人生を変える小説 by 魔法のネコ -5ページ目

人生を変える小説 by 魔法のネコ

即興小説を書いています。是非ご覧下さい

「ウィルスだって!?」

「ああ、そうだ。つまり代々君の奥さんの家系は人とは違う

ウィルスを保持していた。そしてウイルスは体の中で徐々に

育ってゆき、その人ごとの能力となって発揮されている。

人によって発症の早さは違うが、脳にある力に不可がかかることで、

熟された能力が開花されるとふんでいる。不可とは、つまり

ある事故などで必要以上の力が脳にかかることで、それがきっかけになるはずだ」

、どうだ?ずばり奈津子ちゃんは事故で頭をぶつけただろう。」

「ああ、その通りだ。」

「奥さんも同じはずだ。」

「ああ」父が発言する。

「つまり、もともと脳に持っていたウィルスが体と一体になり

満タンになったときに、衝撃を受けて同時にはじけて脳が活性化させるというわけか。」

「ああ、そうだ。そしてその活性化された能力は、相手の脳に反応

させるほど強い周波数をおびえていて、脳の呼応機能が強化されるんだ。」

「脳の呼応能力か!」

「そうだ。通常、脳というのは単体で動いており、ここがそれぞれ

の周波数を持っているんだ。普通の人も呼応能力というものを持って

いるが、それは微量な程度だ。よくあるだと、価値観が一緒の人とか、

一緒にいると休まる人とか。あれはすべてこの能力によるところが多い。

しかし、奈津子ちゃんの能力は、周波数は及び数千万倍と思われる。

だからどの周波数もキャッチするようになり呼応により、治癒能力を

作ってしまうんだ。つまり、脳は外部の刺激により本来あるべき正しい

回路を自動的に生成してしまうんだ」

「脳そのものが自分で回路を作るよういなるのか。」

「そうだ。外部神経と心理状態が呼応する時にこれが生まれるんだ」

「。。。。」

私は言葉を失っていた。

「実は、奥さんの弾いた曲が残っていたので、病気のねずみに

CTスキャンをして十分に分析してから、音楽を一週間聞かせてみた。

すると病気一週間後に直った。そこでふたたびCTスキャンをしてみると、

なんと脳が肥大していたんだ。

そして病気の部分は消え去り、大きくなり強化されていたんだ。」

「ということはつまり何が言いたいんだ?」

「つまり、奈津子さんの曲を聞いた人は脳が活性化されて、

脳そのものが進化することで強い病原体にも打ち勝つような脳になるんだ。

そして自己能力を強化するんだ。脳そのものが肥大をしていくんだ。」

「そうか、つまり奈津子が直すのではなく。奈津子の曲に反応した人の脳が

強化されて自分で自分を直す力を強めるわけか。」

「その通り。」

「それで、納得出来た。サイキックというわけじゃないんだな。」

「ある意味超能力とも言える。普通の人には奈津子ちゃんほどの能力は

ないわけだからな。この能力は過去にも多く発揮されてきた。モーツァルト、

ベートーベン、みんなそうだ。しかし奈津子さんの場合はその能力が

飛躍的にすごい。それだけだ。」

「そういうことか」

「ただ、気づいているかと思うが、一つ大きな問題がある


それは急激に脳が肥大することで原因で膵臓に腫瘍が出来る。

そして砂田さんは、この能力の問題について話はじめた




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「奈津子さん、あのやらせになぜ参加したのですか?」

「あなたはやらせヒーラーだったのだったのすか?」

そういう避難の声に、奈津子は肩をすぼめた。

私は恐怖の中にいた。こうして何もしていないで家にいるだけで

不安が襲ってくる。首をふり、なぜこんな状況になってしまった

のかという後悔だけを繰り返していた。

「前へ進まないと、何も始まらない」

そういい聞かせているが、足がすくむ。

雑誌社ではこぞって、奈津子の能力を批判をしていた。

コンサートの依頼は急激に減った。テレビ出演も、批判の的に

なると木俣さんが断っていた。

「奈津子の能力は思い込みによる心理的治療」とまで非難をされていた。

しばらく落ち込んでショックを受けていたが、二週間も経過すると

大分落ち着いてきた。

ピアノは変わらず弾き続けたが、あの弾き方はやめていた。

コンサートとテレビ出演を頻繁にやり過ぎて調子を崩していたのだ。

病院へいくと騒ぎになるので、検査にもいけない状態だった。

