『love game 2』
「だからさ、1回だけでいいからさあ…頼むよ」
「無理です、いいかげん諦めてください」
先週から始めたレンタカー屋でのアルバイト
戻って来た車の洗車作業だけで苦手な接客も無く時給もまぁまぁなのは良かったのだが
受付で働いている男性社員にしつこく誘われるようになり困り果てていた
いわゆる、女性を交えた食事会とやらに
「ほら、昨日車を返しに来たお客さん覚えてるだろう?モデルもやってる女子大生でさ君と飲みに行きたいって何度も電話してきてさ」
「俺は高校生だって何度言ったら分かるんですか?」
「それ、冗談なんだろう?」
老けてて悪かったな
「とにかく、俺は彼女もいるんでそういうのは遠慮しときます」
「彼女って…結婚してるわけじゃないんだから食事くらい大丈夫でしょ。それに若い時にいろんな女の子と遊んでおかないと後で絶対後悔するよ」
しねーよ、馬鹿
ジムの先輩にも最近
「ひとりの女と長く付き合ってるとマンネリ化するからたまには羽目を外した方がいいぞ」
というようなことを言われたが
お人よしでまっすぐでおっちょこちょいで泣き虫な彼女といて退屈するなんて事は出会ってからただの一度もなく
むしろ一秒でも長く一緒にいたいといつも思っているというのに
なんで世の中の男はどいつもこいつも本気で好きでもない女と簡単に遊びたがるのか俺には全く理解出来ない
そんなこんなでいらいらしながら歩いていた夜更けの帰り道で
どこからか、弱々しい猫の鳴き声が聞こえてきた
ふと足元に目をやると街灯の下に置かれた小さな箱の中にぐったりとした一匹の子猫が横たわっていた
continue(次回に続きます)↓