※今回は特に新しい装置の紹介などはありません。

 

これまた少し前の話になりますが、ある日、友人が会話の中で、
「不眠症になって全然、眠れない」
と言うので、こりゃ面白そうだと根掘り葉掘り、詳しく話を聞いたあとに、昔々ブログで紹介した、脳波矯正用磁気発生器を貸すことになりました。ちなみに私は、この装置は仕様が違うものをいくつか持っていますので、友人には以前の記事の参考動画で紹介した周波数固定式ではなく、2~14Hz程度の周波数可変式を渡しました。

渡した後は、あれ使ってんの?使ってるよ~程度の話以外は、特に不眠に関する話もしませんでしたが、それが最近になって
「ようやく治った」
と向こうから話をしてきたので、本当に?じゃ治ったなら記事にさせてと、さらに詳細に話を聞いてみましたので、以下に詳しく書いていきます。

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まず一口に不眠症と言っても色々なタイプがあるようで、私も今回、少し調べてみましたが、友人は
入眠困難(なかなか眠れない・眠るまで時間が掛かる)」

中途覚醒(眠っても夜中に目が覚めてしまい、その後は眠れない)」
の両タイプに当たるようです。

日によって入眠困難だったり、中途覚醒だったりするそうで、私が最初に話を聞いたときは、
「たまに眠れないなんて誰にだってあるんだから、いちいち気にし過ぎなんだよ」
という、相手のことを本気で心配していない人にありがちな反応をすると、
「1週間の合計睡眠時間が10時間ない」
ですって。1日2時間だったとしても1週間で14時間にはなるので、いや、さすがにそりゃ少なすぎだろうと驚いたのを覚えています。
ただ、それがずっと続いているわけではなくて、1週間くらい不眠が続くと、体が限界を迎えるのか、1~2日くらいは6~7時間眠れる日が来て、これから眠れるか!?と期待しだすと、また不眠の生活が戻ってくる、というサイクルのようです。

なぜ不眠症になったのか?その原因ですが、かなり神経質なタイプであるのは私も知っていましたし、元々寝つきが悪かったのに加え、仕事で起床時間が大幅に早くなり生活パターンが変わったことと、しかも絶対に遅れることができないため、大きなプレッシャーが掛かったのが発端だと、本人なりに分析していました。
こういったタイプの不眠を、
『精神生理性不眠症』
と言うそうで、友人のような生真面目で神経質な人がなりやすいようです。

この睡眠時間では、当たり前ですがまったく足りていないので、昼間なんか立ったまま寝落ちすることが何度かあり、日常生活に完全に支障をきたしている状態で、とにかく眠くて眠くて仕方なかったと言います。眠てないんだから当然です。

そんなに眠いなら眠れるでしょ?とか、余計なことを考えなきゃいいのに、とか、不眠症にならないタイプの人は思ってしまうのですが、いざ横になって、さぁ眠よう!と思った瞬間から、心拍数が上がって心臓がドクドクし始め、血圧が一気に上昇してるのが自分でも分かり、それを感じだしたら最後、目はギンギンに冴えわたり、まったく眠気が吹き飛んでしまうそうです。
そして、そのまま起床時刻がどんどん迫って、もう今から眠れたとしても何の意味もない、と言うか、むしろ今、寝ちゃったら逆にしんどいわ!と思い始める頃に眠れたり、あるいは時間が来るまで結局、眠れなかったり、こんな感じが入眠困難の日だそうです。

中途覚醒の日は、布団に入ってすぐに調子よくパタッと眠れるそうですが、1時間ほどで必ず目が覚めてしまい、一度目が覚めたら最後、あとは入眠困難の日と似たような状態になって、まったく眠れず起床時刻になってしまうそうです。

こんな状態が2か月以上続いているのだから、なかなかの重症というか、蓄積していく肉体の疲労はもちろん、眠れないことに対する精神的なプレッシャーも相当しんどかったと思います。

んで一般的な改善方法、つまりネットなどで「不眠 改善」などのキーワードで検索して、見つかるような方法は試したのかい?どうなんだいオイ?という問いには、
「全部やったけど、何ひとつ効果がなかった」
とのことで、全部って何をやったの?話を聞きながらも内容が多過ぎて(面倒臭くなって)記録してませんが、検索して出てくるような↓基本的な改善方法ですね。

・どんなに眠くても昼間は仮眠や昼寝は一切しない
・就寝時間になるまではソファその他で身体を横にしない
・布団(ベッド)は就寝時間以外には入らない
・できるだけ朝日、日光を浴びるようにする
・毎日、適度な運動をする
・布団に入る1時間前から部屋を暗くし、スマホやPCは見ない
・横になる前に柔軟体操をして身体をほぐす
・コーヒーやお茶などは就寝の8時間前から摂取しない
・眠らなければ!と焦らないようにする(そう思って出来るなら誰も苦労はしないが)
・入眠用BGM動画(ヒーリングBGMからASMRまで)を聞く
・米兵の90何%が一瞬で眠れるようになったとか何とかのリラックス法を実践する


話を聞いたのはもっと多いですが、とにかくこんなんですね。検索すると素人から専門家の話まで、あーしろこーしろといろいろあります。
友人は神経質な上に人に頼らず自分で努力するタイプなので、これらも徹底的に実行したようです。なんせ上の項目のひとつ、柔軟体操を毎日続けた結果、短期間で前屈(床にお尻をつけて座り、両足を延ばして上半身を前に倒す)が、腰から綺麗にペタッと二つ折りになるほどの柔らかマイスター。
でも、それだけやってみても友人曰く、

