Magus of the Library-
図書館の大魔術師のサブタイトルです。カタカナ読みすれば、メイガス オブ ライブラリ。
ライブラリはわかりますよね。図書館のことです。
メイガスは、魔術師のことです。
でも単なる魔術師ではありません。
そもそもメイガスはMagi、カタカナ表記すればマギという言葉の単数形です。
マギとは、古代ペルシャの宗教儀礼をつかさどっていた司祭のことをいいます。
転じて、聖なる力を発揮する聖者を意味します。
したがって、タイトルは「大魔術師」となっていますが、「悪魔」の術を使う人という意味ではなく、「聖」なる術を使う偉大な人という意味で使っているのだと思います。
なお、キリスト誕生時に3人の司祭がはるばるイスラエルまでお祝いに出向いてきたことから、Magiを東方の三賢人と呼ぶことがあります。
ちなみに、エバンゲリオンでもマギって出てきましたよね。
エバンゲリオンでは、マギは東方の三賢人の名前を持つ3つのコンピュータシステムの集合体でした。同じMagiですね。・・・余談です。
脱線ついでですが、Magusという言葉を使うことや、1巻最初のラクダや登場人物の皮膚の色が褐色がかっていることからすると、やはりこの物語はアラブの物語の影響を受けているように思います。
アラブの物語というと、アラビアンナイトとか、アラジンとかが思いつきますね。
また、物語でおそらく重要性を持つであろう中央図書館ですが、古代エジプトのアレクサンドリア図書館を思い起こします。
(画像出典:WIKIMEDIA COMMONS)
アレクサンドリア図書館は70万冊もの写本を擁したそうで、それらはすべて人手で管理されます。
そのためには十分に訓練された多数の司書が必要に違いありません。
きっとこの物語に出てくるような本獲得のための渉外活動や、補修、図書館法の制定とその遵守状況の監査といったことも必要だったはずです。
このように図書館の大魔術師は、中東やエジプト当たりの物語をイメージしやすいです。
でも、目次の背景として影絵が描かれているのですが、それはなんとなくバリとかポリネシアの神々のような雰囲気を漂わせています。気のせいでしょうか。
タイトルの表現に着目するだけでも、作者の本作品へのこだわりを感じます。きっと作者はこの物語を書くにあたり、相当なリサーチをして臨んでいるに違いありません。絵の精緻さから見ても、かなり細部にまで、それどころか描かれない部分にまで気を遣う方だと思います。
今後、重層的で緻密な物語展開が期待できますね。わくわくします!