誰もが僕を信頼し、僕を大切にしてくれる。
この場所が好きでこの場所が大切で。
だからこそ、僕の心の奥底を探られたくなくて
必死に虚勢を張ってしまう。
「弁慶ぇ!!きさま!」
仲間の驚きを怒りを一身に受けて心が痛んでも
「これ以上、ここにいても勝ち目はありませんからね」
ちがう。
望むのは君達の安全。
望むのは君達の幸せ。
僕は、罪人だから
僕が、この世界の均衡を崩してしまったから。
「さよなら」
本当のことを言ってしまえば、みんなは僕に力を貸してくれるだろう。
けれどそれをしてしまえば、君達に危険が伴う。
戦いよりも辛くて険しい道を君達に与えたいと思わないから。
「さよなら」
この言葉が僕からの君達への手向けの言葉。
「さよなら」
この言葉が君達への幸せを望む言葉。
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あとがき
弁慶の裏切りのシーン。始めはかなり驚きましたが
彼は彼なりの葛藤も苦悩をあっての選択だったのでは?
そう考えて作って見ました。