神を敬うもの(11) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

突然部屋に突風は吹き荒れ、

咲弥の周りを取り囲んでいた僧侶達は壁にたたきつけられる。

起き上がり咲弥へ視線を向けると、

彼女の周りを小さな風の壁が出来ているのが見受けられる。


「な!なんなんだ!」









「・・・・それは、こっちの台詞だ」








後ろから聞こえてきた声に僧侶達はびくりと身体を震わせ振り向く
後ろから照らす光がそのものを金色と光らせて紫暗の瞳は鋭く
こちらを睨み付けているのがわかる。


「咲弥!」


「悟空くん・・・・」


悟空の声に、周りに張り巡らせていた風を止めた。
風が止むと咲弥のところへ急いでやってくる

彼女の姿にほっと胸を撫で下ろしたが
その姿の悲惨さに顔色をすぐさま変える


「咲弥!服が!」


「大丈夫・・・・まだ何もされてないから」


縛られている両手両足を解き。心配そうに覗き込む悟空に笑顔を見せて答える。


「だけどさ~、ちょ~っとオイタがすぎるんじゃねの?」


「同感ですね。大丈夫でしたか?」


持ってきた咲弥の白いコートを羽織らせると
八戒は腰を抜かしている僧侶に笑顔で見つめる。


「ちょっと・・・・お待ちください、三蔵様
我々は・・・」


「うるせェ」


有無を言わせない物言いに僧侶達は
言葉を捜すが見つかることなく
右往左往と視線をごまかす。


「勝手なマネしやがって・・・・」


「三蔵」


今にも殺しそうな勢いのある三蔵に咲弥は声をかけるが


「お前は黙ってろ」


「三蔵・・・」


瞳を怒りにまみれ、僧侶達を見ている三蔵は咲弥の二度目の声に

舌打ちをしながらにらみつけるが、そんな彼を咲弥は

そっと銃を向けている腕に手を添えた。


「落ち着いて。何もされてない。本当よ
私に触れることができるのは貴方達だけ
だから、落ち着いて、三蔵・・・・」


「・・・・・・」


「あなた達以外に触れることは出来ないの」


「今何気に、凄いことを言っているよ~に聞こえたのはオレだけ?」


「すごいですね、咲弥さんって」


「そうだぞ!咲弥と一緒にいていいのは俺達だけだ!」


「「悟空は解ってませんね(な)」」


「三蔵、落ち着いて・・・・・・
あなた方も、自分の犯したことを今一度考えたほうが良いですよ
女だからという偏見で物を見ていたら本当に地獄を見せますから」


三蔵を宥めながら、腰を抜かしている僧侶達へ言葉をかける
しかし、その瞳はまるで猛禽類が獲物を捕らえるときのような鋭さで
見下ろしている姿は修羅か羅刹を併せ持つような瞳をしている。

ぞくりと僧侶達は背中に冷えたものを感じた。


「ひぃ!も、申し訳ありません!!」


「おい・・・」


「こえ~」


「オレ、咲弥怒らせるの止めとこう」


「同感ですね」


見てなくとも解る、僧侶達のガタガタと震える身体に青白くした顔で
咲弥をみてる様子を、四人はなんともいえない表情で見ていた
一瞬、僧侶達に同情したほどだ。





「さあ、行きましょう。三蔵様、悟空くん、悟浄さん、八戒さん」





振り向いたときの咲弥の顔はいつもと変らない笑顔だった。