人工知能、遺伝子工学、格差社会、宗教対立、環境破壊…。21世紀を迎えても簡単には解決できない諸問題を哲学者はどのように考えているのか?本書ではそれらを解説し、人類が直面する難題に答えを出すものです。
哲学が必要とされる時代は激動の時代である―。
僕が哲学書を読みふけっている中で、哲学者で東京大学大学院総合文化研究科教授の國分功一郎先生のこの言葉がますますその実感がするわけです。本書は21世紀を生きる哲学者達が人工知能、遺伝子工学、格差社会、テロの脅威、フィンテック、宗教対立、環境破壊…。などの簡単に解決できない問題について、どのような思いをめぐらせているのかを解説・紹介したものです。
本書に登場する哲学者も僕が始めて聞く方ばかりなので(もちろん、その世界では有名なのかも知れませんが)、マルクス・ガブリエル、カンタン・メイヤスー、リチャード・ローティ、ユルゲン・ハーバマス、ダニエル・デネット、ニック・ボストロム、ベルナール・スティグレール、トマス・マシーセン、マウリツィオ・フェラーリス、ピーター・スローターダイク、アマルティア・セン、ダニ・ロドリック、チャールズ・テイラー、ジル・ケペル、ビョルン・ロンボルク、ブライアン・ノートン、ベアード・キャリコット、ウルリッヒ・ベック……。
彼らの言説を紹介することで、
「いま、世界の哲学者が考えている人類の未来の姿とは? 」
を探り出していくのです。
本書を読みながらずっと考えていることは
「あぁ、つくづく21世紀に入ってからは「激動の時代」を生きているんだなぁ。」
ということでした。
もちろん、人類史が始まって以来、どの時代も大きなうねりがあったとは思いますが、とりわけ21世紀はテクノロジーの急速な発達がそれを後押ししているのかなと。そんな事を考えております。内容はかなり難しいですが、めまぐるしい日々から一歩距離を置いて、深く思索を重ねたい方にはおすすめいたします。
※追記
本書は
●第7章 リベラル・デモクラシーは終わるのか
・第1節 アメリカ政治の転換(2016年以後)
・第2節 新型コロナウイルス感染症パンデミック(2020年以後)
・第3節 ウクライナ戦争(2022年以降)
を追加し、2023年2月7日、朝日新聞出版から『いま世界の哲学者が考えていること (朝日文庫) 』として文庫化されました。
本稿は2017年1月12日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正した上で、2023年3月21日に再度公開しました。