ピヨ太:架空のトリ。まひる野入会一年目。作品ひな欄所属(架空の欄です)

今年の目標:50首連作を作り、まひる野賞に応募すること。

 

チュン美:スズメ。ピヨ太の先輩。スズメール欄所属(架空の欄です)

 

ヨウムさん:ヨウム。ピヨ太の先輩。趣味:タップダンス

 

Y川しゃちほ子:実在の人物。まひる野入会19年目。今年から作品Ⅰ欄所属。

 

 

ヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコヒヨコ

 

 

 

 

 

 

こんな感じでメモから歌を作りました

   下矢印

 

お正月。大晦日から起きていたが眠くない。年賀状が思っていたよりもたくさん届く。まひる野の人からも来ていて焦る。同級生の雛吉からも来ていた。内容は普通だったが自分を「俺」と書いてあることにけっこうなショック。初詣。おみくじ「吉」。

★作った歌

友達が自分を俺と書いてきたこの年賀状ちょっと取っとこ

 

まひる野の人たちとヨウムさんのタップダンス発表会に行く。音がするのは靴に加工がしてあるからと知って驚く。ダンスの先生がヒトだけど頭がレインボー色だった。後ろの席の人が「しもだかげき……」(漢字不明)と言っていた。あとで調べると作家の名前だった。

★作った歌

コチコチと音がするのはそのひとの爪ではなくて靴底の板

 

①網で焼く②フライパンで焼く③お雑煮にいれる、を繰り返していたらお餅がなくなる。晴れていたので買い物に行き偶然チュン美さんに会う。お餅は小さく切って油で揚げるのもおすすめらしい。③は好きではないらしい。「のり」を思い出すそうだ。海苔?ノリ?

★作った歌

チュン美さんいつか立派な米俵できるはずだよ君ならできる

クーポンの印字されたるレシートを結局使えなくて捨てたり

ミョウガより少し大きなそのひとの体の中の赤い心臓

 

 

日記メモから少しずつ歌を作りためて、ついに連作ができました!

応募もしました!お二羽(ふたり)の感想を聞きたいのですが、読んでもらえますか?

 

 

ついにやった……立派になって……ホロリ汗

もちろん読みます!

 

 

 

 

 

 

ここでインタビューコーナーです。

22.「ミョウガより少し大き」いのは「そのひと」?「心臓」?あなたはどっち派!?

 

 

えっ!?てっきり「心臓」だと思いこんでました。言われてみれば「そのひと」の意味にもとれますね。

⒈の「そのひと」はヨウムさんの発表会のことだから22.もそうだと思っていました。

それなら心臓=ミョウガの大きさも合う……のかな?

でもよく考えたら⒈が発表会のことっていうのも私たちしか知りえないことだし、作った時はそうだったとしてもこの連作のなかではヨウムさんをモデルにはしていないかもしれないですよね。

先入観なしで読んだらやはり「ミョウガ」の比喩がどちらにかかるのか判断できないです。

 

ミョウガは「そのひと」にかかるんじゃないの?

もし「心臓」にかかるとしたら、比喩が少し離れすぎているのでは。体言止めの「心臓」が思わせぶりだからそう考えたくなるのかな。

上句と下句でポイントが散漫になってしまうから、ミョウガを活かしたいのなら下句の比重を軽くした方がいいかもね。

 

 

 

 

お二羽(ふたり)ともご回答いただきありがとうございました!

ピヨ太さん、聞いてみていかがでしたか。

 

いや~、こんなに読みこんでもらえるほど考えて作ってたのか自信がないです(汗

これはナイショなのですが、実は近所のスーパーでチュン美さんに会った時に、もしかしてチュン美さんってミョウガくらいなんじゃないか?と思って作ったんです。

自分としてはものすごくわかりやすい歌だと思っていたのですが、こんなに意見がわかれるとは思いませんでした

 

あと、ちょっとカッコ良くしたくて、思わせぶりになるように結句を「心臓」にしたんですが、全部見破られてしまいました。

恥ずかしくて炎ヤキトリ炎になりそうです。

 

ピヨ太さん、ありがとうございました。以上、インタビューコーナーでした!

では、ヨウムさんから連作の感想をお願い致します。

 

50首から9首選んだけれど、前半に採れる歌が少なかった。最初にいい歌がギュッとつめられるようになるといいね。

25.「それぞれの~」は肉の部位や名前を表しているんだろうけれど、初句が大雑把なのと、二句とほぼ同じ意味なのでもったいない。

「名前を食べる」は面白いのでここを残して手直しするともっと良くなると思うよ。

 

連作には、こういう印象に残る歌が何首も入っていると良いね。

 

ピヨ太くんは体言止めが多いね。悪い事ではないけど無意識にやっているなら意識した方がいい。

 

28.46.はちょっと弾けたリズムで面白い。

「かたくて」が両方ともひらがななのはわざとかな。

この二首がなんだか元気で若者っぽくて面白いんだけど、49.「何歳だっけ?」で、結局本当に何歳なんだ!?って試されてる気がした。豆をこぼしているのも、酔っぱらっている若者なのかな、とか、実は若くないのかも?とか。

49.の歌は連作をほぼ読み終えるところに配置されているんだけど、読者がここまでにこの連作に抱いていた印象によってこの歌の読みも変わるよね。

50.いつか立派な米俵……最後の歌は、力尽きたのかな(笑い)

 

ドキン

 

ヨウムさん、ありがとうございました。それではチュン美さんお願い致します。

 

はい。私がまず気になったのはタイトルかな。

このタイトルは十首目「クーポンの印字されたる~」からつけたのですか?

