タクシードライバー
セシリアさんのまわしてくれたタクシーに乗ってホテルへ向かいました。
私はドライバーさんに、バカの一つ覚えの質問をしました。
『 あなたはいくつ?家族は何人?』
『 28才、独身 』
そのあと彼は大声で、ラジオと一緒に歌いまくっていました
ホテルに到着するまでの1時間
私が話し掛ければ答えますが、それ以外はひたすら歌っていました。
フィリピン人にも無口な人っているんだ…
ラリー村での帰り際
『 明日は久しぶりの休日なんです。
mahalさん、時間があったらお昼いっしょにいかがですか?』
『 まだ、はっきりと決まっていないのですが
明日は、モアルボアルとバリリへ行こうと思っているんです。
その予定がキャンセルになったら電話します 』
『 タクシーを使うのでしたら
いつも使っている、とても良心的なタクシーを紹介しますよ 』
『 ありがとうございます 』
一人旅の私に気を使ってくれたセシリアさんの言葉は
とても嬉しかったです
実は…
前回のセブでタクシードライバー のペーターと知り合いました。
帰国後もペーターと、何度かメール のやりとりをしていました。
ペーターは私のリクエストの件 で会社を辞職して
その後、ドイツ資本の会社に就職したのですが
やっぱり “自分にはタクシードライバーが合っている”と
もとのタクシー会社に戻ったのです。
しかし、ドイツ資本の会社で約束の1年間を勤めなかったので
ペナルティの1000USドルを払わなければならないと言っていました
せっかくの縁だから
少しくらい高くても、彼のタクシーを利用しようと考えていました。
事前にメールで
モアルボアルとバリリへ行きたい旨を伝え
スケジュールや料金も決めていました。
細かい打ち合わせは
『 ホテルに着いたら電話をください 』
という事でした。
そんな事情があり
私はセシリアさんからのお誘いに即答をしないで
ホテルへと向かったのです。
今、考えると
私はイイ年をして、
良く言えば、世間知らず
普通に言えば、大バカでした…
セシリアだぁー!!
木に登っていた子が叫びました。
『 セシリアだ!! セシリアが来た~!! 』
その声と同時に
ほとんどの子供達がいなくなりました。
セシリアパワー凄いです
いかにセシリアさんが
子供達の面倒を一生懸命みているか
子供たちから慕われているかがわかりました。
子供達が、フィリピンの遊びを教えてくれました。
ジャンケン(日本と同じグーチョキパーです)をして
勝った人が負けた人の腕をペンペン(叩く)するのです。
が、しかぁ~し…
なぜだか、私ばっかり負けました。
私がグーで、相手がチョキでも
『 ボクの勝ちだよ 』
私がパーで、相手がグーでも
『 またボクが勝ったよ 』
いつも私がペンペンされていました
子供達は目が合うと、ハイタッチをしてくれるようになりました。
ハイタッチって、フィリピン人になった気分がして
なんだか妙に嬉しいです
ラリー村に何時間いたのだろう…
気がつけば、あたりは暗くなっていました。
いつまでも子供達と遊んでいたかったです
この村には、宿泊所がありました。
次回セブに来る時は、この宿泊所に泊まって
ウルルン体験をするぞー!!
心に誓いました
ジョセとリサ
2人の印象深い子がいました。
名前はジョセ
バスケットをしていた子ですが、いつの間にか私のそばにいました。
ジョセがニコニコしながら話し掛けてきました。
『 僕のガールフレンドになって 』
『 年はいくつ?』
『 17才 』
『 へへへ、なってもいいけど、私の息子はアナタと同じ年だよ 』
『 じゃあ、僕の日本のママになって 』
さすが、フィリピン!! 17才の男の子も、お世辞は上手です
それからというもの
『 僕のママ、疲れたでしょう 』 とイスを薦められ
『 そこは段差があるから気をつけて 』 と手を引かれ
ジョセのサービスは超一流のホテルマン以上でした
フィリピンの子供達は、写真に写りたがるのが普通ですが
ジョセは違っていました。
カメラを向けると
『 僕はいいから、ママを写してあげるよ 』
と言って、私の写真ばかり写してくれるのです。
このカワイイ男の子
気がつけば、いつも私にピッタリくっ付いていました。
『 名前は?』
『 リサ 』
女の子みたいな名前だ…
実は彼(彼女?)、オナベちゃんなのだそうです
フィリピンではオカマちゃん、オナベちゃんは珍しくありません。
優秀な人にはオカマちゃん、オナベちゃんが多いとも聞きます。
リサはその流行?にのって
自分がオナベだと思い込んでいるだけなのでは?と思いました。
なぜなら、リサの気配りや優しさは女の中の女でした。
1人の子供が花を取ってきてくれました。
