『haunted house 2』
文化祭当日
「きゃあ〜!」
お客様が悲鳴を上げて怖がってくれる度に
「ふふっ」
上手く出来るか不安だった『お化け』の役もクセになりそうなくらい楽しくなって
「苦労して作った甲斐があったね」
「ほんと、ほんと」
机と椅子を積み上げて作った通路に暗幕を張り、さまざまな仕掛けや効果音にもこだわった『お化け屋敷』は大好評で
「嬉しいけど、これじゃあ休む暇がないわね」
とはいえ、やっぱり
なんとか確保できたお昼休みに、隣のクラスがやってる喫茶店にお邪魔すると
「来るなって言っただろう」
お目当てのウェイターさんが眉間にシワを寄せながら注文を取りに来てくれた
「だって、見たかったんだもん」
この機会を逃したら、きっと一生お目にかかれない彼のギャルソン姿を
「で、ご注文は?」
「あっ、えっと…」
白いシャツに漆黒のベストとソムリエエプロンを纏った王子様に見惚れながら、ホットコーヒーをお願いすると
「それだけ?腹減ってんなら軽食もあるぞ」
手書きのメニュー表を見せてくれたのだけど
「ごめんね、うちも忙しいからすぐに戻らなきゃいけなくて」
「あんまり無理すんなよ」
人目を気にすることもなく、手の甲でわたしの頬に触れたあと
「あ…」
ハッと我に返ったのか、咳払いをして行ってしまった彼の背中はとっても照れくさそうだった
それから
午後もお互い自分のクラスの仕事で忙しく、顔を合わせる暇もなく文化祭は終了して
ほっとして、気が緩んだのかもしれない
教室内を覆っていた暗幕を外して、みんなで後片付けを始めたところで
「!!」
やってしまった
こんな時
彼に助けてもらうのが当たり前になってしまっているわたしは
やっぱり甘えてる…よね?
continue(次回に続きます)↓