 

はい。タイトルは連作の中の歌を使おうと思ってこのタイトルにしました。

 

そうね……10.はあまり結句がよくないかな。

タイトルにするなら…しなくても、もうちょっと丁寧に作った方がいいと思います。セピア色というのも一首には出てこないし…。

 

セピア色……昭和歌謡っぽいよね

 

そう。セピア色は既存のイメージが強くて、それに引っ張られてしまうかな。

 

20.これは私はニュースで見ました。

とても珍しい種類の、絶滅寸前の蛙の最後の一匹がオスで、ロミオとい名前なのですが、最近になって仲間が発見されたそうなんです。

 

そのことです。セイウェンカズミズガエルという金色の蛙です。名前や見た目が色々面白いなと思って日記にメモして歌にしました。

 

毎日作っていると色んな歌ができるわよね。でもこれだけではロミオがその蛙だとはわからないかな。キョロちゃんとロミオと一首で両方書くっていうのは難しいかもね。またはロミオの説明を詞書にするか……。

 

ことばがき?

 

歌の横に小さい字で言葉が書いてあることがあるのよ。Y川さんの歌集にもあるから探してみて。

ともかく題材は面白いわ。

でもこのままだとキョロちゃんとロミオが並んでいるだけでピヨ太くんの気持ち(書きたいこと)があまり伝わらないのでもう少しがんばってください。

 

はい!

 

49.私は好きでした。お豆って持てないわよね。ウフフ

50.もしかして力尽きたのかしら?気持ちはうれしいけど……。

 

ドキン!

 

チュン美さん、ありがとうございました。

五十首目が力尽きたという意見が出ていましたが、ピヨ太くんはどうやって並べましたか?

 

日記メモを見ながら作った歌がほとんどなので、迷った時は時系列で並べるようにしました。まあ、年賀状の次がいきなり節分になってしまいましたが……。

やってるうちにどうやって並べたらいいかどんどんわからなくなって、50.はぜったい連作に入れたかったけれどどこに置いても浮いてしまって、末尾まで押し出されてきたという感じです。

 

一首が五十集まったもの、というだけでなく連作としてもまた一つの作品になるので、それを意識して並べないとね。

 

厳しいことも言ったけれど、一人で最後まで作ったのは本当に偉いわよ。

また、私たちのコメントは一般的な価値観を目安にしたものなので、

必ずしもピヨ太くんがそれに縛られる必要はありません

作品を作るにあたってピヨ太くんが大事にしたいことは何なのかを意識してみてください。

 

今回作ってみてどうだった?

 

はい。連作の最後の方で力尽きたことや、歌の作り方で意図したことがほとんどバレてしまいました。

他の読みも、歌だけでこんなにわかってしまうのかと驚きました。

自分が考えていたよりもずっと深く読みこんでいただきとてもありがたいです。

 

今回のことで連作をつくるのがすごく大変だとわかりました。

ほかの人の作品もこれを乗り越えて作られていると思うと読むときの目が変わると思います。

読んでいただきありがとうございました!

 

 

どういたしまして!

 

虹虹虹虹虹虹虹虹虹虹虹虹

 

 

ピヨ太くんはこの一年よくがんばったよね。

宣言した通りに連作も作ったし。

 

エヘヘ。ありがとうございます!

歌を読んでもらって、お二羽(ふたり)がスラスラ言葉が出てくるのがすごいなと思いました。

自分はやっぱり読みが苦手で、歌会などで言葉がでてこなくて石化してばかりなので、なんとかしたいです。

 

そうね。

読みと言えば、「日々のクオリア」というページがあるわよ。歌人の方が書いた一首評が掲載されています。

二名交代で一年間かけて月~土曜までほぼ毎日更新されます!

(2019年担当者:生沼義朗さん、花山周子さん)

 

ほぼ毎日!? 聞いただけで鳥肌が……

 

ちょっと読んでみようか。

2019年1月25日 日々のクオリア(花山周子) (全文はリンク先をご覧ください)

あたまより鴉飛び立つ反動をわれの頸部は長く記憶す (村上和子 第三歌集『しろがね』 青磁社・2017年)

 

村上和子さんの歌集から花山周子さんが一首選び、鑑賞したものだよ。

三首の短い連作の一首で、鑑賞文では一連全体についても語っている。

 

一部を抜き書きするね。

※下記、花山さんの書いた記事の冒頭部分の引用です。

 

今日の一首は、以下の三首連作の最後の一首になる。

 

