「どうしたの?」
「いや・・・。なんでもない」
時折捜す素振りを見せる、その姿に胸がちくりと痛み
そして激しい嫉妬の渦に飲まれそうになる。
貴方は私の隣にいるのに
貴方は私を愛してくれているのに
どうして、貴方の瞳は私を見ていないのかしら?
貴方は誰を捜しているの?
貴方の心に何を隠しているの?
そのことを知ったのは、貴方がいない午後の昼下がり
貴方の部屋で見つけた一枚の写真。
「だ・・・れ」
震える手で見つめ、幸せそうに微笑んでいる貴方と隣にいる一人の女性。
その姿を見つめた瞬間私の頭の中が何かが始めたかのようになって
はじけた
思い出した
彼が心から愛していた女性
彼の愛を一身に受けていた女性
その彼女がこの世界から当然消えた。
誰も彼女の存在を知らないかのように振る舞い
そして、日常を過ごしていた。
それは私も同じ。
気がついたら、私は彼の隣にいた。
当たり前のように彼に笑顔を見せて。
どういうことなのか・・・。
それを知る術は私には持ってない。
「・・・・・・見つけたのか・・・」
はっとなり振り向くと貴方は私を悲しそうな瞳で見つめる。
お願いどうしてそんな顔を見せるの?
「咲弥は、消えたんだ。あの日、抱きしめていたのに・・・・」
聞きたくない
「ドコか遙か彼方へ行ってしまった。あいつが本当に大切な人を助けたいために」
どういうこと?
貴方を愛していたのではないの?
「咲弥はうわごとでつぶやいた と」
貴方にこんなに愛されているのに
私はこんなに愛しているのに
許さない
許さない
時空を彼女が超えたのなら
私も超えてみせる
地獄までも追い詰めて追い詰めて
きっと必ず
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あとがき
さて、こちらもオリジナルヒロインの過去からの続きみたいに書いてみました。
こちらの方お二人は名前も出てません。
そして、本編で語られるのも、もっと先の話しになります。
それまで、覚えてくれるかしら?