ピヨ太:架空のトリ。まひる野入会一年目。作品ひな欄所属(架空の欄です)
チュン美:スズメ。ピヨ太の先輩。スズメール欄所属(架空の欄です)
ヨウムさん:ヨウム。ピヨ太の先輩。趣味:タップダンス
Y川しゃちほ子:実在の人物。まひる野入会19年目。今年から作品Ⅰ欄所属。
「ピヨ太くんは入会してもうすぐ丸一年だね。毎月ちゃんと詠草を出していて偉いぞ」
「エヘヘ。でも実は、毎月10首、結社誌に出していると締め切り(?)までに作るのが大変で、ス、スランプ……(?)なのかな?とか思ったり……(もじもじ)」
「30首や50首の大きい連作を作るとか、もっとたくさん歌を作っている他の人はどうしているのかなとか、自分にできるのかなとか色々考えるようになりました!」
「例えばピヨ太くんは今まではどんな風に短歌を作ってきたのかな?」
「作るというよりできるのを待つ感じでした」
「そうだね、ピヨ太くんの今年の目標は大きめの連作を作ることだったよね。
今の作り方では結社誌に出す分で精一杯になっているけれど、もっとコンスタントに歌を作っていきたいということだね。
先輩たちの中には連載や多数の依頼を抱えて月に何十首も作っている人もいるよ。
考えただけでもとても大変なことだよね。」
「歌を組み立てる基本的な技術は「歌の素材を取捨選択し、しぼりこむ単純化」と「感情や気分を伝える韻律の工夫」の二つに尽きます。(略)まず自分の思いを納得のいく表現で歌うためには、例の二つの基本的技術だけは身につけなければなりません。それには、多作してください。(略)多作をすることしか、この定型詩に馴れる方法はないのです。」『短歌入門』(島田修三/1998年/池田書店「7 ヘタでいいから多作する(p.34~37)」より)
同じ章にはこんなことも…
「馬場あき子は現代短歌を代表する歌人ですが、歌をはじめたばかりの学生時代、窪田章一郎という師匠のもとに、ほとんど毎日のように数十首の自作をもって通ったそうです。馬場あき子は私の所属している短歌結社『まひる野』のはるか大先輩にあたりますから、そのエピソードはなかば伝説化して私たち後輩に伝えられています。」
「昭和二十年代に前衛短歌の旗手として歌壇に登場した塚本邦雄はすでに七十歳をこえた大家ですが、現在でも五十首ずつの作歌を毎日の日課としているとのことです。これはちょっと超人的なケースで、誰もが真似のできるものではないでしょうが、くじけそうになる自分を叱咤する励みにはなるかもしれません。」(山川注:『短歌入門』は1998年刊行、塚本は2005年没)
「入会当時、たとえ歌ができなくても、とにかくメモを取るようにと言われましたね」
とりあえず手帳の週間カレンダーに短い日記を書いてみようかな。
その日あったことや、気持ちや……。
ピヨ太メモ
月
日 晴れ
お正月。大晦日から起きていたが眠くない。年賀状が思っていたよりもたくさん届く。まひる野の人からも来ていて焦る。同級生の雛吉からも来ていた。内容は普通だったが自分を「俺」と書いてあることにけっこうなショック。初詣。おみくじ「吉」。
月
日 くもり
まひる野ブログ今年最初の集まり。Y川さんがインフルエンザで39度の熱があったが「鳥にはうつらないから」と言いながら来た。ヨウムさんが「鳥インフルは恐ろしい」と言って黙った。書き初めをした。←「挑戦」。今年の目標は、大きめの連作を作ること。
雪月
日 ゆき
まひる野の人たちとヨウムさんのタップダンス発表会に行く。音がするのは靴に加工がしてあるからと知って驚く。ダンスの先生がヒトだけど頭がレインボー色だった。後ろの席の人が「しもだかげき……」(漢字不明)と言っていた。あとで調べると作家の名前だった。
月
日 晴れ
①網で焼く②フライパンで焼く③お雑煮にいれる、を繰り返していたらお餅がなくなる。晴れていたので買い物に行き偶然チュン美さんに会う。お餅は小さく切って油で揚げるのもおすすめらしい。③は好きではないらしい。「のり」を思い出すそうだ。海苔?ノリ?
