『first kiss 3』




また、やってしまった


わたしは何でこんなに馬鹿なんだろう


よりによって彼の前であんなに分かりやすく顔と態度に出すなんて


今さら考えたところでどうなる物でもない過去のキスの事なんかで、あんなに大袈裟にうろたえて彼を驚かせて


今日もあの後ジムとバイトで大変だったろうに、また余計な心配を掛けてしまうなんて恋人失格だ


つくづく自分に愛想を尽かしたものの、夕飯もそこそこにお風呂で気持ちを落ち着かせながら考えてみる


わたしが初めて男性にキスされたのはお父さんの小説が映画化された時。(出演した魔界のモンスターが人間界のカメラに写ってなくてグダグダになってしまったけど)


体調を崩したヒロイン役の女優さんのピンチヒッターとして彼女に噛み付き変身して演じていると、それがわたしだと知らない主役の俳優にアドリブでされたキス


あの時は女優さんとしてキスしたのであってわたしがキスした訳じゃないと必死で自分に言い聞かせ、そこまで引きずっては無かったのだけれど


彼が知ったらあまりいい気持ちはしないかもしれない


それより問題なのは彼とのファーストキス


彼が普通の人間だった最後のクリスマス


弟の誕生会も兼ねた我が家のホームパーティーに彼を招待した時、帰り際にわたしに星のペンダントをプレゼントしてくれて


あまりに予想外の嬉しい出来事に舞い上がり、いろんなハプニングも手伝って彼の夢の中に入り込んでしまい


ペンダントのお礼を言いたかっただけなのに勢いあまって魔界のモンスターだと告白して泣いてしまったわたしに彼は優しくキスをしてくれたのだけれど


その直後に彼は魔界の王子として赤ん坊に生まれ変わってしまい、夢の中の出来事と言う事もあって向こうはほとんど記憶がない様子で


これは…反則だよね


夢の中では覚醒している時とは明らかに彼の意識も違ってくるだろうし、勝手に夢に入り込んで普通だったら絶対に言わなかった秘密を口走って彼を混乱させた上でしたキスに意味はないのかもしれない


なんにせよ


わたしのファーストキスはかなり複雑で分かりにくいものになってしまった


自業自得なんだけど




continue(次回に続きます)↓


  

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