集いしもの 導かれたもの
あれは 星の導きか光か
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茄陳の町を出て次の町へとジープを走らせている三蔵一行。
「いくらなんでも、見過ごしたってことは有りませんよね」
運転しながら八戒は三蔵に訪ねる
質問に答えることなく変わり続ける景色を眺めていた
(・・・どういうことだ?)
八戒の言葉を耳にしながら三蔵は思考を働かせる。
咲弥と呼ばれた女性
明らかに何かを知っている素振りだった。
三蔵の質問をさらりとかわし、そのまま出て行った彼女を
追いかけるように指示したのは自分
しかし、走っても走っても、彼女の姿を見ることは出来ない
それどころか、彼女の足跡すらないのだ。
「なあ、三蔵、あの人に会えないのかな?」
「なに?お猿ちゃん。メシよりも気になるって?」
「猿じゃあねェ!そうじゃなくって!
なんか・・・・」
「どうしました?悟空。何か気になることでも?」
悟浄の言葉に掴みかかりながら言葉を濁す悟空に
ジープの速度を落としながら八戒は尋ねる。
「なんかよくわかんねェけど・・・・
あの人と一緒にいたら落ち着くって言うか・・・
あの時・・・」
「ゆっくりでいいから、貴方の言葉で教えて」
覗き込まれ、見つめた黒曜石の瞳
それは穏やかで三蔵と同じように強いのに
心をすべて落ち着かせることができる。
そんな不可思議な感覚
「あ~!うまく説明できネェ!!」
「お子様猿だからな」
「だから!猿っていうな!」
悟浄のからかいに悟空はぎゃん、ぎゃんとつっかっかて話し始める
そんな後ろの騒がしさを背に三蔵は
ポケットからタバコを取り出すと吸い始めた。
しばらくあたりの景色を見ていた三蔵だったが
「止めろ!八戒!」
キキッ――――!!
「「うわ!」」
急に大声を上げジープを止めるよう指示した三蔵に慌ててブレーキを踏む八戒
急ブレーキにヒートアップしていた後部座席の二人は
前のめりになった倒れこんでくる。
「ったた・・・おい、三蔵様、急に止めんなよ」
「そうだ!怪我するじゃんか!」
ぎゃいぎゃいとうるさくする二人の声を無視し
ジープから飛び降りると三蔵は走り出した。
「おいおい、一体どうしたってワケ?三蔵様は」
「とにかく、後を追いましょう」
「おう!」
走り去っていく三蔵を三人も慌ててジープから飛び降り
彼の後を追った。