まずかった…だろうか
夜勤のバイトのことを彼女に伝えたこと
一人暮らしの生活費を自分で稼いでいる身としては、普通の高校生では出来ない深夜のバイトも18歳を超えているためシフトに入れてもらえるのはとても有り難く
時給が良いから休みの前日なんかには時々やっているものの、体力的にきついのは事実でそれを彼女が心配してくれるのはいつものこと…ではあるけれど
せっかくデートに誘ったのに思ったより浮かない表情に見えた上に、アパートの俺の部屋でゆっくりしようとまで言わせてしまった
余計なことを言わなければ良かったと後悔しても後の祭りなのは分かっている
とにかく
試合が終わってようやく作ることが出来た彼女と過ごせる時間を、この狭い部屋でふたりきりでいるのはなるべく避けたかった
いつものように差し入れをしてくれたついでに食事をしながら話をする程度でも自制心を保つのに苦労しているのに、しばらく忙しくて触れていなかった彼女と長時間一緒にいればいくらなんでもそういう雰囲気に流されてしまいそうで
やせ我慢と言われればそれまでだが
まだお互いに学生でもあり、自分が生活するので精一杯の状態のうちは無責任なことはしたくない
彼女のことが大切だから
だからあえて今回は外で会おうと提案したものの、また彼女を悩ませる羽目になった気がして自分の不甲斐なさにため息をついた
そうこうしているうちに
あっという間にデートの当日になり
夜勤を終えて仮眠を取った後ジムでのトレーニングで汗を流し、軽い昼食を済ませて彼女の家に迎え行く
「ごめんなさい、待たせちゃって。」
玄関先で少し待たされたのちに現れた彼女は、ブラウンのニットにモノトーンのチェックのロングスカートという秋らしいコーディネートで
「どっか、おかしい?」
普段の制服姿とはまた違う可愛いらしさに見とれていた視線が気になったらしい
「…ずいぶんデカいバックだなって思って。」
照れ隠しになったかどうかはわからないが、半日のデートにしてはかなり荷物が多い気がして聞いてみた
「女の子はいろいろあるの!」
「べつにいいけど…持ってやろうか?」
「ううん、重たい物はないから大丈夫。」
「ところで行きたいところは決まったのか?」
「う、うん。」
今日はどこに行くにも気持ち良い天気だし、てっきり屋外かと思った彼女の希望はなぜか
「映画館?」
「そう、どうしても見たい映画があるの。」
いったいなんでそうなるんだ?
continue(次回に続きます)↓