キセキノハナ(11) ~遠い過去の記憶(4) | As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

As lagrimas que a lua derramou~月が零した涙

版権作品にオリジナル人物を入れての二次創作小説を載せてます。
『遙か』シリーズが中心です

いつもの日常が始まる

しかし、小鳥は夕べの飛鳥と澪のことが気になってあまり眠ることが出来なかった


「・・・はぁ」


「朝からため息を吐くと幸せが逃げちゃうけど」


「っ!」


後ろから聞こえてきた声に

小鳥は驚いて振り向く


「あああ・・」


「驚いた?」


「驚きます!」


いたずらが成功したような顔を見せた

飛鳥に小鳥は顔を赤く染めて大声で告げた

しかし、飛鳥にはまったく効果がなかったようで

口元に手を当てて笑っていた


そんな飛鳥を見て、小鳥もつられる様に笑顔を見せる


「そう、笑顔がいいよ」


「飛鳥さま?」


「笑顔が小鳥さんには似合うから」


柔らかな笑顔で告げた飛鳥に

小鳥は赤い顔をさらに赤くして思わず俯いてしまう


昨日の不安が嘘のようで

心がほんのりと温かくなる


「昨日は、みっともないところを見せてしまって」


「え。いえ・・」


頭を掻きながら申し訳なさそうに飛鳥は

小鳥を見て頭を下げる

そんな飛鳥を小鳥は慌てて止めた


「玉依姫様とは・・・仲がいいのですね」


「そうかな?そんなことはないよ

 俺は彼女の村の出身者ではないからね」


「どういう・・」


「俺は、壬生村のものだから」


「壬生村って」


「知っているの?」


飛鳥が告げた村の名前

壬生村


文武に長けている一族が治めている村で

その中で『壬生』の氏を持つものは、

都でも一位、二位を争うほどの武門の一族


「そんなに有名ではないよ」


「まさか・・、飛鳥さまの氏の名は・・」


「壬生だよ」


驚いた?といわんばかり肩をすくませる飛鳥に

小鳥は口をぱくぱくと開いたまま何もいえない


そうだった・・・・


壬生家の跡取りは

銀色の髪に、青色の瞳が象徴


「だからって特別に思わないでほしい。

 俺は俺、家は家だからね」


飛鳥の言葉に、小鳥は小さく頷いた






**********




その頃、澪は他の守護者とある場所へ赴いていた

ひっそりと隠れているかのような小さな小さな祠


「これか・・・・」


「うん・・・でも気配を感じないわ」


「忌まわしき鬼が解き放たれるか・・・」


「それとも、解かれたか・・」


守護者の言葉に澪は、じっと祠を見ている

風が澪の髪を撫でる


「三日後」


「姫?」


「三日後、何もなければ戻ります」


澪の言葉に、守護者達はうなずく


「姫・・・、一つ聞いていいかい?」


守護筆頭である天野が口を開く


「壬生にどうして知らせなかったの?今日ここへ来ることを」


「・・・・・・」


「姫・・・。」


「怒らせたから、かな」


「昨日の件かな」


天野の訪ねに頷くことで答えた


「なんだかね・・。言いにくくて。それに」


「それに?」


「彼はここにいたほうが幸せな感じがしたの

 私の守護者ではなく、ただの壬生飛鳥としてこの村でいるのが」


「そう・・・。では三日後」


「はい・・。何もなければ、この村を出ます

 そのとき、飛鳥の守護者の任も解きます」


「「姫!」」


澪の言葉に天野以外の守護者は驚きのあまり声を上げる


「後悔するよ。澪・・・」


「・・・・大丈夫よ」


天野の言葉に、澪は守護者の顔を見ながらにっこりと微笑んだ


















全ては三日後