「眠ることに関しては何ひとつ、まったく効果がなかった」

と言うわけです。
いよいよダメだ!と追い詰められた友人が、自力回復を諦めて病院を探し始めた頃に、ちょうど私と話す機会があって、何ら期待せずにポロッとしゃべったのを、私が面白そうなんで装置を押し付けたというわけですね。

この段階まで話を聞いただけでも、そりゃあ改善しないだろうなとは思いました。うん。
睡眠というのは、意識でコントロールするものじゃないですね。横になろう、目を閉じよう、までは自分の意志で行えますが、あとは勝手に眠るのを待っているだけで、眠るスイッチがあるわけじゃありません(まれにある人もいるようですが)。普通はいつの間にか知らない間に眠っています。これはつまり呼吸や心拍、血圧や内臓の働きと同じように、睡眠は無意識に行われるものであって、自律神経系の働きのように潜在意識がコントロールしている分野だということです。
その潜在意識の働きに問題がある、友人のようなタイプの不眠症の場合は、上記のような改善方法はまったく意味がないどころか、逆に不眠を強めてしまうことすらあるんですね。なぜ意味がなかったり、逆に状態を悪くしてしまうのか?

 

潜在意識と言えば エミール・クーエさんが有名です。彼が患者の治療経験から導き出した法則に、

☆意志と想像力(感情も含む)が反する場合、勝つのは常に想像力である。
☆意志によって努力すればするほど、反する想像力はより強固なものになる(努力逆転の法則)。


というものがあります。
エミール・クーエさんは19世紀後半に活躍した自己暗示法の大家で、彼の暗示法や上記のような法則を知っている人はたくさんいますが、知らない人のために、友人の不眠症を例に説明します。

まず、意志と想像力を不眠症に当てはめれば、意志とは「早く眠ろう」「どうにかして眠りたい」という意志ですね。
そして想像力とは、「また眠れないかもしれない」「眠れなかったら苦しい、辛い」といった不安や恐れです。
この、眠ろうという意志と、それに相反する、眠れないかもしれないという想像力があるわけですから、法則どおり常に想像力が勝ってしまい、潜在意識は実際に眠れなくなるように身体に働きかけます。それが友人の経験したような、交感神経の異常興奮ですね。普通、睡眠に入るときは副交感神経が優位になるのですが、潜在意識が眠れないように交感神経をガンガンに働かせてしまうので、こうなってしまっては意志の力ではどうしようもありません。

そして先ほど箇条書きで並べた、友人が実践した眠るための改善方法は、これらの大半が「眠るための意志による努力」ですから、ふたつ目の法則どおり、やればやるほど「これでも眠れないかもしれない」「これだけ努力してるのに眠れなかったら…」という反する想像力を無意識のうちに搔き立てて、より強固なものにしてしまいます。
(ただし、こういった改善方法がすべて無駄と言うわけではなくて、本人が「これなら眠れる」と思い込める、つまり眠れないかもしれないという不安や恐れを超える信頼を得られた場合は、意志と想像力が合致するので、眠れるようになります。友人の場合は不安や恐れの方が強かったのですね)

眠りたいという意志と、努力によって、より強固なものになってしまった眠れないという想像力があるわけですから、これらの改善方法は、友人の言うとおり何の意味もなかったどころか、それによって、わざわざ不眠症を酷くしていたというわけです。

普通は友人と同じような状況に陥った場合、多くの人が精神科や心療内科を受診すると思います。友人も実際に病院を調べていたそうですが、どうも気が進まなかったらしいです。その理由は不眠症に関する話をネットで調べれば調べるほど、根本的な治療よりも薬物、つまり手っ取り早く弱い睡眠薬から出されて、そして、それが効かなければ強い睡眠薬へと移行していくだけ、という薬物に依存するだけの流れが予想できたからだそうです。
確かに日本では、この手の心の不調を訴えると安易に薬を出し、治療と称して薬物依存症を作り出しているだけの医師が多いのが現実だそうですし(誤解のないように言っておきますが、認知行動療法などできっちりと根本治療を目指す医師もいます)。
ともかく、薬に依存したくない友人は、必死に自分でやれる努力をして(それが不眠症を酷くするとは思わず)、なかなか受診しなかったのです。結果的にはそれがよかったのですが、実際問題として酷い不眠症になってしまったら、その苦しさから医者と薬を頼らざるをえないのが現状だと思います。

こういった精神生理性不眠症や、社会不安障害なんかもそうですが、なってほしくないと思うとなってしまう、嫌だと思うとなってしまう、ダメだと思うとなってしまう系の疾患は、要は自分の意志と反する潜在意識の発動が原因ですから、意志と潜在意識を協調させてやることが最善の方法になるわけです。
協調させる方法というのは簡単で、顕在意識(普段の意識状態)の活動が抑えられて、意識的な抵抗の少ない状態のときに、潜在意識を書き換えるための自己暗示を繰り返すだけです。クーエさんの自己暗示では、「寝入りばな」と「寝起き」の時間の2回、静かに声に出して自己暗示を行います。寝入りばなと寝起きは、先ほど言ったように顕在意識の活動が抑えられ、抵抗なく潜在意識が暗示を受け入れやすい状況になるからですね。

 

 

さて、長くなりましたが、以上のような潜在意識の作用を友人に説明した後、試しに脳波矯正用磁気発生器も貸してみることにしました。次回は実際に装置や自己暗示を続けた友人の改善していく過程や、暗示のコツなども聞いておきましたので、それも参考に記事にしてみたいと思います。
バイバイキ~ン('ω')ノ

 

※友人は治りましたが、特に酷い不眠症や精神的な障害に苦しんでいる人の場合は、安易に自己流で治療せずに、専門家に頼ることも必要だと思います。この記事も参考程度にされてください。