『haunted house 3』
昼間、ウェイターをやらされていた模擬店に顔を出した彼女は
「じゃあ、終わったら部室の前で待ってるね。」
たしかにそう言っていたはずなのに
「遅いな。」
日が沈み辺りが暗くなっても一向に現れないため
「いつまで片付けやってんだ?」
さすがに心配になり彼女の教室の前まで来てみると、明かりが消えた真っ暗な室内に人がいそうな気配は全くなく
「えっ?」
中に足を踏み入れた瞬間、息が止まるほど驚いた
「!!!」
『ようやく、騎士のお出ましか。』
教壇の前でぐったりとした彼女を抱きかかえて立っていたのは
「カ…!?」
白いスーツに身を包んだ今は亡きマフィア…の霊
天上界にいるはずのコイツがこんなところで何やってんだ?
『それはこっちのセリフだ。彼女に災難が降りかかっているのに気がつかないとはどういうことだ。』
「は?」
なんだよ、災難って?
『もちろん、ギリギリのところで助けたがな。』
助けた?
「じゃあ、どうして…」
彼女は意識を失ったまま動かないんだ?
『久しぶりに会えたんだ、しばらく2人きりの時間を過ごしたくて眠ってもらった…疲れきっていたようだしな。』
「ふざけるな!」
愛おしそうに腕の中の寝顔を見つめる男にムカついて、急いで彼女を奪い返す
「世話になったな、もう帰っていい。」
って言うか、なんで突然現れたんだ?
『ここは死者には居心地が良かったからな。』
男はそう言い残すと、寂しげな笑みを浮かべて闇の中へと消えてしまった
「ん…」
それから間もなく目を覚ましかけた彼女の体をしっかりと抱きしめて
「もう少しだけ、じっとしてろ。」
安心できる場所までテレポートしようとした瞬間
「!」
胸元で揺れた長い髪から、間違いなくこの前と同じタバコの香りがした
「あのヤロウ…」
いったい、いつから彼女にまとわりついてんだ?
continue(次回に続きます)↓