「短い文でもけっこう色んなことを思いだすなあ……」
入会の時に、自己嫌悪に陥るような歌しか作れなくても欠詠はしないように、とお話がありました。
でも結局、就職してから2年くらいほぼ歌を出せない(作れない)時期があって、投稿を再開してからもリズムを取り戻すのにまた2年ほどかかりました。
メモについてですが
学生の時にE-mailアドレスを取得して、夏休みは短歌創作コースの友人に毎日今日あったこととそれを短歌にしたものを送っていました。夏休み明けに40首提出しなければいけなかったので、自分にノルマを課して。
無理やり定型にしたのもあってよい歌というわけではないですが、あとから読み返すとその時何があったかどういう気持ちで作ったかがわかるので自分としては推敲しやすかったです。その後まひる野に入会してからは自分でも全く意味のわからない歌を作ったり謎の文語を使ってみたり迷走もありましたが、今思えばあれが原点なのかも……。
上記と矛盾するかもしれませんが私は歌を始めて数年間は、短歌にしようとした気持ちを先に文章で記すともう短歌にできなくなってしまいました。無理やりでも定型に落としこんでおけば後で直すことができました。
今はメモの状態からでもできます。というかメモしなかったことは思い出せないです。
吟行など、出来事があってから歌を作るまでの時間が短いときは写真を見ながら作ったり、面白い単語だけメモしたりします。(Y川の経験です)
長い連作を作る時は一日二首や三首作って、ある程度まとまった数になったら段々テーマが見えてくる(ような気がする)のでそれを念頭に置きながらまた歌を作ってはめ込んでいったり……。
作り方は人によっても場合によっても違うので、一概にこれとは言えないのね。
「答えの出ないことだからね。もし誰かと比べるのならよその人よりも過去の自分と比較するのがいいね」
私は、最初は「短歌っぽく」しようと、いったん作ったものに手を加えて提出していました。(今思うと何をもってして短歌っぽいととらえていたのか定義が謎)
でも歌会では手を加えた歌の評判が悪くて。
また、結社誌でも「加工」ができなかった歌の方が良いみたいだったので、もしかしたら自分の「短歌っぽい」という判断は信用できないかもしれないと思い始めて、変に手を加えるのはやめました。
何が言いたいかというと、自分の歌でもどれがいい歌なのかとかは最初の頃はあまりわからないと思うので結社誌など人に見てもらえる機会があるのなら出した方がいいです。全然よくないのしかできなかったと思っても誰がどう思うかわからないし出さなければ形に残らないので。
もちろん全員の方にあてはまるとは限りませんが……ピヨ太くんは出してください!
ピヨ太くんも短い日記に一首つけてみたらどうかな?毎日作ればまひる野賞の締切にも間に合うよ。(まひる野賞は50首)
一日50首つくれば一ヶ月で1500首だね。365日つくると……1万8千250首だ!!
アハハハハ
ウワァァァァァァ~~~!!!
覚えておいてほしいのは、筋肉は使わなければ衰えるということ。そして私たちはあなたの歌が掲載されるのを楽しみにしているということ。だから、歌を作りたいという気持ちがあるのなら、できる限り出してほしい。
それに、「黄色いくじゃく」の歌、よかったわよ★
※はばたきの羽の音せり大空を飛ぶときおれは黄色いくじゃく ピヨ太がつくった歌。
https://ameblo.jp/mahirunokai2010/entry-12389926439.html
名古屋市出身 2001年まひる野入会
歌集『いらっしゃい』(2018年/KADOKAWA)
次週予告
2/22 (金) 12:00更新 麻生由美の大分豊後ぶんぶんだより⑩
お楽しみに!