ズレた呼吸が今日のボクを教える
ヘロヘロのまま
茹で上がったブカティーニを皿に移すと
湯気がゆっくり顔に触れた
その温度だけで
さっきまでの会話の断片がふっと蘇る
意味より、肌の内側に残った感触のほうが先に立つ。
フォークを差し込むと
麺が重たくて
思ったより腕が疲れていることに気づく
一呼吸置いて、心臓が速い。
理由はまだ言語にならないまま
胸の奥でだけ動いている
窓の外では風が弱く揺れて
カーテンの端だけが小さく跳ねた
その揺れと自分の呼吸のリズムが
なぜか噛み合わない
ほんの少しのズレが
逆にいまのボクをはっきりさせる
麺をひと口すすると
塩気より先に“今日の体調”が舌に触れた
味覚って、案外そっちのほうが正直だ
こういう瞬間のほうが、あとで思い出す
理由じゃなくて
温度とか
重さとか
呼吸の速さとか…
それを思い出す自分ごと
少しだけ好きになれる気がする