『blood 5』




生き血、ねぇ。



今朝まで気付かずにいた彼女の異変



一週間以上も一睡も出来ていなかったなんて、いくら彼女が人間ではないとは言え普通じゃない。



バンパイアの一族の血を引く彼女には成長の過程において一度は生き血を飲む必要があったということらしいが



「それは人間の血でないとダメなのか?」



映画や小説に出てくるバンパイアは若い人間の女の血を好んだ気がするが少しひっかかることがあった。



「どういう事?」



「さっき、わずかな時間だったがぐっすり眠っていただろう?」



彼女が不思議そうな顔をして頷いた。



「うん、すごく気持ち良く眠ってた気がする。どうしてだろう?」



魔女が察しがついた表情をして「なるほど」と言った。



「つまり先ほど誰かの血をわずかに口にしたと言うことか?」



「えっ?わたし血なんて飲んでいませんけど…」



彼女は気がついていないが俺の中では解決方法が見つかった。



「帰るぞ。」



来た時と同じように彼女を抱えてテレポートを試みようとして魔女に声を掛けられた。



「一滴や二滴ではあまり効果がないぞ。」



そう囁いて俺のジーンズのポケットに彼女には分からないようそっとナイフを差し入れた。



「サンキュー、世話になったな。」



さっさと彼女を元に戻してやるべくテレポートをする先は



『恋人の森』




continue(次回に続きます)↓