分にも悪いところがなかったか。
次から直せることはないか。
もっと良い伝え方はなかったか。
そう考えること自体は、
悪いことではないと思います。
でも私がしていたのは、
落ち着いた振り返りではありませんでした。
同じ場面を何度も再生する。
相手の怖い表情を思い出す。
言えなかった自分を責める。
そして最後には、
「全部私が悪かった」と結論を出す。
私は気持ちを整理するつもりで、
そのたびに傷を開き直していたんです。
納得できなかったから、会話を終わらせられませんでした。
私が何度も思い返していたのは、
心の中に言えなかったことが残っていたからでした。
本当は、私にも事情があった。
本当は、相手の言い方が嫌だった。
本当は、全部を認めたわけではなかった。
でもその場では、
怖くて何も言えませんでした。
納得していないのに謝った。
傷ついたのに笑った。
違うと思ったのに頷いた。
だから私の中では、
会話が終わっていなかったんです。
相手との会話を続けていたというより、
置き去りにした自分の気持ちを、
あとから探していたのだと思います。
頭の中で勝っても、心は楽になりませんでした。
頭の中の会話では、
私は相手を言い負かすことができました。
相手の矛盾を指摘する。
自分の正しさを説明する。
最後には相手が謝る。
そんな場面を、
何度も想像しました。
でも、
想像の中で勝っても、
気持ちは晴れませんでした。
現実に起きたことは変わらない。
言えなかった事実も変わらない。
また会う不安も残っている。
何度やり直しても、
私は同じ会話の中へ戻っていきました。
必要だったのは、
頭の中で相手に勝つことではありませんでした。
言えなかった自分の気持ちを、
自分が受け取ることだったんです。
あとから気づいた気持ちも、本当の気持ちでした。
私は以前、
その場ですぐに言えなかった気持ちは、
意味がないと思っていました。
本当に嫌だったなら、
その場で言えたはず。
本当に納得していないなら、
頷かなければよかった。
あとから悔しくなるのは、
私が弱いからだと思っていました。
でも、
怖い空気の中では、
自分の気持ちが分からなくなることがあります。
その場を離れて、
安全な場所へ戻ってから、
初めて気づくこともあります。
本当は嫌だった。
本当は傷ついていた。
本当は違うと伝えたかった。
あとから気づいた気持ちも、
私の本当の気持ちでした。
その場で言えなくても、なかったことにしなくてよかった。
以前の私は、
その場で言えなかったら、
もう我慢するしかないと思っていました。
あとから伝えたら蒸し返すことになる。
今さら言っても遅い。
面倒な人だと思われる。
そう考えて、
言えなかった気持ちを飲み込んでいました。
でも必要なことであれば、
あとから伝えてもよかったんです。
「先ほどの件ですが、確認したいことがあります」
「その時は言えませんでしたが、私はこう認識していました」
「今後は、落ち着いて話せる形で伝えてほしいです」
すぐに言えなかったとしても、
自分の気持ちをなかったことにする必要はありませんでした。
相手に伝えられない場合でも、
私は嫌だったのだと、
自分だけは認めてもよかったんです。
振り返る時間に、終わりを決めるようになりました。
今でも私は、
嫌な会話があった日は思い返します。
何が起きたのか。
私は何を感じたのか。
必要なら、次に何を伝えるのか。
それを考えることはあります。
でも以前と違うのは、
いつまでも考え続けないことです。
事実を確認する。
自分の気持ちを確認する。
次に必要なことを一つ決める。
そこまで考えたら、
今日はここで終わりにする。
また同じ場面が浮かんできても、
「もう考えた」と自分に伝える。
無理に忘れるのではなく、
考える時間を終えるようになりました。
相手の言葉と、自分が追加した言葉を分けました。
会話を思い返す時、
私は事実と想像を分けるようになりました。
相手は、何と言ったのか。
私は、何と答えたのか。
そこまでが、
実際に起きたことです。
嫌われた。
役に立たないと思われた。
もう信頼されていない。
それは、
私があとから追加した想像かもしれません。
もちろん、
相手が本当に不満を持っていることもあります。
でも、
確認していないことまで事実にして、
自分を傷つけなくてもよかったんです。
相手の言葉は相手の言葉。
そこから生まれた想像は、
今の私の不安。
そう分けるだけでも、
会話から少し距離を取れるようになりました。
理解されなかった自分を、自分で迎えに行きました。
頭の中で会話を続けている時、
私は相手に分かってもらおうとしていました。
私にも理由があった。
私は悪気がなかった。
全部が私の責任ではなかった。
本当は、
それを分かってほしかったんです。
でも相手が理解してくれるかどうかは、
私には決められません。
だからまず、
自分が自分の話を聞くようになりました。
怖かったね。
言えなかったね。
本当は悔しかったね。
相手から欲しかった理解を、
少しずつ自分へ返しました。
すると、
頭の中で相手を説得し続けなくても、
少しずつ会話を終えられるようになりました。
会話を終えることは、負けを認めることではありませんでした。
以前の私は、
考えるのをやめたら、
相手の言い分を認めることになる気がしていました。
言い返せなかったまま終わる。
誤解されたままになる。
自分だけが傷ついて終わる。
それが悔しくて、
頭の中で会話を続けていたんです。
でも、
会話を終えることは、
相手が正しかったと認めることではありませんでした。
自分の気持ちを確認した。
必要なことは考えた。
今できることも決めた。
だから、
これ以上は自分の時間を渡さない。
そう決めることでした。
嫌な人に、自分の夜まで渡さなくてよかった。
相手と過ごした時間は、
数分だったかもしれません。
でも以前の私は、
その数分のために、
帰宅してからの何時間も使っていました。
食事をしていても考える。
お風呂に入っていても考える。
眠る直前まで考える。
相手はもういないのに、
私は自分の夜を相手へ渡していました。
でも、
昼間に嫌なことがあったとしても、
夜までその人のために使わなくてよかったんです。
相手の言葉が嫌だった。
私は傷ついた。
必要なら、あとで対応する。
そこまで確認したら、
私は私の時間へ戻ってもよかったんです。
今でも、頭の中で会話が始まる夜があります。
今でも私は、
嫌な言い方をされた日は、
頭の中で会話をやり直すことがあります。
こう言えばよかった。
あれも伝えたかった。
本当は違うと思っていた。
そんな言葉が、
あとから出てくることがあります。
でも以前のように、
何時間も相手と話し続けることは減りました。
言いたかったことに気づいたら、
その気持ちを一度受け取る。
必要なら書いておく。
必要なら、あとから伝える。
今できないことは、今日は考えない。
そうやって、
少しずつ自分の夜を取り戻しています。
もし今、あなたも、
嫌な会話を何度も頭の中でやり直してしまう。
相手と離れたあとも、責められている気持ちが続く。
言えなかった言葉を思い出して、眠れなくなる。
そんな状態なら。
あなたが執念深いからではないのかもしれません。
気持ちの切り替えが下手なわけでもありません。
ただ、
怖くて言えなかった気持ちや、
分かってもらえなかった自分が、
心の中に残っているのかもしれません。
その場で言えなかった自分を、
責めなくてもいい。
あとから気づいた気持ちも、
なかったことにしなくていい。
でも、
相手に理解されるまで、
頭の中で会話を続けなくてもよかったんです。
私が少しずつ、
終わった会話から離れ、
自分の時間へ戻れるようになったきっかけを、
ここに置いておきます。
必要になった時に、
そっと読んでみてください。