「・・・ここは・・」
辺りを見渡し自分が違う世界にいることに気がつく
広い草原の中
季節は冬なのだろう、草原は真っ白な雪に覆われている
「来たの?ここに?どうして・・」
つぶやいても、返事を返す人など居ない
けれど・・・。と思う
「私は・・・・出来るの?」
「おい。大丈夫か?」
聞こえてきた声にゆっくりと振り向いた
青色の髪の男の子
制服を着ている彼は名を名乗らなくても知っている
「有川将臣・・・」
「は?おまえ・・・」
思わず言葉をなくす
将臣は一人佇んでいた女に声をかけた
ゆっくりと振り向いた女は
自分を見て小さく何かをつぶやいた
そして零れ落ちる一粒の涙
何故泣くのか分からない
だけど決して自分を見て涙を流したのではない
彼女の瞳は自分を写してはいるが
どこか違う場所を見つめている
瞬時に感じ取った
「あ~~。大丈夫か?」
「ああ・・・・ごめんなさい」
ようやく自分の置かれていることに理解したのか
女は頬を伝う涙を拭い
柔らかく微笑んだ
「俺は、有川将臣。お前の名前は?」
「・・・私の名前は・・」
これが運命の扉が開く瞬間だった