見つめる瞳から目が逸らせない。
「あ、あの」
「なに?」
何時もと違う声色に、心臓がドクリと音を立てる。
回された腕。ふんわりと彼から香る匂い。
どうしたらいいのかが判らない。
でも、振りほどく事すらできなくて…。
引き寄せられ、彼にすっぽりと包み込まれ私をきつく閉じこめて離さない。
「なん…で」
「したかったから」
戸惑いを隠しきれず、慌てて彼から距離をとって訪ねた私に彼の顔が近づいたと思った瞬間、唇に触れない感触。
見開いた瞳に映るのは、彼の整った顔。
■□■□■□■□■□■□■□あとがき
久しぶりに、緋色の欠片を書いてみました。
お相手は、初の真弘先輩です。何時もとは違う先輩を書いてみました。