『first kiss 2』
「わぁっ!?」
放課後にばったり廊下で会った彼女はまるで化け物に遭遇したかのように素っ頓狂な声を出して驚いていた
「なんだよ一体?」
「あ、ううん何でもないの…」
いくら鈍感な俺でも、こんなに焦った様子の彼女を見て何でもないと思う訳がなく
「つまり、なにかあるって事か」
無意識に力を使って彼女の心を読もうとした時
『やめて!』
今までに感じた事のないほどの強い心の抵抗を受けますます心配になってくる
「…どうした?読まねぇから言って見ろ」
彼女は今にも泣き出しそうな、それでいてひどく怒っているような複雑な表情を見せた
「あの、ほんとに大した事じゃないの」
「言いたくないなら無理には聞かねぇけど…困ってる訳じゃないんだな?」
「うん、大丈夫。ごめんなさい驚かせちゃって」
珍しく頑な彼女にそれ以上何かを聞き出すことはあきらめてその場は別れたものの
その時、微かに聞き取れた彼女の心の声は多分『ファーストキス』だった
ファーストキス…って何だ?
いや、もちろんその言葉の表す意味はわかる
俺たちのファーストキスって事か?
彼女とのこれまでの関係をどんなに思い起こしてみても、はじめてはあの時のキスしか記憶にない
先祖が記した二千年前の出来事の古文書。それを夢魔の力でロードショーにしたものをルーマニアで見てお互いに感情が高ぶっている中で言い争いになり、言葉で気持ちを伝えるのが苦手な俺が彼女の口を塞ぐためにとっさにしたキス
ムードも何もない乱暴なキスだったのは確かだが、今さらあの時の事で彼女が悩んでいるとは考えにくい
だとすると
俺以外の男と何かあったと言うことなのか
良く考えれば俺自身の双子の弟も含め、今は亡きマフィアや芸能人まで彼女に言い寄っていた男はたくさんいた
おまけに俺が赤ん坊として生まれ変わっていた頃の事は把握しきれていない
あまり考えたくはないが
もしそうだっただとしても
きっとそれは何かのハプニングか彼女の意思ではないところで起きたはず
彼女はずっと俺しか見ていなかったのだから
continue(次回に続きます)↓