それを見ていた他の子も、次々に花を取ってきてくれました。
そんなに持ってきたら、村じゅうのお花が無くなっちゃうよ~
こんな山盛りのお花のプレゼントは生まれて初めてです。
リサが
『 綺麗にしてあげるね 』
と、お花を髪に付けてくれて、手にもたせてくれて
ジョセが
『 僕のママ、綺麗だよ 』
と写真を写してくれました。
ラリー村、最高です
村の子供達
ラリー村の子供たちの歓迎はダンス
バクラの高校生が経営しているという、サリサリ前の広場で
シローさんの携帯電話の着メロをBGMに
何度も何度も何度も何度も
ダンスを披露してくれました
携帯のか細い音ではなく
せめて、ラジカセで踊らせてあげたいなと思いました。
でも、子供達は携帯のBGMでも充分満足しているようでした。
シローさんは揉みくちゃにされていました。
この村でシローさんが、いかに好かれているかがわかりました
1人の子が、サンパロックの実をくれました。
まだ青くて酸っぱ過ぎでしたが、せっかく持ってきてくれたので
『 美味しいね 』
と言って食べました。
するとそれを見ていた子供達が
一斉にサンパロックの木に向かって走っていきました。
小さい子は、枝に手が届かないので
脱いだサンダルを一生懸命、木に投げつけて取ってくれました
学校から帰ってきたという女の子は
スカートをはいたまま、木に登りはじめました
シンプルで
とても心のこもった歓迎を受けました
どこか懐かしさの漂う村
シローさんの運転する車でラリー村へ向かいました。
シローさんは、セブに7年住んでいるそうなので
ピノイ化した運転マナーを期待していたのですが
いたって安全運転でした。
『 シローさん、運転は日本人のままですね 』
『 何年住んでも、いまだにフィリピンの運転マナーは怖いですよ 』
まわりの景色を眺めるのに忙しく
どのくらい走ったのか、場所がどのへんなのかもわからないままに
ラリー村へ到着しました。
そこは、想像していたとおりの村でした
広い草原に牛がいて
子供達が遊びまわっていて
カメラを向けると期待を裏切らない笑顔を向けてくれて
お母さん達は のどかにお喋りをしていて
気がつけば、シローさんもピノイと化していました
さり気ない優しさ
一緒のボートに日本人からの青年が乗り込んでいました。
ダイビングスポットに向かう時
私は彼に、ダイビングをしたかったけれど挫折してしまった話をしました。
物静かなその青年は私の話を聞いて、こう言いました。
『 そんな事もありますよ。次回また、めげずにチャレンジしてください 』
ボートから降りる時…
『 これ、今日の記念に差し上げます 』
彼は海の底から、私の分も小さな貝を拾ってきてくれていました。
ダイビングの後、島に渡って子供達と交わる予定になっていましたが
天候不良(海が荒れて)のため、それも中止になりました。
『 シローさんがラリー村へ行くのですが
mahalさんも一緒に行って遊んできませんか 』
ダイビングが出来なくて島にも行けないしょぼくれた私に
セシリアさんは気をつかってくれたのだと思います。
『 もちろん行きたいです 』
セシリアさんの言葉に私は大喜びでした
ラリー村とは…
セシリアさんの仕事仲間のラリーさんが住む村です。
貧しい人達が住んでいるので、セシリアさん達が援助しています。
村の人達を、ショップのスタッフに雇用したりもしています。
ショップの外で、シローさんが出発するのを待っていると
ラリーさんが日本語で話し掛けてきました。
『 あなた、これからの予定は 』
『 エヘヘ、ラリーさんのバハイに行くんですよ 』
ラリーさんは眉毛を動かしながら言いました。
『 それはグッドアイデアですよ 』
この日、私は…
物静かな青年とセシリアさんの2人から、優しい心を頂きました
海で
ダイビングスポットで…
海の中に潜っていく他の参加者を横目に、私は海面に浮いていました。
いいなぁ~私も珊瑚を近くで見たかったなぁ~
でも…
スノーケルでも海の美しさは充分満喫できました
泳ぎも下手な私は
パタパタやっても、なかなか進まずに浮いているだけでした。
スタッフのアリ君が、そんな私を見て
ボートからライフジャケットを持ってくると
『 これにつかまって 』
それからはアリ君に引っ張ってもらい、優雅に海の散歩ができました
アリ君は、エンジンがついているかのように早く泳ぎ
時には、素潜りで海底に沈んでいったかと思うと
珍しいウニやヒトデを取ってきて見せてくれて
さすが、海の子と言った感じです。
“1人で参加しても決して一人ぼっちにはさせません”
AngelMarineのホームページにありましたが
まさしくそのとおりでした。
ボートの上での昼食は美味しくて
アリ君達が披露してくれたダンスは最高で
