第四章 第七話 何度この手を汚しても(7) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

「将臣くん!」


聞こえきた声に、咲弥は気づかれないように小さく息を吐いた。

望美の呼びかけに将臣も少し顔色を変えたが、すばやく隠し

いつもどおりの笑みで彼女を迎えた。


「本宮に行くんだよね」


「ああ、まあな。それよりお前の仲間は?」


頬をかきながら将臣は、いつもは誰かと行動している望美が

一人でこちらへ来たことが不思議に感じたずねた。


「ああ、手分けして探そうかな?って事になったの。

私は、将臣くんの姿を見かけたから思わず―――」


「走ってきたって訳か」


少し呆れた顔で望美を見てポンと頭に手をおく将臣に頬を膨らませ

それでも少し嬉しそうに笑顔を見せる彼女の姿に

咲弥は苦笑を浮かべるだけ。

あたりを見渡しても彼女を守るべき八葉の気配が感じない。

おそらく本当に慌てて彼女はこちらへ来たのだろう。


「将臣、目的は同じなのだから一緒に行動してもいいのでは?」


「いいのか?」


「かまわないわ」


一転し同行を共にすると告げた咲弥に、不思議に思ったが嬉しそうな望美の姿を見ると

これ以上は何も居えず将臣は先へ進むことに決めた。


「兄上が、気にしているようだが?」


「気にしないわ」


「ふっ・・。本当に俺を飽きさせないな」


「ありがとう」


知盛に言葉に、咲弥は微笑を浮かべ答えるだけ。






「行きましょう。原因を探りに」



望美の言葉に、誰もが頷き歩き始めた。