「反動(鴉三首)」

・わが頭を一瞬がしと摑みたる鴉のをりし図書館の森(※「がし」のところに傍点「・・」が付く。)

・嘴太鴉(はしぶと)の爪が残せる感触の痛みに変はる家へ着くころ

・あたまより鴉飛び立つ反動をわれの頸部は長く記憶す

 

短歌において、三首連作というのは案外珍しいし、歌集『しろがね』中でもこの「反動(鴉三首)」のみである。そして、この三首に、私は三首連作という形式の可能性を思った。

 

(中略)

 

この歌は一首単独で見ても、一分の隙もない完成度があり、見事だと思う。
それに加えて、三首で読むときの、ある一点の出来事に対する人の認識の経過、というものが、この見事な三首目を生み出す経過にもなっている。三首という、極めて簡素な形式によってこうした経過が描き出されるところ、上質な短編のような味わいがある。

 

※以上、引用文です。ぜひ全文をご覧ください。2019年1月25日 日々のクオリア(花山周子) 

 

ゴクリ。歌も文章も、とうてい自分の力では及ばなくて説明しきれないけれど、すごいということはわかります。

こんなに短い連作もあるんですね。

鑑賞文は、歌を上句・下句の目で見たイメージで分けることもしていて、こんな読みもあるんだと思いました。

自分は歌会には一、二回しか行ったことがないですが、初めての読み方でした。

 

・歌について

カラスって、最近本当によく見かけるようになりましたが、ミョウガサイズの僕やチュン美さんと違って、すっごく大きくて、力もものすごく強そう。

それが自分の頭に乗った上に、勢いをつけて飛んで行って、たぶんかなりの反動が首(頸部)に伝わったんでしょう。怖いし痛そう。

 

・「上質な短編小説のよう」という解釈から、連作全体について考えてみました。

一首目、頭をつかまれて、爪の力強い感触。二首目、家へ着くころに痛み始めてまたショックが思い出される。三首目、頸部に伝わった反動にクローズアップした回想。

経験したことの、体で感じた細かい部分にかなりクローズアップしているけれど、物語みたいな流れも感じました。

上手く言えないですが、文字数というか言葉の使い方が贅沢な感じもして、確かに「上質な短編小説」のようだと思いました。

 

自分が今言えることはこれくらいですが…。

今度は短い連作にも挑戦してみたいです。

歌も、読みも、思っていたよりずっと自由というか、もっと自分でちゃんと考えてどんどん挑戦していきたいと思いました。

 

ピヨ太くん……。初めての歌会で石化していた時から考えると、確実に成長しているわよ!

よかった……(ホロリ)

 

チュン美も本当によく頑張ったよ。初めての後輩だって張り切っていたもんね。

 

(そうだったんだ。知らなかった…)

 

 

 

 

さて、ここでピヨ太くんに大事なお話があります。

 

はい(ドキドキ)

 

この絵日記ブログは、今回が最終回です!!

 

えぇぇぇぇぇ~~~!?

 

 

チュン美:そうなのよ~ だから最後にピヨ太くんが成長を見せてくれてホッとしたわ~

ヨウム:「歌集ってなに❓」と言われた時は、どうなることかと思ったよね

 

ではピヨ太くん、最後に主人公として挨拶をお願いします。

 

さ、さいご!?

え~結社に入って、一羽(ひとり)で一年間歌を作っていた時からは考えられないたくさんの出会いがありました。

ヒト・トリとの出会いも、歌・文章との出会いもありました。

自分の歌を真剣に読んでくれる人がいると思うと、やみくもに焦ることが減った気がします。

よその鳥(ヒト)と比べるよりも、過去の自分と比べて成長を感じることができるようになった…かも?

自分には結社という形が合っていたと思います。これからもコツコツ続けて行きたいです。

読んでくれた皆さまありがとうございました。

 

では最後に、実際にこのブログを書いていたY川からも挨拶をします。

ピヨ太、チュン美、ヨウムさんに特にモデルはなく、ピヨ太の疑問や戸惑いは、自分が歌を始めたばかりのころを思い出して書きました。

当時の自分はもっと、ずっっっとヤバかったですが。

当時のことを思い出すことはほぼなかったので、貴重な経験ができたと思います。

 

私が書いたアドバイスなども、現在歌を始めたばかりの方から見ると、合わないと感じる部分もあるかもしれません。

その時は、自分がいちばん大事にしていることはなんなのか?と考えて結論を出してください。

 

あと、皆さまお気づきと思いますが、ピヨ太の歌もチュン美・ヨウムさんのつっこみも全て私が書いたので、

自分の作った歌を褒めたりけなしたり、ちょっと言い過ぎたと思って励ましたりしてカオスでした。

 

そうなの!?

 

まひる野ブログ公開にあたり、結社の方々、いつも更新してくれる北山あさひ、また読んでいただいた方々に深くお礼を申し上げます。

2019年4月5日 山川藍

 

 

 

ありがとうございました!!

 

山川藍

名古屋市出身 2001年まひる野入会

歌集『いらっしゃい』(2018年/KADOKAWA)