天竺国 吠登城にて
機械につながれ無数の管が伸びているそのものに立って
愛おしいげに見つめる一人の女性
うっとりと眺めつぶやく。
「・・・・・科学と妖術の融合による『超化学』
この実験が世界にどんな影響を及ぼそうとも私はかまわない」
機械につながれているもの『牛魔王』にふれ
後ろでソレを眺めている人物へ向き合う。
「私の愛するこの人が、牛魔王が蘇ればいいのよ
どう?ささやかな願いでしょう
だけど、この玉面(わたし)を邪魔するものはね
神であろうと許さないわ
―――――解っているわね。紅孩児」
見下ろしながらちらりと視線を一枚の写真に目を向ける。
「そうそう、あの三蔵一行とかいう四人組
目障りだわ
さっさと消して頂戴」
「・・・・御意。玉面公主」
用件だけを聞くと紅孩児はさっさと玉面公主のもとから出て行く。
「あら?『母上』って呼んでもイイのよ・・・。
貴方この人の息子だもの
一応・・・・・」
紅孩児の言い方が面白いのかわらいながら去っていく彼に言葉をかける
無言でそのまま部屋を出ていき
長い廊下まで行くと壁に拳を打ち付ける。
(あのあばずれが!!正妻ぶりやがって)
「くそっ!」
「紅孩児様」
はき捨てるような彼の言葉と同時に現れた三人の影
「お前らか」
「直々に三蔵一行と戦われるのですか?」
「ああ・・・・だが、あの目狐の為なのではない
全てはこの『母上』のため」
見上げる場所は彼の本当の母羅刹女が封印されている場所。
「紅孩児様。この八百鼡もお供します」
八百鼡と告げた女性は紅孩児を見つめ答える。
「俺も行くぜ、なんせ俺はお前の「お守り役」だかんな」
「李厘もいくよ~。だってオイラ兄ちゃんよりも強いもんね!」
三人が口々に告げる言葉に紅孩児も半ばあきらめた様子で頷く。
「行くぞ、三蔵一行は。この紅孩児が始末する」
彼の決意の言葉を三人も黙って聞いている
近いうちに出会うであろうこのものたちとの戦いが更なる運命を引き起こす。