※このお話にはオリキャラが登場しますのでご理解の上でお読みください。
『distance 4』
パーティは想像していたよりもずっと楽しくて、年齢の近い一族の子たちとの会話もそれなりに盛り上がり
「近いうちに人間界に遊びに行くね。」
あちこちでそう声をかけられながら帰り支度を始めようとした時
「ちょっと、いいかな?」
さっき門の近くでわたしのことを待ち構えていたオリバーに腕を掴まれた。
「な、なあに?」
「折り入って君に聞きたいことがあって。」
強引に腕を引っ張られて連れて来られたのは薄暗い応接間のような部屋で
「あ、あのう…」
こんな場所でふたりきりって…ちょっと、待って
「単刀直入に言うけど、君のことをもっと詳しく知りたいんだ。」
「!」
今度は腕じゃなくて腰に手をかけ抱き寄せられそうになったのに驚いて
「さ、さよなら。」
オリバーを突き飛ばすようにして部屋から飛び出すと、転がるようにしてお屋敷を後にした。
履いていたハイヒールが両方とも脱げてしまったのも気にせずに、あてもなく進んだ先に見えてきたのは
「想いヶ池!」
なんにも考えずに勢いよく飛びこんで、辿り着いた先は
「ここ…どこ?」
草木が生い茂っている植え込みのような場所に放り出されていた。
周囲を見渡すと大きなマンションや一軒家が立ち並ぶ住宅街といった様子で
「さすがにこの格好は目立っちゃうよね。」
ドレス姿で素足だなんて夜とはいえ人目が気になりすぎる。
「ごめんね、ちょっとだけ貸してね。」
通りかかった子猫に噛みついて変身すると木の上に飛び乗り、辺りを見下ろしてみるとそこは彼のアパートから程近い場所でほっとした。
その時
通りを歩いてくる見覚えのあるシルエットにドキッとした。
どんなに暗くても絶対に見間違えるはずがない大好きな人。
小さな段ボール箱のような物を抱えた彼がさっきわたしがいた植え込みのあるマンションの建物の中へ入って行き
やがて木の上からでも見える2階の廊下に姿を現した彼は…ひとつのドアをノックすると、中から出て来た女性とともに部屋の中に消えて行ってしまった。
continue(次回に続きます)↓