第4話のレビューです。
第4話は、一言でいえば、主人公の誕生、だともいます。
第4話のタイトル「ろまんすの夜明け」とはそういうことだろうと思います。
ロマンスとは、日本語としては恋愛物語と受け止められますが、英語では英雄譚などの物語のことも含みます。
ロマンスを英雄譚として理解すれば、まさに今回、主人公候補の男の子に名前が与えられ、いよいよ本格的に英雄物語の幕が開くことが宣言されたのです。
第3話からの続きで、冒頭から緊迫したシーンが続きます。
ピンチの中で必死になる少年。
この少年の行動が、とても心打ちます。
とてもまっすぐで、凡人の私にはきっとまねできない、強い行動です。
少年のこの心の美しさこそが、彼の今後の活躍の力であり、読者をひきつける魅力なのだろうと思います。
緊迫した状況が終わると、少年はもはやおどおどとした卑屈な少年ではなくなります。
大きな試練を通して、少年は少し成長したのです。
成長した少年は、もはや昔の少年ではありません。
困難を跳ね飛ばす勇気を手にしました。
でも、そうはいってもまだ幼いこども。
まだ、いつか英雄が自分の前にあらわれて自分を救ってくれると思っています。
そんな少年にセドナは、主人公は少年自身だと告げ奮い立たせます。
第4話、いやプロローグはここで終わり、物語の時が過ぎます。
少年、いや主人公としての名前が明かされたシオが13歳。
力が強く、夢に向かって努力を続けている姿が描かれます。
これにて1巻終了。
1巻を振り返ると、見事なまでに英雄物語のテンプレート通りだと思います。
英雄物語のテンプレートとはこうです
- 主人公の日常が営まれる中、主人公は困難に遭遇する
- 主人公は持つ能力で困難に立ち向かうも、大きな敵に挫かれる
- 主人公は仲間、特に自らを叱咤するメンターと、主人公を支援する仲間を得る
- そうして主人公は改めて強大な敵に挑み、勝利をおさめる
- 勝利後、主人公はすこし成長した姿で、日常に戻っていく
というものです。
まさに第1巻での少年はこの形で成長を遂げています。
このテンプレートは、世界中の神話で採用されています。
とても有名な例としてスターウォーズの物語もこういった神話のテンプレートを採用していることで知られています。
まさに英雄物語の王道をいく図書館の大魔術師。
圧倒的に美しい絵に魅せられ、またいろいろと仕込まれているに違いない謎に期待を寄せ、第2巻も大いに楽しみになってきました!