心配した父は、元知り合いの研究者がやっている、九州の病院に行こうといってくれた。

「ようこそいらっしゃいました。」かつて父と一緒に「この能力」について

研究をしたことがあるという砂田さんという研究者の方だった。

「大変でしたね。いろいろ話題は新聞や雑誌で読んでいます。

私はお母さんの頃から研究を重ねておりますのでよく状況は存じております。

お父さんとは研究仲間ということは聞いてますね?」

「はい」

「すまんな、砂田にまで迷惑をかけることのないようにする。」

「いいや、声をかけてくれて嬉しいよ。実は俺もお前の奥さんと蒸発し

てから気になっていたんだ。いつか声がかかるかもしれないと思い、

研究だけは続けてきた。これは人類にとっても大切なテーマだからな。」

「で、おまえの研究の結果はどうなんだ?」

「ああ、実は、あの能力の発生は音楽による暗号かと思っていたが、

実はそうではなく、むしろ。。。。。から発症している能力だと俺は思ってる。」

。。。。とは一体なにか??次回へ続く





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「会場のみなさん、私は大変失礼なことをしました。

まずは落ち着いておすわりください。奈津子さんはすばらしいヒーラーです。

そしてピアニストです。我々は奇跡を目にしました。」

昌子は盛大にアピールをした。そして番組は幕を閉じた。

私は未だに起きた現実を信じることが出来なかった。

なぜあんなに短期間に効果があったのかしら。

すると、楽屋のドアがあいて、木俣さんが入ってくる。

「。。。。。。」めずらしく元気な木俣さんが落ち込んでいる。

「どうしたんですか?」

「いや、君に申し訳なくて。」

「なにがですか?」

「いや、まあ、俺は実は知らなくてすべてはめられたっていうか」

私は木俣さんが見返す。

「なんていうのかな。うまくいえないけど」といささかオーバーな仕草で何かを

言い足そうな感じだった。

「どうしたんですか、めずらしい」

「さっき車いすの子が立っただろう」

「はい」

「あれは、実は、やらせだったことがわかった。」

「え、やらせってどういうこと」

「俺は全く知らされてしなかったが、事務所の社長が許可したらしい」

「もし、あれがやらせだったら、お客さんのことをだましたってことになるわ」

私は落ちこんだ。

木俣さんは励ますようにいった。

「でも、あれは君は知らんかったし。君のせいじゃない」

「たとえ、私がついた嘘じゃなくても、視聴者をだましたことには違いない。

こういうものっていうのはひとつの嘘がすべての信頼を壊してしまうもの。」

「。。。。。」さすがの木俣さんも複雑な表情を浮かべる。

「私は嘘つきのレッテルを張られた」

「すまん、俺がついておきながら調子に乗って能力をアピールしたせいで、

こんな事態になってしまって」

その場の空気が凍り付く。

私もある程度は覚悟をしていた。やはりテレビ番組だし、話題の昌子の部屋なので

多少の演出は仕方がないと思っていたが、やらせまでやるとは想像もしていなかった。

私は父が心配していた暗闇の中にほおりなげられた自分に後悔をしていた。

ここから私はどうしたらいいのだろうか

すぐに父に電話をしたかったが、まずは自分でまいた責任をきっちりとけりをつけたかった。

「私はとんでもない場所にきてしまった」改めてそう思った。

ただ気づくのが遅かった。

不安は予想通りに的中した。ある雑誌社が今回のやらせ番組をすっぱ抜いたのだ。

当然、避難は奈津子に集中した。

今までさんざん持ち上げてきたメディアは一斉に彼女をたたきだした。





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ほほほと昌子が笑う。

「まあ、疑いをかけたり、信じないということも否定は出来ません。

私自身もこの能力に関しては100%のコントロールが出来ていないと思ってますから。

「では奈津子さん自身もこの能力を信じていないと思ってよいですか?」

「いいえ、信じていないわけではありません。大切なのは良い演奏を弾くことだ

ということには変わりなく。私はヒーラーではありませんから。」

「分かりました。」昌子は切り返す。

「では一旦、CMを挟んでから。演奏をしてもらいましょう。

純粋なピアニストとして。それではどうでしょうか?」

「はい」

