大女優

大女優

岡田茉莉子さんの自伝を読ませて頂きました

文藝春秋から最近、出版されました。


なんと言えばいいのでしょう…

ただただ…

映画を愛する人、これから映画を沢山観るであろう若い人たち、、全ての方に読んで頂きたい！

としか言えません

…読み終わって感激のあまり、何と説明しようか…随分と時間がたちました。

そう…

結局のところ私が

説明なんて出来ないんです。ただ本を読み、感じてください、知ってください、としか言えない。

岡田茉莉子さんは女優になるべくして生まれた方。

岡田さんが産まれてから女優になるまでのお話はそれ自体がすでに映画のようです

そして岡田茉莉子さんを知るということは岡田さんが体験なさった半世紀以上の映画を知るということ。

出演された映画は156本以上…

舞台は68…ドラマは147本

そして現役でいらっしゃるので、その数はまだまだ増えているのです。

私の夫は青山真治という映画監督なのですが…

岡田茉莉子さんはエリエリレマサバクタニという青山の映画に出演してくださいました。

そして、この自伝本の中で映画監督というより映画作家であると評してくださいました。本から一部を抜粋させていただきますと…

『青山真治さんは映像監督というより映画作家だった。そのように私が言えるのも、かつてのメジャー映画会社、その撮影所で育ったひとたちとは、全く異質に見えたからである。映画を演出し監督しているというより、映像を文字のようにして撮影の現場で自由に書き綴っている。しかし、かつてのような映画会社がなくなってしまった今、映画はどのように変わり、どこへ行くというのだろうか。この作品を見ながら期待と不安が、なかば入り混じる思いがした。もっとも私自身も、吉田とともに映画会社より独立、自由に作品を作り続けてきた長い過去がある。青山さんのような個性ある監督の未来に期待したいと思う。』

と。

岡田茉莉子さんの旦那様は

映画監督の吉田喜重監督。

若輩者の私が言うのもおこがましいのですが

吉田喜重監督は

素晴らしい芸術家であり、真理を求めて生きている哲学者だと思います。

私たち夫婦の

自宅の地下に青山の作業部屋があり、青山に何かの用事で部屋に入って行った時

…青山は映画を観ている最中でした…

青山の奥に映し出されたその数シーンの映像を観て…

何という力強い、芸術とも呼ぶに相応しい素晴らしい映像を観ているのか、しばしボー然として動けなかった自分がいました。

たった数カットの映像だったのです。

それだけで私を釘付けにしたのです。

それは吉田喜重監督の戒厳令という映画でした。

この本で岡田茉莉子さんを知るということは吉田喜重監督を知る…ということでもあります。

私は数年かけて

その膨大な数の岡田茉莉子さん出演作品を全て観ようとしていますし…吉田喜重監督作品も何度も観ようと思っています。

そうしたら少しは、、

『何か』に近づける、、ような気がするんです。

何か……。

青山が人生をかけてやろうとしている何かをサポートしたいと思った日からずっと柱になっている何かであるし…

私たち夫婦がやろうとしている漠然とした螺旋状の何かかもしれません。

とにかく少しでもそれに近づけると…生きている気がするんです。

漠然とした表現でごめんなさい

でも人生をかけて生み出しているもの、追い求めているものが形のない『何か』であるものだから仕方ないのです…

とにかく

女優

岡田茉莉子という本を通して…何かを

『知る』

という体験を皆様にもしていただきたい

新年に新たな気持ちで初心にかえりスタートをきる意味でも…

大女優の先輩の存在に大きく励まされたお話でした！

まほより