自壊する帝国 (新潮文庫) | 誇りを失った豚は、喰われるしかない。

誇りを失った豚は、喰われるしかない。

イエスはこれを聞いて言われた。
「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」
(マルコによる福音書2章17節)

ソ連邦の消滅という歴史の大きな渦に身を

 

投じた若き外交官はそこで何を目撃したのか? 

 

佐藤優氏が今の日本はこの時期に非常によく

 

似ているという意味が読み終えてなんとな

 

く分かりました。

 

『文庫版あとがき』もいい。

 

 

 

 

 

 

 

この記事を書くために再読しました。

非常に面白かったのですが、やっぱり難しいです。

この本は『外務省のラスプーチン』こと佐藤優氏が

 

在ソ連日本大使館の外交官として赴任したときに 

 

見聞きしたソ連崩壊までの一部始終を振り返る

 

回顧録です。

『甦るロシア帝国 (文春文庫)』(文藝春秋)を詳しくは

 

参照してほしいのですが、佐藤氏はモスクワ大学で

 

教鞭をとっていた時期があり、そこで知り合った

 

ミーシャという学生を介して、多くの重要人物を仲介

 

してもらったり、自身の体質でウオトカを一日に数本

 

飲んでもあまり二日酔いになることはない、という

 

利点を十二分に発揮して

 

『日本以上に酒を強要する』

 

といわれるロシア人高官を相手にウオトカをガンガン

 

飲みながら自身のルーツであるキリスト教は

 

プロテスタントを基礎とした神学の教養を武器に佐藤氏が

 

今でも『師』と仰ぐゲンナジー・ブルブリス氏を

 

はじめとする人間たちに受け入れられていく姿は

 

すごいなと素直に思わずにはいられませんでした。

『大使以上の人脈を持っている』

といわれる情報網を駆使して1991年のクーデター

 

未遂事件にも正確な情報をいち早く掴み取って、

 

『ぎっくり腰で政務ができなかった』といわれる

 

ゴルバチョフ大統領(当時)の生存を重要人物から

 

聞き出したシーンがいまだに強い印象を僕の中に

 

残しています。

そのほかにも読んでいて面白かったのは食事、

 

行動原理や習慣にわたってロシア人のことを細かく

 

観察・描写されてあって、食事や飲酒の場面。

 

そこで供される豪奢な料理。

筆者と彼らが交わした言葉の一つ一つにもそういった

 

ことがにじみ出ていてロシアおよびロシア人がいったい

 

どういう人なのかということや、あの当時、現場で

 

いったい何が起こったのか? 

佐藤氏が最近、今の日本がこの時期のロシアに

 

そっくりだという理由がこの本を読むと本当によく理解

 

できるかと思われます。

非常に読んでいて骨が折れる文献だとは思いますが、

 

それに見合った対価は保証できる本だと思って

 

おります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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