洗濯する美しい娘と罪深き紅き色(6) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

「つまり、その【慈燕】って男は純潔の妖怪ってことか?」


「ええ・・・・慈燕は本妻のお子さんだそうですが
悟浄が本妻に殺されかけたところを救ってくれたとか」


悟空も咲弥も黙って八戒の話を聞いている。


「普通の子供なら、殺されることなんて
なかったんでしょうけれど
悟空達も知っているように・・・咲弥は知っていませんね」


「悟浄は【人間の女との子供】でしょう?」


「え、ええ・・・」


八戒は驚きを隠せず咲弥を見る。少なくとも彼女に悟浄の過去を話したことなどない。
八戒の視線をまっすぐに受け止めながら話を続けるように諭す。


「咲弥がいったように、人間の愛人との間に生まれた混血児
いわゆる【禁忌の子供】なんですから」


「禁忌ってなんだろうね」


八戒の話が終了した直後に咲弥はつぶやく
三人が咲弥を見るが彼女は天井を見上げている。


「生まれてきた子供には罪は無いのに・・・・
人を愛することも・・・罪じゃないのに・・・・
それが、血のつながりがあろうとなかろうと」


最後の言葉には八戒が誰よりも敏感に反応する
ソレを三蔵は黙ってみていた。
咲弥が気がついているのかいないのか黙った八戒に答えない。


「咲弥・・・・」


「大丈夫よ・・・・・少し・・・外に行くね」


心配そうな顔を見せる悟空に咲弥はそれだけを告げると
三人を残して出て行く
残ったのは沈黙のみ
部屋から出ると、外の冷たくなっている風を受ける。


「・・・・ねえ・・・・あなたならどう思う?
きっと貴方なら、『仕方ありませんね』って笑う?」