第一章 二話 無色透明な世界(1) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

「・・・ここは・・」


辺りを見渡し自分が違う世界にいることに気がつく

広い草原の中

季節は冬なのだろう、草原は真っ白な雪に覆われている


「来たの?ここに?どうして・・」


つぶやいても、返事を返す人など居ない

けれど・・・。と思う


「私は・・・・出来るの?」


「おい。大丈夫か?」


聞こえてきた声にゆっくりと振り向いた

青色の髪の男の子

制服を着ている彼は名を名乗らなくても知っている


「有川将臣・・・」


「は?おまえ・・・」


思わず言葉をなくす

将臣は一人佇んでいた女に声をかけた

ゆっくりと振り向いた女は

自分を見て小さく何かをつぶやいた

そして零れ落ちる一粒の涙


何故泣くのか分からない

だけど決して自分を見て涙を流したのではない

彼女の瞳は自分を写してはいるが

どこか違う場所を見つめている

瞬時に感じ取った


「あ~~。大丈夫か?」


「ああ・・・・ごめんなさい」


ようやく自分の置かれていることに理解したのか

女は頬を伝う涙を拭い

柔らかく微笑んだ


「俺は、有川将臣。お前の名前は?」


「・・・私の名前は・・」









これが運命の扉が開く瞬間だった