一緒に参加した女の子の話しです。
『 私は何度もセブにダイビングに来ているんだけど
知り合いは、どうして危なくて汚いフィリピンに行くのと言うの。
口で説明しても、みんなわかってくれないから諦めているけど
この美しさを知らないって、もったいないよね 』
同感だな~と思いました。
自業自得
生まれて初めてのダイビング、スゴイ楽しみでした
体験ダイビングでも、いきなり海に出てしまうショップもあるそうですが
セシリアさんのAngelMarine は
海に出る前に、プールでレクチャーをしてくれて
インストラクターのシローさんも日本人なので、とっても安心です。
機材の説明や水抜きの方法など
小さな子供に教えるように、丁寧に教えてくれました。
実際にタンクを背負って、プールで潜ってみました。
あれれ、プールに潜る寸前が、息ができない
『 大丈夫!! ゆっくりでいいですよ 』
やっぱり、息ができない、どうして~
その後、何度も励まされてやってみたのですが
『 やっぱり、息が苦しくて出来ません 』
シローさんの目を見ながら訴えたのですが
なんだか、その時のシローさんの目は
お母さんに怒られた子犬のような目をしていました
シローさんにもセシリアさんにも言わなかったけど…
前の日から一睡もしていなかった私は、本調子ではありませんでした。
しかも、レクチャーを受けながら…
主人に、ダイビングをする事は言ってないし
(心配するから事後報告)
神父様にも、言ってないし
(渡比の目的はなんですか!!と怒られる)
何かアクシデントがあったらどうしようと考えてしまいました。
そんな事ばかり考えていたので
勝手に私の体はパニックになったようです。
『 ごめんなさい、スノーケルに変更していいですか 』
『 かまわないですよ、
体調が良くない時には無理しないほうがいいですからね 』
ホント、申し訳ないやら、情けないやら…
セシリアさん、シローさんごめんなさいって感じです
間もなく、ボートが到着しました。
ダイビングするわけでもないのに
ウエットスーツを着込んだ、変なカッコの変な私は
ボートに乗り込みました
美しい人に出会った♪
空港まで迎えに来てくれた人。
彼女の名前はセシリアさん。
セブでダイビングショップ を経営している方です。
前回のスノーケル で見た海の美しさが忘れられず
今回はダイビングに挑戦しようと思っていました
ジョン から、
“ダイビングをするなら、友人が経営するショップを紹介するよ”
とメールを貰っていたのですが…
私はセシリアさんのショップに決めていました。
理由は
彼女が島の貧しい子供達の面倒 をみているからです。
私には、島の子供達と触れ合ってみたいという希望がありました。
事前にセシリアさんと打ち合わせをして
ダイビング後に、島へ渡って子供達に会う予定をたてました。
ダイビング以上に、子供達との出会いが楽しみでした
空港で初めて会った彼女を見てビックリしました。
エキゾチックな顔立ちの彼女は、どこから見ても
ちょっぴり?日に焼けた欧米人にしか見えないのです。
しかも、ドライバーとの会話は流暢なセブアノ語でした。
『 セシリアさん、日本人ですよね~』
『 私、現地の人からもフィリピン人に間違われるんですよ』
車に乗る時も…
ごく自然にドアを開けてくれたり
荷物を持ってくれたり
勝手に写真を拝借しました
単身セブに渡って、13年間も頑張っている大和撫子。
しかもボランティア までしています。
スゴイです真似できません
外見も心も美しい人に出会いました。
私が男性だったら、絶対ホレている
バスの中で席を譲られた
Cebu行きの飛行機に乗る時…
私はバックパッカーのようなリュックを背負い
スーツケースを引きずっていました。
スーツケースの中は
セブでお世話になるセシリアさんに届ける援助物資です。
渡比前に、彼女のボランティア活動のホームページ を読んで
どうせセブに行くなら、
カバンの隙間に援助物資を詰め込んで行こう!!
急遽、友人達から文房具や衣類を集めました。
予想以上に集まり、1つ残らず届けなければと思い
私の荷物はパンパンになっていました。
ゲートから搭乗機まで距離があるため、バスでの移動でした。
大荷物を持った私がバスに乗り込むと
バスの中はすでに満員でした。
リュックの重みでよろけてしまいました
すると、5人ほどのフィリピン人が一斉に立ち上がって
席を譲ってくれました。
5人の席を譲られて、どこに座ったらいいか悩むし…
『 すぐだから大丈夫です!! 』
と言ったのですが…
『 いいから、いいから!! 』
と半ば強引に座らされました。
フィリピンで席を譲ってもらうなんて…
なんだか、不思議な感覚でした