超えてはいけないこの境界線だけは(15) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

「亮司・・・さん・・」


目を開けると視界に広がったのはいつもの自分の部屋。

夢だったのかと思うくらい暖かなぬくもりに包まれているような気がして

けれど、目が覚めた瞬間感じたのは言い知れない不安。


「行かない・・と」


ふらつく体を起こしベットから抜け出すと、クローゼットの中から洋服を取り出し

手早く着替え部屋を出る。


「珠洲!何をしているの!」


おぼつかない足取りで廊下を歩いていると

真緒姉さんが私を見つけ慌てて駆け寄ってくる。


「部屋に戻って・・・」


「行かないと・・」


「何を言っているの?」


「行かなきゃ」


真緒姉さんの手を振り払い玄関へ向かう私を姉さんは後ろから

羽交い絞めし外へ出ることを止める。

けれど、その間にも私の体は不安に包まれていて。


「お願い・・・。真緒姉さん、行かせて」


「そんな体でどこへ行くというの!」


「良いから行かせて!」


「珠洲・・・・」


大声を上げた私に、真緒姉さんは驚きを隠しきれない様子で

私を見つめる。

そうだろう。私がこんな風に大声を出す事なんて無いから。

私を止める手が緩んだ瞬間、玄関へ向かって再び歩き始める。


「亮司・・さん・・・」


真緒姉さんの手を振り払い外へ出ると

私は歩き始めた。


彼がどこへ行ったのか。

私の不安が的中するのならおそらくあの場所。




恐ろしい光景が目の前に広がる。

思い出したくない出来事


考えただけで心が、体が震える。



けれど・・・・・。




「行かなきゃ・・・・」




そう、行かなければならない。

向き合わなければならない。


私がきちんと向き合うために。


これからのこと


すべてにおいて。

















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あとがき

次回・・・・は珠洲ちゃんの原因がわかります。たぶん