あれから、どのくらいの季節が流れただろうか。
目の前に広がる赤い紅葉が俺を包み込んで離さない。
「幸せは、貴方の上に降り注ぎますように」
誰よりも、強くもろい玉依姫。
運命を覆す事ができると信じたあの日。
自分よりも、他人が傷つくのを悲しみ
涙を流す愛おしい姿。
そんなお前の運命を、変えたかった。
お前が俺に願う幸せは、俺もお前に願ったこと。
「珠紀・・・」
「この人たちを殺したら、私がお前たちを殺してやる!!」
倒れた俺たちをかばいながら、大声で叫んだ言の葉は
どの守護者にも力を与え。
そしてお前の守護者に選ばれて誇らしかった。
震える体で
逃げようと思えば逃げることもできたのに。
それすらせずに、お前はいつも俺たちに笑顔を見せて
暖かな気持ちを与えてくれた。
それなのに
「願うは、貴方が微笑んでいられる世界であるように」
光に包まれ、俺を抱きしめそっと触れた唇。
お前のぬくもりを感じようと抱きしめようとした瞬間
お前は光の粒になって俺の前から消えてしまった・・・。
「お前が、いないと俺はどうやって笑えばいい?」
つぶやきは森の中に消えていく
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あとがき
誰を視点に書いたかは、読んでいる人のお好きにと言うことで。