『back 4』
雨音に包まれた薄暗い部屋のベッドの上で
「なぁ…」
大胆に肌けたバスローブからのぞく、真っ白な膨らみにそっと手を伸ばしても
「嘘だろ?」
幸せそうな笑みを浮かべて眠り続けている彼女に、頭を抱えてため息をつくしかなかった
遡ること数分前
背中にくすぐったいような温もりを感じて目を覚まし
「えっ!?」
バスローブ姿で俺の背中に寄り添うように眠っている彼女を見て凍りついた
「サイアク…」
寝起きの混乱した頭でも、だいたいの状況は理解できた
元はと言えば
たまの休みにいつもよりはマシなデートをしようと、内緒で予約を入れて訪れた海沿いのリゾートホテル
天気が良ければ水平線に沈む夕陽を眺めることも出来たはずなのに、あいにくの空模様で到着直後から雨に降られた上に
昨夜も遅くまでバイトをしていて、あまり寝ていなかった俺は…夕食時にレストランで久しぶりにアルコールを口にしたのも手伝い、彼女が風呂に入っている間に眠り込んでしまったらしい
「慣れないことはするもんじゃねぇな」
おそらく、優しい眠り姫にはそんな事情はお見通しだったのだろう
静かに寝息を立てている彼女の表情はどこまでも穏やかで
「どうするよ、これ」
朝まで幸せな夢の中にいさせてやりたい、そんな気持ちもあるにはあるが
「う…ん」
寝返りを打ってうつ伏せになった彼女の肩からは完全にバスローブが滑り落ち、腰の辺りまで綺麗な背中が露わになっている
これ以上ないくらい欲情をかき立てる姿に我を忘れそうになりながらも
ふと、今日はやたらと背中に抱きつかれたことを思い出した
「なんだったんだよ、あれ?」
「ひゃっ!」
お返しとばかりに緩いウェーブのかかった長い髪を指でかき分け、背中の中心を舐め上げる
「いつまでも寝たふりしてんじゃねぇよ、起きてんだろ?」
「ちがっ、ほんとに寝てたの」
チラッと顔だけをこちらに向けて相変わらず伏せた姿勢のままでいる細い体に、体重をかけないようにそっと覆い被さると
「あの、眠いんだったら…」
空気を読まない発言をしかけた彼女の唇を背後から塞いだ
continue(次回に続きます)↓
※タイトルの『back』は一応『背中』ってことにしといてください(←今回はタイトル何も思いつかなかった人)