『13日の金曜日 2』



26年前の4月と言えば

当時18歳のおとうさんは魔力を失い人間になっていたはずだから、なにかあってもあたしの方に分があるよね?

そんなことを考えているうちに、たどり着いたのは

「ここって…」

ほんの一時期だけ、おじいちゃんちの隣にあったっていうお屋敷の中なんだろうか?

目の前にあったドアをそっと開けると

「おとうさん?」

薄暗い部屋のベッドの上で、今よりも若いおとうさんはぐっすり眠っているようだった

そして

机の上にはさっきリビングでみたキルトの巾着袋が大切そうに置かれていた

「さて、と。」

未来の世界を変えてしまわないためにも、おとうさんと直接会うことは絶対にしちゃいけないから

おかあさんが得意な夢の中に入る魔法を使って、話を聞くことにした

人間のおとうさんなら、あとで夢の中の記憶を消すことくらいは出来るはず

「おじゃましまーす」

呪文を唱えて現れた綿あめのような雲の中に足を踏み入れると

「あっ、いた!」

だだっ広い草原のような場所で、一心不乱にシャドーボクシングをしているおとうさんを見つけた

近寄ってみると、あたしの存在に気づいたのか

「誰だよ、おまえ?」

超不機嫌そうな顔で睨まれてしまった

「えっと、あなたの娘なんですけど。」

「はあ?」

怪訝そうな顔をして、じっとこっちを見つめていたかと思ったら

「それはねぇよ、絶対に。」

とっても悲しそう声でつぶやいて、その場にしゃがみこんでしまった

なんで?


※次回に続きます↓