記憶の奥で(2) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

なんで、どうして?

何が起きたのか、それすら分からなくて。

けれど―――。



克彦さんと別れたあの夜。

本当にいつもと同じだったから、また会えるって思っていた。

その日も同じように、克彦さんが迎えに来るのを家で待っていた。

しかしいつまでたっても克彦さんが現れる気配はなくて、


「どうしたのかな?」


「めずらしいね。壬生先輩が遅れるなんて」


「どうする?珠洲」


陸と晶も克彦さんが来ないことに少し疑問に思っていて

先に学校へ行こうかな?ってそれも思ったけど、もしかしたら完璧な克彦さんも寝坊したのかもしれないって

そんなことが頭をよぎって、もう少し待っていようって考え、二人に告げると

頷いて了承してくれた。

入り口へ視線を向け空を見上げると、いつの間にか空には厚い雲が覆われて

雨が落ちてきそうな雰囲気になっていた。


「傘を持っていかなくちゃ」


頬に当たる風が湿っていていつ雨が落ちてもおかしくないほどで

家に傘を取りにもどろうと視線を家に向けたと同時に、


「姉ちゃん!!」


小太郎君の叫び声が辺りを響かせる。


「おはよう、今日はおそ――」


「大変なんだ!兄ちゃんが!?」


「え?」


かなり取り乱していた小太郎君の口から聞かされた内容に

身動きが取れない。

隣で、陸と晶がなにか言っているけどそれすら耳に届いてなくて。


「珠洲!!」


晶のいらだった声にようやく思考を戻したけど

上手く言葉も伝えることが出来なくて。


「先に壬生先輩のところへ、俺は亮司さんを呼んでくるから」


「わかった。小太郎。案内頼む」


「うん」


何もいえないでいる私を他所に、晶が陸に告げると陸も頷いて

私の腕を捕まえ、小太郎くんと一緒に克彦さんの家に向かった。

それでも私にはまだ分からなくて・・・・・。


「しっかりしてくれよ、姉さん」


「・・・・うん」


走りながら私に声をかける陸に返事を返すだけで精一杯で。

とにかく克彦さんの元へと向かった。











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あとがき

克彦さんが出てきません。ぐすん。次回には出てくると思います。