ひとまず、CMに入り、私は楽屋に戻る。

木俣さんがあわててやってくる。

「ごめん、なっちゃん。本当、俺も知らなかったんだ。だまされた。

すぐやめようこんな企画。」

「ううん、いいの。昌子さんも言っていたようにとりあえず演奏だけしましょう。

お客さんは私の演奏を見に来たんだから。」

そう言って、私は休憩後に現場に戻る。

「さて、仕切り直して、奈津子さんの演奏をお願いしましょう。」

そうして、私は弾き始めた。

軽やかな演奏が続いた。私は心を落ち着かせて一心不乱に弾き続けた。

会場の空気もあざやかな奈津子の演奏に聞き惚れている様子だった。

演奏をはじめて30分もたったころだろうか。

会場の一人の客が大きな声をあげた。

「キャー」

周りから次々に驚きの声があがった。

「こんなのありえない。。。。」昌子の驚く表情が見える。

私は集中力を乱されないように必死に鍵盤を見ていたが、

昌子が演奏を無視するかのように、会場へ向かう。カメラは私と会場を交互に移し始める。

「いや、だって時間が早すぎだろう」プロデューサーも出てきた。

そして演奏を終えた。私は顔をあげた。

すると、なんと、あの車いすの少年が立ち上がり歩いているではないか。

「ええ、私もこの状況が信じられません」昌子はうなだれていた。

そして、続けた。しかし本当の試練はここからだった。



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「それって、難しい選択だね。人の命に差はないもんね」

「病気で運命が変わる人もいるだろう。本来は病気になって死ぬ運命の人

も生き延びたときに歴史は変わるかもしれない。」

うーん。私はうなった。

「私の出来ることってなんなんだろう」

「君の出来ることは、君らしくいるだけさ」

私は大きくさらにうなづいた。


夏がすぎて、秋がやってきた。季節が変わりはじめた。

今年は冷夏だったためか秋がやってきてもなんだか実感がわかない。

街野風景や、服装を見てようやく実感できた。

私はテレビ出演をしていた。昌子の部屋の収録だ。

「みなさん、こんにちは。昌子の部屋です。」

「さて、今日は話題のヒーラーピアニスト奈津子さんです。どうぞ」

会場から拍手が起きた。

「早速ですが、奈津子さん。その力はどうやって手にいれたんですか?」

「そうですね、母から厳しく教えこまれているうちに身に付いたって感じでしょうか。」

「遺伝ですね~」

「そうかもしれませんが、実は気づいたのは最近で、病室で偶然少年がやってきた

私の演奏を聞いているうちに病気が治っちゃったときかもしれません。

「そうですか、それはすごいですね。どんなご病気だったんでしょう」

「なんだか末期の病気が治ったとか聞きました。」

「ますますすごい」会場は昌子のトーンに引きずられて声をあげた。

「今日は早速ですが、車いすでたてない少年を連れて参りました。」

会場がざわめく。私も聞いていない演出で、驚く。

マネジャーがプロデューサーに対して怒っている様子が見える。

昌子の部屋は生放送だったので、これで引くわけにもいかない。

「さて。。。」昌子が車いすの子に寄っていった。

両手を差し伸べて、話はじめる。

「ぼうや、今日は奈津子さんが来てるのよ。ピアノであなたを歩かせてあげるからね。」

昌子はいやらしげにそう言った。

「もし歩いたら、何をしたいですか?」昌子が少年にきく。

「ぼくは、サッカーがしたい」

「そうか、すぐ出来るようになるよ。奈津子さんだもん」

「さあ、ではお願いしましょう。奈津子さんはりきってどうぞ!」

奈津子は知らされてなかったこともあり戸惑った。

マネジャーもどうやら知らなかったということは分かった。私は

一人この場所に置き去りにされてしまった。

「うーん、どうでしょう奈津子さんは無理でしょうか?」昌子は嫌みのように言う。

私は微笑みを返して、ぐっとこらえた。

「そうですね、即効性という効果は期待は出来ないと思います。もちろん良い効果は

生まれると思いますが。」

「ああ、そうですか、ということはあの能力はまやかしだったと思っていいですか?」

会場の空気が凍り付いた。どよめきが生まれた。



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木俣マネジャーはテレビ取材を入れることを条件に依頼を受けるよう指示をしてきた。

