三日月のパズル 新たな旅立ち(1) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

集いしもの  導かれたもの
あれは 星の導きか光か








■□■□■□■□■□





茄陳の町を出て次の町へとジープを走らせている三蔵一行。


「いくらなんでも、見過ごしたってことは有りませんよね」


運転しながら八戒は三蔵に訪ねる
質問に答えることなく変わり続ける景色を眺めていた


(・・・どういうことだ?)


八戒の言葉を耳にしながら三蔵は思考を働かせる。
咲弥と呼ばれた女性
明らかに何かを知っている素振りだった。
三蔵の質問をさらりとかわし、そのまま出て行った彼女を
追いかけるように指示したのは自分
しかし、走っても走っても、彼女の姿を見ることは出来ない
それどころか、彼女の足跡すらないのだ。


「なあ、三蔵、あの人に会えないのかな?」


「なに?お猿ちゃん。メシよりも気になるって?」


「猿じゃあねェ!そうじゃなくって!
なんか・・・・」


「どうしました?悟空。何か気になることでも?」


悟浄の言葉に掴みかかりながら言葉を濁す悟空に
ジープの速度を落としながら八戒は尋ねる。


「なんかよくわかんねェけど・・・・
あの人と一緒にいたら落ち着くって言うか・・・
あの時・・・」


「ゆっくりでいいから、貴方の言葉で教えて」


覗き込まれ、見つめた黒曜石の瞳
それは穏やかで三蔵と同じように強いのに
心をすべて落ち着かせることができる。
そんな不可思議な感覚


「あ~!うまく説明できネェ!!」


「お子様猿だからな」


「だから!猿っていうな!」


悟浄のからかいに悟空はぎゃん、ぎゃんとつっかっかて話し始める
そんな後ろの騒がしさを背に三蔵は
ポケットからタバコを取り出すと吸い始めた。
しばらくあたりの景色を見ていた三蔵だったが


「止めろ!八戒!」


キキッ――――!!


「「うわ!」」


急に大声を上げジープを止めるよう指示した三蔵に慌ててブレーキを踏む八戒
急ブレーキにヒートアップしていた後部座席の二人は
前のめりになった倒れこんでくる。


「ったた・・・おい、三蔵様、急に止めんなよ」


「そうだ!怪我するじゃんか!」


ぎゃいぎゃいとうるさくする二人の声を無視し
ジープから飛び降りると三蔵は走り出した。


「おいおい、一体どうしたってワケ?三蔵様は」


「とにかく、後を追いましょう」


「おう!」


走り去っていく三蔵を三人も慌ててジープから飛び降り
彼の後を追った。