なんで、どうして?
何が起きたのか、それすら分からなくて。
けれど―――。
克彦さんと別れたあの夜。
本当にいつもと同じだったから、また会えるって思っていた。
その日も同じように、克彦さんが迎えに来るのを家で待っていた。
しかしいつまでたっても克彦さんが現れる気配はなくて、
「どうしたのかな?」
「めずらしいね。壬生先輩が遅れるなんて」
「どうする?珠洲」
陸と晶も克彦さんが来ないことに少し疑問に思っていて
先に学校へ行こうかな?ってそれも思ったけど、もしかしたら完璧な克彦さんも寝坊したのかもしれないって
そんなことが頭をよぎって、もう少し待っていようって考え、二人に告げると
頷いて了承してくれた。
入り口へ視線を向け空を見上げると、いつの間にか空には厚い雲が覆われて
雨が落ちてきそうな雰囲気になっていた。
「傘を持っていかなくちゃ」
頬に当たる風が湿っていていつ雨が落ちてもおかしくないほどで
家に傘を取りにもどろうと視線を家に向けたと同時に、
「姉ちゃん!!」
小太郎君の叫び声が辺りを響かせる。
「おはよう、今日はおそ――」
「大変なんだ!兄ちゃんが!?」
「え?」
かなり取り乱していた小太郎君の口から聞かされた内容に
身動きが取れない。
隣で、陸と晶がなにか言っているけどそれすら耳に届いてなくて。
「珠洲!!」
晶のいらだった声にようやく思考を戻したけど
上手く言葉も伝えることが出来なくて。
「先に壬生先輩のところへ、俺は亮司さんを呼んでくるから」
「わかった。小太郎。案内頼む」
「うん」
何もいえないでいる私を他所に、晶が陸に告げると陸も頷いて
私の腕を捕まえ、小太郎くんと一緒に克彦さんの家に向かった。
それでも私にはまだ分からなくて・・・・・。
「しっかりしてくれよ、姉さん」
「・・・・うん」
走りながら私に声をかける陸に返事を返すだけで精一杯で。
とにかく克彦さんの元へと向かった。
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あとがき
克彦さんが出てきません。ぐすん。次回には出てくると思います。