最初は断ったが、これは社長命令ということで逆らえなかった。

依頼をしてきたお母さんも快くこれを受け入れた。

テレビ取材陣は依頼者に質問をする。

「ええと、匿名希望の〇〇さんですね。今日は〇〇さんのお宅にお邪魔しております。

実は今話題の奈津子さんのヒーリングピアノを受けてもらおうと思いやってもらいました。」

そうして、冒頭に彼女の手紙が読まれた。

「ということで、奈津子さんには今回の病気の詳細はお伝えしております。

自閉症という情報だけです。」

そう案内者が言いながら、奈津子を伺うようにして見た。

「さあ、奈津子さん準備が出来たらはじめてください。」

「はい、分かりました。」

そして弾き始める。最初はゆっくりと、そしてスピードを

あげていく。

私は息を長ーく吸い込み、そして「止めた」

止める時間が大分長くなり、今は三分も止めるようになれた。

そのまま腹に力をこめて、弾き始める。

凄まじいほどの指の動きが出てきた。そしてテンポの良い曲が流れる。

依頼者の娘さんも曲に反応をはじめた。

そして、曲が終わったときには、彼女は笑顔いっぱいになっていた。

依頼者のお母さんも娘さんも喜んでくれた。

私は満足感を持って家路についた。

「今日のコンサートで私は感じたことがある」

家で父にいった。

「この力は良いことのために使えるすごいパワーだと思う」

「そうだね。」

「正直テレビカメラやまわりの人の騒ぎは気になるけど、やはり病気の人が治る

姿を見るのはとてもうれしいし。自分が幸せの一部を担っていると思うと

やりがちがある。」

「やりがいか。」父の顔が若干曇った。

「私はお母さんのことを見ていたから、奈津子の気持ちは分かる気がする。

お母さんも全く同じことを言っていたから。」

「うん、そうでしょ」私はうなづいた。

「だけど、私が奈津子にお願いしたいのは、やりがいよりも。なによりも自分の体

を大切にしてほしい。自分が病気になったら人を治すことも出来ないだろ」

「なるほど」

「だからこそだ。自分の体をよく見ながら弾いてほしい」

「うん。。。。」

「病気を治してしまうのは神の力だ。しかし本当にそうなのだろうか。

何かを削りながら渡しているだけじゃないのかと思うんだ。」

「自分の命を削ってほかの人に渡してるってことか。」

「そうだ。だから命は無限じゃない。それだけはよく理解してほしい」

「本当に大切なことのためだけに使わなきゃね。」

「そうだ。それが大事だ。」

私は大きく頷いた。不安な未来を吹き払う気持ちを強く持っていた。


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最終日を迎えて、体調が悪い私を見て、父が心配そうに横から見ている。

