「still moving - mobile house @KCUA」
2016年4月27日 水曜日
京都市立芸術大学が運営する堀川御池ギャラリー内には、
ギャラリー@KCUA(アクア)がある。
ここで「still moving-on the terrace」
という展覧会を5月29日までやっている。
隣のギャラリーでは、京都国際写真祭の展示を有料でやっていた。
今まで@KCUAの展覧会を有料で見たことが無いので、
不思議に思ったのである。
一部、イヴェントが有料だったことはあったが。
■still moving @KCUA(京都市立芸術大学・御池ギャラリー)
会場を入ると、右手にエレベータがある。
その横にモニターが設置されていて、
京芸の学長である鷲田清一先生が写っている。
何だろうと思ってみていると、
現代の職人さんたちが使う、
電動工具をエレベータの奥にある鏡に向かって、
スイッチをONにして、ブルブルブーン・ガー
という音と共に振りかざす学長の姿が
勇ましくみえるのであった。
そして、エレベータの中を覗くと、
なんと、壁面一面に、工具が並べられている。
そして、壁の上や、鏡の上に「学長室」という表示がなされている。
展覧会の会期中、仮想現実の学長室がここに誕生しているのだ。
一瞬、さすがは哲学者・鷲田清一先生だと、おもった。
「学長室」鷲田清一 @KCUA
さっそく、私も@KCUAの学長室で記念撮影(笑)。
哲学者ともなると、笑いとユーモアのセンスが断然違う。
モノ事の本質をよく捉えられていることに脱帽であった。
< mobile house > @KCUA1
そして、ギャラリー@KCUA1 に入ろうとすると、
いつもは左手にある事務所が撤去されて、
木枠に梱包された長椅子が展示されている。
順路も左を指している。
そして、普段、見ることが出来ない事務所の裏の収蔵庫へと
足を踏み入れていく。
すると、オブジェやフランシスコ・ベーコンを喚起するような絵が
展示されていた。
そして、防火扉になっている鉄のドアを空けて、
やっと、@KCUA1 に足を踏み入れると、
ギャラリーの右手には、仮事務所が陣取っていた。
見学は可能だけれど、
立ち入り禁止の札が明示してあった。
<モリノホテル>
ギャラリー会場を見ると、目に飛び込んできたのは、
普段、稼働壁として使われている
白い壁の箱が「モリノホテル」という
mobile house になっていたのである。
にぎり口を覗くと、2尺ほどの幅の畳スペースが奥へとつづいている。
土足厳禁なので靴を脱ぎ、這いつくばって、
奥へ進むと床の間があり、一休禅師の掛軸があった。
<代表的な日本人>
真ん中にある mobile houseは、
「代表的な日本人」というロゴが白い壁にプロットされている。
反対側の壁には、小型冷蔵が壁に設えられており、中に入ると、
仮面と壁から抜け出ようとする人の像が両脇の壁にあり、
小型冷蔵の中は、空っぽになっていた。
奥には山水画のお軸が掛かっていた。
<HOTEL養生>
一番奥の mobile house は、
貝原益軒の『養生訓』をコンセプトに、
(メダカの学校)の水槽のある読書室があった。
外の白い壁の上方には、「完ぺきをのぞむな」という
ピンクのネオンサインが妖艶な雰囲気を出していた。
床には藁が敷いてあった。
また、白いシーツの布団の枕の下には水枕が置いてあり、
この細長く高い棺のような mobile house で休養するのも、
乙なものかと思った次第である。
<HOTEL養生>の水槽(メダカの学校)
いずれのmobile house は、
土足厳禁となっており、
十日前に起こった熊本地震の震災復興を予感する
mobile house の夜明けを感じさせるのであった。
Still moving/京都国際写真祭
「京都ぎらい」はイケズが素也(笑)