暗い廃寺で、真緒は思い出したかのように笑い始める
「まさか、亮司が守護者になっていたなんて」
「残念ですか」
隣で御子柴が、笑う真緒に尋ねる
「そうね・・・。あの人気に入っていたから
いずれ私に返してもらうわ」
「それはいいですね」
御子柴の言葉に、私は心でクスリと笑いを零す
この男も知らないのだ
自分がここにいる意味を
そして彼女にあったときの自分の姿を
御子柴を下げると、先ほどの珠洲の顔を思い出す
私の出現にあんなに戸惑って、本当に可愛い妹だわ
そして・・・・・
愛しい婚約者
誰よりも見つめていたのは私よ
彼は冷たい眼差しで私を見つめていた
その姿を涙を流しながら見つめる妹
本当に、あの子は何も分かっていない
あの子の一言一言が、どれほど彼を傷つけているのか
「・・・・私以外誰も見ては駄目なのよ。亮司」
久しぶりに会った婚約者の眼差しはなんとも甘美なものだったのだろう
早く抱き合いたい。
それもあの子の前で
そのときはどんな顔をあの子は私に見せてくれるかしら
あの人の行動にどれだけあの子は怒りと憎しみを向けてくれるかしら
それを考えるだけで笑いが止まらない
「珠洲・・・。可愛い珠洲・・・。貴方の傷つく顔を早く見たいわ」
三角関係のお題より 『ルージュの挑発』
『底の見えない奈落の心』に続く