「大丈夫か?」

「うん、」私はおびえた目をしていたのだろうか。父の言葉にうなづいた。

「恐ろしい」

「分かる。やめるならいまだぞ」

父は本当は止めたいはずだ。だけどやめろとはいわない。自分の気持ちで決めたほうが

良いと思っているからだ。そして私は一度決めたら

誰がなんといおうが、オオカミがこようが道をゆずることはしない

性格だというのはだれよりも父が知っていた。

私もこんなぎりぎりの状態での父の気持ちがうれしかった。

きっと逃げ道をあえて作ってくれて気を楽にさせてくれているのだろう。

「世の中にはこんなに病気の人がいるんだね」

「そうだな」父がうなづく。

「みな、救いを求めているのだろう」

父は妙に達観したかのようにいたが実は怖いのだろう。

私もそうだ。人を治す力を持つことが怖い。

ピアノをはじめたとき、人に感動を与えたいと考えたが、それが

出来るようになると今度は違う視点で見えてくる。

コンサートは大成功をおさめた。

終えた後にすぐ検査を受けたら幸いガンは見つからなかった。

コンサートのたびに検査をするのかと思うと憂鬱だったが、

仕方が無かった。

現状はこの能力が自分にどう影響するのかを冷静に見ないといけない。

コンサートの後の反響があまりに大きく、次回のコンサートを希望が殺到した。

またCD、テレビ出演、雑誌出演の以来が後を耐えなかった。

あるとき、一通のはがきを受け取った。それはあるお母さんからの手紙だった。

母子家庭の親子からの切なる依頼だった。

「奈津子さんへ、はじめてお手紙を書きます。ヒーリングコンサートに参加して

驚きました。自閉症の娘が笑顔を少し見せるようになったのです。

娘は小学生のころにいじめにあい自閉症を患いました。音楽が大好きでしたが、

自閉症になってからまったく音楽も聞かなくなりました。そんなときに奈津子さんの

存在を雑誌を知り、これはと思い、コンサートに一緒にいきました。

驚いたことに、笑顔を見せるほど回復しました。しかしまだ本格的に治ったとは

言えない状態です。明るいあの子の姿をもう一度見たくなにとぞプライベートコンサート

をやっていただけないでしょうか。ご検討をお願いいたします。」

手紙からは切なるおもいが伝わってきた。

私は、しばらく考えたが、依頼を受けることにした


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以前に突然取材をしてきた、チュースデイーの発売日がやってきた。

「ヒーリングピアニスト奈津子の驚くべき力とは!」

そんなタイトルが表紙を踊る。

その日から私の周囲が大きく変化した。過去の友人や、知らない人から電話が

ひっきりなしにやってきて、コンサートの予約、CDの売りきれになった。

CDを聞いたけど、病気が治らないじゃない、

これは詐欺だ!と脅迫めいた電話も続いた。

私は気が狂いそうになった。

あの弾き方をしないと、ヒーリング能力は発揮しない。

そして大観衆の人相手にそれが反応するかどうかまだ検証だってしてない。

みんな、即効性のある奇跡だけを求めていた。

私は現状の問題を、ビーク先生に相談した。

ビーク先生も噂を聞きつけていたようで驚いていた。

しかし、私の優しい気持ちが人をいやすのだと言ってくれた。

それをヒーリングと大げさにとらえられているのではと分析していた。

事実を知っている私は不安をぬぐえなかった。

父は、自分たちの身元がすでにバレていて、私を連れ去られていくことを心配していた。

幸いまでそんな事態までは発展していなかった。

父がいた研究室ではどういう分析がされていたのだろうか。そして、私の力を膵臓がんに

ならずにコントロールすることが出来るのだろうか。

「君の先祖は多くの命を救いつづけたヒーローたちだ」

父は何度も言っていた。そんな先祖の力を持っているという事実は

うれしかったが、私は未来への不安を感じていた。

自分の能力がどんな形でも世間の人の役に立つというのはうれしいことだが、まるで

ヒーリングショーを見せるようなコンサートはやりたくない。

明らかにみんなが病気を治ることだけを期待してやってくる。

それを仕事とするのは、ピアニストとしての自分を否定することになる。

そうこうするうちに、私のこの能力を持ってからの初のコンサートがやってきた。

チケットは即日完売。会場は異例の立ち見席まで出来た。

私にとっては新しいデビューのような気持ちだった。

もともとピアニストとしてデビューしたときはこんな大観衆ではなかった。

コンサートはほぼ一週間毎日行われた。

そして客の反応はすごかった。その間、懸命に弾き続けた。

コンサートの一番前の列には、車いすの子が勢揃いしていた。

みんな私の能力を期待してきている。たとえ、病気になっても私は

弾かないといけない。病気になることを覚悟して決意を固めた。

次回へ続く

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「君がまだ四歳のころだった。私と研究室を逃げ出して、北海道で暮らしをはじめた。

