お久しぶりでございます。
2022年も最後の月となりました。
更新が止まって久しいですが私は相変わらずカナダにいます。
新型コロナウイルスによる様々な規制もその多くが解除され、以前のような生活となり、日々淡々と静かに暮らしているのですが、今年の春に訪れたケベック州のローレンシャン高原にあるモントランブランのことを少しブログに書き記しておきたいと思い、こうして文字を打っています。年に一度くらいは更新しようかなと思って。
最初に言っておくと、特別な何かがあったわけではありません。
この小さな町に行ったのも、急に思い立ちなんとなく足が向いただけでした。
かつてオリンピックが開催されたモントリオールから北へ130kmほど行くとスキーリゾートで有名なモントランブランです。
山の中にあるので空気も綺麗で、可愛らしい外観の建物を見ていると現実世界ではないようなふわふわとした気持ちになってきます。
ケベック州はフランス語圏なので、ホテルやレストラン、お店の人たちはみんなフランス語訛りでそれがさらに旅情をそそるのです。
行き交う観光客の皆さんもニコニコして楽しそう。
子どもの頃に遊んだドールハウスのようです。
4月から5月にかけて訪れたのですが、山肌にはまだ少し雪が残っていて、目をこらすと上の方でスノボやってる人がいました。
この可愛い可愛い町はトランブラン山にあるのですが、それがまた美しい山なんです。
とても広大で、果てしなくて、ただただ自然の迫力に見惚れます。
本当はたくさん写真を撮ったのですが、息を呑むような情景は私のiPhoneのカメラと撮影技術ではとても残せませんでした。
実際にはもっと奥行きがあって、木々や動物の命の鼓動が感じられるような場所で、写真の100倍美しいところです。
写真を撮る暇がなかったのですが、鹿のような偶蹄目のなにかをちらりと見かけたりもしました。
以下おまけですが、ケベックに入る前に立ち寄ったカナダの首都オタワの写真。
この日はなにやらデモをしていました。
一部道路が通行止めになったりしていましたが、みんなのんびりメイプルリーフフラッグを振っています。
警察の皆さんも交通整理をしたり各所で待機。
旅のほんの一部ですが、今年の大切な思い出のひとつです。
ところで余談ですが、私は大人になるまで山とか海とか自然を見ても特に感動もしなかったし美しいとも思ったことがありませんでした。
大人たちが綺麗だねとか言っているのを無感動に聞き流していました。
子どもというのはそういうものなのかもしれませんが、そんな私にも生まれて初めて自然の風景を美しいと感じた瞬間があって、そのときのことは今でもよく覚えています。
あれは二十代前半のころ、地元の通い慣れた道を一人で運転していたとき。
私の生まれ育った鳥取県には中国地方最高峰の大山という山があり、子どものころはキャンプやスキーによく行っていました。生まれたときからそこにあるのが当たり前、美しさとか雄大さとかそのような感覚とはつながっていない存在でした。
その日もいつものように代わり映えのしない県道をひたすらまっすぐ走っていました。
高い建物もなく、開けた土地、退屈な田舎町で運転席から正面やや左手のほうに大山が見えていました。
見えていた、というより景色の一部としてただただ視界に入っていたという方が近かったと思います。いつもと同じように。
なのに。
なぜだか突然ハッとするほど綺麗だと感じたのです。
空は青く、空気は澄んでいて、稜線がはっきりとわかる。
それはとてもうつくしいものでした。
それ以来私は目の前の風景に素直に感動するようになったのです。
あの天啓のような瞬間は一体なんだったのだろうとたまにぼんやり考えますが、あの一瞬のきらめきのような、脳の回路が接続されるような出来事があったから今こうしてカナダの山々を素晴らしいと感嘆しているのだなと感じます。
あれからもう何年も経ってしまいました。
2022年は皆さまはどんな年だったでしょうか。
来年もたくさんの喜びが皆さまのもとにありますように。