早稲田の村上春樹ライブラリーをあとにして、高円寺に向かった。

お昼に友人と待ち合わせをしている。

駅で落ち合って商店街を歩き、程なく喫茶店に落ち着いた。彼女と会うのは久しぶりでお互いの近況などを話し合う。年に何度か会うだけなのだが、気の合う友達はすぐに時間を超えることができるんだなと思う。

そのあと高円寺駅に戻り、バーミィの留美子さんと合流。


バーミィは高円寺駅前のイカしたエスニック料理屋さんである。

もうかれこれ20年ぐらい前、東京の荻窪で仲間とイベントをしてそのあと晩ご飯を食べるところを探していた。高円寺か大久保が良いと聞き、高円寺に行った。駅前の高架沿いに商店街がある。商店街に行ってみたが大した店がなく、また駅に戻り高架沿いに歩いてみた。雑居ビルの2階の窓に「エスニック料理」と書いた張り紙が中からしてあるのが見えて、それに惹かれて二階の店のドアを開けた。

店内は薄暗く、店の人がテーブルに書類を広げて何かしていた。「いいですか?」と聞くと「どうぞ!」と言われて中に入った。その時に同行した人たちにあとで聞いた話だが、まさか入ると思わなかったらしい。どうにも怪しい雰囲気だったと言う。わたしは、ここは当たりという確信がその時あった。

料理は最高に美味しく、知らない料理を沢山食べた。お勘定は何かの間違いかと思うほど安かった。

何より、店の壁一面の棚にレコードがぎっしり詰まっていたのが、わたしを惹きつけた。1970年から2000年ごろまでの古いフォークとロックがほとんどだった。「○○ありますか?」と聞くと店主は即座に壁の棚か、店の隅に山積みになっているレコードの中からそのアルバムを出してきた。そんな店は他にはない。以来、わたしは東京に行くと必ずバーミィで晩ご飯を食べる。だから、結構東京には何度も行っているのに他の店を知らない。

店主のパートナーの留美子さんは、わたしと同年代で、アート、映画、芝居などの関係者が多い高円寺で、かなりの情報通だと思う。たぶん何にでも好奇心が強いんだろう。かつてはお芝居をされていたそうだ。

今回は、留美子さんの案内で、「かりい食堂」というお店に行くことになっていた。バーミィのお客さんだった人がカレーが好きすぎて脱サラしてカレー屋さんになったらしい。

ほんとに5、6人ぐらいしか入れない小さな店で、カレーは素晴らしく美味しかった。


マトンもチキンも無くなったのでルーだけのカレーと真ん中は豆のカレー。


今まで食べたスパイスカレーの中で第一位!



続く