お互いに偽名をつかって生活をはじめた。そんな生活をして3年後に奈津子を授かった。

私たちはうれしかった。家系がどうのこうのじゃなく、純粋に我々の子を授かったことが

うれしかったんだ。」

「ーーーー」

父は場所を変えようと言って、病室の前のベンチに移った。

そして話を続けた。

あの日も今日と同じ陽気だった。医者に呼ばれて奈津子を連れていくと、

不治の病におかされたことがわかった。これは運命だと私はあきらめるようにお母さんを

説得した。でもお母さんは聞かなかった。

そして、あの能力を使って君を直すことにしたんだ。

毎晩、毎晩引き続けた。

彼女の体はボロボロになってしまったが、彼女は決してやめなかった。

「いや、、、」私は首を振った。その場を逃げ出してしまいたくなったが、

自分の生きた理由を最後まで聞かなくてはいけないと思った。

もうごまかしじゃない、本当の理由を最後まで聞く。

私は決意を固める。

私は考えてみた。母は私にこの能力を引き継がせたったのじゃない。

私に人生を生きるチャンスをくれたのかも知れない。

なんのためにこの能力は生まれたのだろうか。

世の中の人を助けるためなのだろうか。

なんのためにこの能力は使うべきなのだろうか。

目の前に、数匹の蝶々が舞う。そして蝶々はやがて一緒に花の上に乗った。

私の運命って一体なんなのだろう。

私は思いをめぐらして、考えていた。

ヒーリング能力というのは人の運命を変えてしまう。

そんな資格に私は持っているのだろうか。

いや、私は神じゃない。人の運命なんて変えちゃいけないんじゃないか。

私は沈んだ気持ちになった。

母の「大きな能力には大きな責任が伴う。」あの言葉こだましていた。

そう。

あの時の病室の少年も、相田さんの奥さんも。みんな私が治してあげたいという

気持ちが伝わったんだ。

だから、これは超能力じゃなく、私の心が伝わったんだ。

そう必死に自分に言い聞かせた。

何度も、何度も言い聞かせたが、私の心の中で、何か別のものが反応していた。

それに引きずられていくような予感が支配していた。


次回へ続く


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「そうだ、だから国の滅亡も大げさじゃない。君は気づいてないかもしれないが、

喫茶店、町中で流れているピアノはほとんど君の先祖の音なんだ。」

かつてヨーロッパではモーツァルトやベートーベンの時代に

王様の前でピアノを演奏していただろう。日本でもその名残は

まだあるはだが。」

あれはすべて君の先祖を起因としている。

「ピアニストはたくさんいるのに?」

「もちろん、いるさ。だけど町中や学校などでは君の先祖の弾いたものを使うように

指示がされている。」

「そんなことがあるなんて」

私は初めて知った事実に衝撃を受けていた。そんな未知の世界に自分が

入っていったなんて。自分の気持ちを落ち着かせるように言い聞かせた。

大きく息を吸い込んで私は首をうなだれた。

私がそんな大きな責任を背負っているなんて。

「でも、なんでその能力と膵臓がんが関係あるの?」

「実は、膵臓とこの能力は深い関係にある。私が研究員の課長をしているときに

お母さんが入院してきた。それで彼女の力を分析する指示が下ったんだ。

それで判明したのは、この力を発揮すればするほど、膵臓に負担がかかる。

膵臓というのは臓器の裏側に隠れていて、すべての内蔵の源となってるんだ。

だから、呼吸の力を使うと極端に膵臓に負担をかける。」

「そう、私も呼吸をかえた。」

「そうなんだ、この能力の重要なコツは呼吸法を学ぶこと。

そしてこれを使うと膵臓に負担が極端にかかる。」

私は言葉を失っていた。

「でも、そこまで分かってるのに、お母さんはなぜ膵臓がんになるまでそれを使ったの?」

「。。。。。。。」

父は遠くを見つめていた。そして一拍おいて話をはじめた。

「この事実を知らせたくないが、お母さんは君を救うために能力を使ったんだ。」

私は息を大きく吸い込んだ。深呼吸を繰り返して、頭に空気がまわってきた。

父が私の様子を伺い、話を続けた。


次回へ続く


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